土地を査定する7つの方法
土地の正確な価値を把握するためには、公的な指標から専門的な評価方法まで、複数の査定方法を知っておくことが重要です。ここでは、売主である自分が土地の価格をおおよそ把握できる査定方法と、不動産のプロが用いる査定方法のうち、7つの代表的な方法を解説します。
| 自分で土地を査定する方法 | 不動産業者が使用する土地の査定方法 |
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こうした方法を使い分けることで、土地の特徴や周辺状況、価格を知るまでの早さなどを踏まえて、適切な査定方法を見極められます。
まずは、自分で土地の価格を確かめて、その後に不動産業者を利用するのがおすすめです。
自分で土地の価格を調べる
最初に、土地の価格を把握する第一歩として、自分で相場を調べる方法があります。以下の4つの方法なら、相場を調べて計算することで、おおよその価格がわかります。
公示地価
土地の価格を把握するための代表的な指標の一つが「公示地価」です。公示地価とは、国土交通省が毎年1月1日時点の価格を調査して公表している標準的な土地価格のことで、一般的な土地取引の目安となります。
調べ方は簡単で、国土交通省の「地価公示・都道府県地価調査」検索サイトにアクセスし、都道府県・市区町村を選択すれば対象エリアの地価が一覧で確認できます。
公示地価×土地の面積×1.1〜1.2計算例
公示地価が10万円/m²で土地面積が100m²の場合、「10万円×100m²×1.1」で1,100万円が目安となります。
基準地価
公示地価と並んで重要な指標なのが「基準地価」です。基準地価とは、都道府県が独自に毎年7月1日時点で調査・公表する地価のことで、主に都市計画区域外の土地や公示地価を補完する目的があります。
調べ方は、対象となる都道府県のホームページを確認するか、前述の国土交通省の検索ページを利用することでわかります。
基準地価×土地の面積×1.1〜1.2計算例
基準地価が8万円/m²、面積が120m²なら「8万円×120×1.1」で1,056万円が目安なります。
相続税路線価
相続や贈与の際に基準となる土地価格が「相続税路線価」です。相続税路線価は、国税庁が毎年1月1日時点の価格をもとに算出しており、税金計算の重要な根拠となります。
調べ方は国税庁の「路線価図・評価倍率表」のサイトから、都道府県→市区町村→町名の順に選択することで、該当地域の路線価を確認できます。
路線価による土地の評価額×土地の面積÷0.8×1.1~1.2計算例
路線価が6万円/m²、面積が100m²なら「6万円×100÷0.8×1.1」で825万円が目安となります。
固定資產税評価額
土地を所有していると毎年課税される固定資産税の計算基準となるのが「固定資産税評価額」です。固定資産税評価額は、市区町村が3年に一度見直しを行い、相続税路線価の約70%程度の価格水準で設定されてます。
評価額を調べる方法は、主に以下の3つあります。
- 毎年届く納税通知書の課税明細書を確認する
- 役所で評価証明書を取得する
- 固定資産課税台帳を閲覧する
路線価による土地の評価額÷0.7×1.1~1.2計算例
路線価が500万円の場合、「500万円÷0.7×1.1」で786万円が目安となります。
不動産業者に査定を依頼する
不動産業者が土地の価格を算出する際は、主に以下の3つの査定方法を使用します。
取引事例比較法
土地の査定方法の中で最も一般的に用いられるのが「取引事例比較法」です。取引事例比較法とは、近隣で過去に実際に取引された類似の土地の価格を参考にし、個別の条件を加味して現在の価格を算出する方法です。
不動産会社に依頼すれば、業者が所有している取引データベース(レインズなど)から適切な事例をピックアップしてくれるため、特に調べる必要はありません。査定には通常3〜5営業日ほどかかります。
原価法
「原価法」は、同じ土地をもう一度作るために必要な費用から、時間の経過による価値の減少を差し引いて評価する方法です。造成地や埋立地、開発が必要な土地など、特殊な土地の査定に用いられます。
査定には土地の改良コストや減価率の見積もりが必要なため、5〜7営業日程度かかることが一般的です。自身で調べる必要はなく、必要書類の提出程度で済みます。
収益還元法
収益還元法とは、土地が将来生み出す収益(家賃収入など)を基に、土地の価値を算出する方法です。主に、アパートやマンションなどの収益物件や投資用不動産の評価に用いられます。
査定には将来の収益予測と利回りの計算が必要なため、5〜7営業日かかります。必要に応じて、賃貸条件一覧表や家賃明細表、修繕履歴などの資料提出が求められます。
このように、プロの視点から土地を評価してもらうことで、土地の売却価格を正確に知れるだけではなく、売却価格の根拠が明確になり、買い手との交渉にも自信を持って臨むことが可能です。
不動産買取業者の選び方について知りたい方は、以下の記事で詳しく説明しているので、ぜひ合わせてご覧ください。

土地の査定額を左右する主な要素
土地の査定額は、以下のような要素によって大きく変動します。
土地の条件や立地環境などに応じて価格が左右されることを理解すると、売却時にトラブルを回避できたり適切な価格を設定できたりします。
土地の面積・形状
土地の面積・形状は、そのまま利用価値に直結するため、査定額に大きな影響を与えます。
| 要因 | 評価 | 概要 |
| 整形地 | 高くなる | 正方形や長方形などきれいに整った形状の土地で、利用しやすく評価が高い |
| 不整形地 | 低くなる | 三角形や極端に細長い土地、旗竿地(道路から細い通路を通って奥まった土地)といった利用しにくい土地 |
| 角地 | 高くなる | 二方(二方向)が道路に接している土地のことで、開放感があり利用価値が高く評価される |
他にも、傾斜地の土地では地盤改良や擁壁の設置などで別途費用が必要になるため、一般的な土地と比べて評価が低くなりやすい点には注意しましょう。
土地の売却をスムーズに進めるためにも、あらかじめ測量図や登記簿を用意し、土地の面積や形状を把握しましょう。
土地の接道状況
接道状況は、建物の利便性や再建築の可否に影響するため、査定額に大きく反映されやすいです。
| 要因 | 評価 | 概要 |
| 接道義務 | 未接道だと低くなる | 接道義務とは、原則として4m以上の幅員の道路に2m以上接している必要があることで、接道していない土地は再建築不可となり、評価額が大幅に下がる |
| 敷地に至る道路 | 私道や共有地だと低くなる | 敷地に至る道路が私道や共有地である場合、将来的なトラブルや修繕費の負担リスクから、評価が下がる可能性がある |
幅員4m未満の道路(みなし道路または2項道路)であっても、建物を建てられる場合がありますが、利用可能な面積が減ることがあります。
実際に、前面道路の中心線から2mの部分を道路とみなすため、自分の敷地を後退(セットバック)することが求められます。セットバックの部分は、たとえ自分の土地であっても建築物を立てられません。
さらに、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合)や容積率(敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合)の計算に含められないため、実質的に利用できる土地の面積が減少し、結果として土地の評価額が大幅に下がります。
不動産業者に査定を依頼する際は、登記簿や現地の写真、道路との接面状況がかる図面を提出すると、より正確な査定が受けられます。
土地の間口と奥行きの長さ
土地の間口(道路に接する幅)と奥行きも、査定額に影響する大事な要素です。一般的に、間口が広く奥行きがそこまで長くない土地は、建物の設計自由度が高く、住宅用地としての人気が高いです。
逆に、間口が狭く奥行きだけ極端に長い土地は、日照や通風が悪くなるため査定額が下がりやすい傾向にあります。さらに、狭小間口の物件では大型車が進入できず、建築資材の搬入に費用がかかるといったデメリットが発生します。
こうした点を事前に把握しておくことで、査定時の根拠を理解しやすくなり、納得した状態で価格交渉に臨むことが可能です。
用途地域
用途地域とは、その土地にどのような建物を建てられるかを定める法的区分のことです。土地の価格に大きな影響を与え、不動産査定時に確認される項目の一つです。
たとえば、「第一種低層住居専用地域」にある土地は、建ぺい率や容積率、建築物などの制約が大きいため、査定額が低くなる傾向があります。一方で、商業地域にある土地は、住宅だけではなく店舗やオフィスとしても活用できるため、利便性と収益性の観点から高く評価されやすいです。
したがって、原則活用できる用途が広く、土地の制約が少ないほど査定額が高くなる傾向です。
該当する用途地域を調べたい方は、国土交通省や市区町村が発表している都市計画図を確認しましょう。
最寄り駅までの距離
最寄り駅までの距離は、土地の査定額に影響を与える要素の一つです。実際に駅が近い土地ほど利便性が高く、買い手からの需要が増えるため、査定額は上昇する傾向にあります。
たとえば、駅から徒歩5分のような駅近物件は、住宅用地としての価値が高く、特に都市部では坪単価が上がりやすいです。逆に、駅から徒歩30分といった土地は、生活の利便性が下がり、査定評価にマイナスとなる可能性があります。
特に、高齢者や子育て世代をターゲットとする場合、駅までのアクセスの良し悪しは大きな判断材料になります。
このように、土地の査定において最寄り駅までの距離は、単に距離だけでなく、徒歩・バス・車の所要時間や周辺の道路状況も考慮して評価される点を理解しておくことが重要です。
周辺の日当たりや嫌悪施設の有無
土地の周辺環境も査定において無視できない要素です。特に、日当たりの良さや嫌悪施設の有無は、住環境に直結するので価格に大きな影響を与えます。
具体的には、南向きで日照時間が長い土地は住宅用地として人気が高く、高い評価がつきやすいです。また、駅や商業施設、学校や病院などが近くにある場合も同様です。
反対に、以下のような嫌悪施設があると土地のイメージが悪化し、査定額が下がる可能性があります。
- 工場
- 高速道路
- ゴミ処理場
- 下水道処理施設
- パチンコ店
- 墓地
- 火葬場 など
実際に、不動産業者の担当者が現地を訪問する際、近隣の施設や建物の状況を細かくチェックして査定価格に反映します。
したがって、土地を売却する際には周辺環境が与えるプラス・マイナスの要素を事前に把握し、どのように評価されるかを理解しましょう。
インフラの整備状況
土地におけるインフラの整備状況は、査定に少なからず影響を与えます。水道・電気・ガス・下水道などのインフラが敷地内に整備済みであれば、すぐに住宅や施設の建築ができるため、活用の自由度が高まり、評価額が高くなる傾向です。
逆に、インフラが整っていない土地は、整備のための追加費用や手間が必要となるため、査定額が低く見積もられるケースがあります。たとえば、農地転用予定地では下水道やガス管の引き込みが必要な場合が多く、下水道だけで数十万円程度の費用がかかるのが現状です。
売却を検討する際には、自治体や役所でインフラの整備状況を事前に確認し、不動産業者に正確な情報を提供することで、査定額アップやスムーズな取引につながります。
埋設物・地盤の状況
土地の下に何が埋まっているか、地盤の強さや安定性といった外見では見えない要素も査定額に影響を与えます。
たとえば、地中に古い基礎や浄化槽などが埋まっている場合(地中障害物)や、土壌汚染の疑いがある土地では、撤去・調査・改良に高額な費用が発生する可能性があり、その分査定額が下がります。
過去の利用状況を確認したい方は、国土交通省や市区町村のハザードマップや地盤調査データなどを活用しましょう。また、地盤が弱いと判明した土地では、地盤改良工事に数百万円の追加費用がかかることがあります。
土地の価値は地表だけでなく、地中の状況によっても大きく左右されるため、埋設物や地盤の状態を可能な範囲でチェックしておくことがスムーズな売買につながります。
土地の査定を不動産業者に依頼するときの流れ
土地の査定を不動産業者に依頼する際は、以下の流れに沿って売却を進めましょう。
土地売却を成功させるためにも、正確な情報と段取りを把握し、信頼できる不動産業者を選ぶことが大切です。
土地の状況や売却期限に応じて売却方法を選ぶ
土地の売却を検討する際は、状況や希望する売却期限に応じて、最適な売却方法を選ぶことが重要です。
| 売却方法 | 特徴 | 適したケース |
| 仲介売却 |
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| 不動産買取 |
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| 買取保証付き仲介 |
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特に、立地が悪い・形状が複雑・古い建物が残っているなどの売れにくい土地は、仲介よりも専門の買取業者への相談を検討することで、早期に売却を実現しやすいです。
このように、土地の状況や売却期限を踏まえて目的に合った売却方法を選ぶことで、満足のいく結果が得られやすくなります。
複数の業者から相見積もりを取る

土地の査定額や査定方法は、不動産業者によって得意とする分野や抱えている顧客層、査定額の算出基準や重視する要素などが異なるため、結果に差が出ることが一般的です。特に、地元密着型の会社と全国展開する大手不動産業者では、地域の需要や取引事例の評価に違いが見られることがあります。
提示された金額が市場価格と適正かどうかを判断するためにも、最低でも3社以上の不動産業者に査定を依頼する「相見積もり」は欠かせません。相見積もりを利用する際は、以下の要素を踏まえて1つの会社に絞りましょう。
- 査定額が極端に高く(低く)ないか
- どのような取引事例を用いたかといった査定額の根拠は明確か
- 担当者の説明や提案内容がわかりやすいか
- 不動産業者の対応力・信頼性は優れているか
- 過去の実績は豊富にあるか
納得できる売却を実現するためにも、信頼できる情報を多く集め、冷静に比較・判断する姿勢が不可欠です。
査定を依頼して結果を受け取る

査定には、以下の2種類があります。
| 査定の種類 | 概要 |
| 机上査定(簡易査定) |
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| 訪問査定(詳細査定) |
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提示された査定額は、土地の面積や接道状況、用途地域や周辺施設との距離、過去の取引事例などを基に算出されます。不動産業者によっては、評価ポイントや価格算出の根拠を詳しく解説してくれることがあります。
このように、査定結果を確認する際は査定額の高さではなく、査定額の根拠も確かめることが重要です。
土地の査定前に準備するべき3つのこと
土地の査定を依頼する前に以下のような準備を行うことで、不動産業者からの評価がスムーズになり、査定額の精度が向上します。
売却活動を成功させるためにも、査定前の準備はしっかりと行いましょう。
必要書類を準備する
査定をスムーズかつ正確に進め、売主としての信頼性を高めるためにも、以下の必要な書類はあらかじめ準備しておきましょう。
- 登記識別情報(権利証):土地の所有権を証明する書類
- 公図・測量図・境界確認書:土地の形状・面積・隣地との境界線を確認したことを証明する書類
- 固定資産税評価証明書・納税通知書:公的な評価額が記載されている書類
- 建築基準法上の道路の種類がわかる資料:接道状況を確認するために必要な資料
これらの書類が揃っていると、不動産業者は土地の正確な情報を基に査定できるため、査定額や不動産業者との信頼性が高まります。
土地の名義・境界を確かめる
土地の査定において、名義と境界の確認は重要なポイントです。
名義が未登記だったり、境界が不明確なままだったりすると、以下のような問題が起こります。
- 査定が正しく行われない
- 売却活動が進められない
- 隣地とのトラブルや越境問題が発生する
- 専門家による測量や隣接地との交渉が必要となる
- 登記や境界確定のための時間や費用がかかる
まずは、土地の所有名義が現在の売主本人であるかどうかを登記簿で確認しましょう。そして、事前に土地の名義と境界を明確にし、売却時のトラブルを未然に防ぐことが大事です。
ゴミや雑草などを取り除く
土地の見た目は、査定結果に少なからず影響を与えます。特に、ゴミや雑草が放置されている土地は、印象が悪くなり、査定額が下がる可能性があるので注意が必要です。
不動産業者の担当者が訪問査定を行う際、現地の状況を目視で確認し、土地の管理状態やすぐに活用できるか否かを評価します。もし、雑草が生い茂ったりゴミが散乱していたりすると、管理が行き届いていないと判断され、査定額にマイナス評価となることがあります。
査定額を高めたい場合は、できる限りゴミや雑草などを取り除いておくのが効果的です。
土地の査定方法に迷ったらアルバリンクに相談を
土地を売却する際、多くの方が大手不動産業者への仲介を検討される傾向がありますが、すべての土地がスムーズに市場で売れるわけではありません。
特に、再建築不可の土地や不整形地、私道が多くて権利関係が複雑な土地などの買主が購入を拒みやすい「訳ありの土地」は、仲介では買い手が見つからず、売却活動が長期化する要因となります。
そのため、こうした売れにくい土地を確実に手放したい場合は、専門の不動産買取業者に依頼するのをおすすめします。専門の買取業者は、独自の再販ノウハウや活用方法を持っているため、他社で断られた訳あり物件でも高確率で買取対応が可能です。
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