破産管財人の任意売却とは?
破産管財人の任意売却とは、破産管財人が金融機関の承諾を得て債務者の不動産を売却することです。
中立公正な立場で破産手続きを進める人のこと
通常の任意売却は金融機関の承諾を得た不動産の所有者が売主となりますが、破産管財人の任意売却では裁判所によって選任する破産管財人が売主となります。
破産管財人の主な役割は破産者の財産を換金したうえで債権者に配当することなので、自己破産に精通した弁護士が選任されるのが一般的です。
破産管財人によって任意売却が行われるケース
自己破産には「管財事件」と「同時廃止」の2種類があり、管財事件の場合に破産管財人が選任されます。
債務者に一定以上の財産がある場合に行われる自己破産における手続きのこと
破産手続開始と同時に手続きが廃止されること
自己破産した場合に管財事件になるかどうかは裁判所が決定しますが、以下の2つのケースが該当します。
- 不動産などの高額な財産がある場合
- 免責不許可事由に該当する可能性がある場合
それぞれのケースについて解説します。
不動産などの高額な財産がある場合
債務者に財産がないことが明らかな場合は手続きを簡略化するために同時廃止が選ばれますが、清算できる財産がある場合は管財事件になるのが原則です。
管財事件として取り扱われるケースの例は、以下のとおりです。
- 債務者に33万円以上の現金がある場合
- 債務者に20万円以上の換価対象資産がある場合(預貯金、保険の解約返戻金、未払報酬・賃金など)
不動産を所有している場合は基本的には管財事件になります。
ローン残債が多い場合は破産管財人が選任されない可能性がある
不動産を所有している場合は管財事件となるのが基本ですが、ローン残債が多い場合では同時廃止になるケースもあります。
具体的には、ローン残債額が不動産売却価格の1.5倍以上だと同時廃止になります。
ただし、不動産売却価格は変動するため、総合的に判断されることになるでしょう。
免責不許可事由に該当する可能性がある場合
財産がないケースであっても、免責不許可事由に該当する場合は破産管財人が選任されます。
免責不許可事由に該当する例は、以下のとおりです。
- 破産手続や免責手続において虚偽の説明・陳述をした場合
- 浪費やギャンブルによって負債を増やした場合
- クレジットで購入した商品をすぐに換金して負債を増やした場合
- 財産を隠したり,価値を減少させるような行為をした場合
- 支払能力について,債権者を欺いた場合
- 過去7年以内に確定した免責許可決定を受けている場合
参照元:裁判所「自己破産の申立てを考えている方へ (免責手続について)」
上記に該当するケースでは支払義務が免除されないため、裁判所によって破産管財人が選任されることになるでしょう。
ただし、免責不許可事由に該当する行為があった場合でも、その程度が軽微であれば、同時廃止になることもあります。
破産管財人による任意売却の手続きの流れ
破産管財人による任意売却の手続きは、以下の流れで行われます。
破産者がすることはほとんどなく、基本的には破産管財人が手続きを行います。
破産管財人と面会する
自己破産を申し立てて管財事件になると、最初に破産管財人となる弁護士と面会が行われます。
面会では破産管財人から債務の経緯や保有資産などを質問され、今後の流れなどを打合せするのが一般的です。
また、面会の際に家の鍵や必要書類も破産管財人に渡します。
破産管財人に渡す必要書類は、以下のとおりです。
- 登記識別情報(登記済権利証)
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 住宅ローンの償還表(返済計画表)
- 不動産売買契約書
- 覚書 など
不動産会社に査定を依頼する
面会が終われば、破産管財人が不動産の売却を進めます。
破産管財人は不動産会社に物件の査定を依頼しますが、どの不動産会社に依頼するかは破産管財人が決定します。
また、任意売却での売却相場は、通常の売却時の8~9割程となるのが一般的です。
金融機関に抵当権を外してもらう
抵当権を外さないと売却できないため、破産管財人が金融機関に抵当権を外してもらう交渉を行います。
競売より任意売却のほうが高く売れるため、適正な査定額であれば、金融機関から同意を得られる可能性は高いといえるでしょう。
ただし、需要がなく、売却自体難しい場合は金融機関から同意が得られない場合もあります。
金融機関から同意を得られれば、抵当権を外してもらい、売却活動を開始します。
金融機関から同意が得られない場合
通常の任意売却の場合は金融機関から同意が得られない時点で任意売却はできなくなりますが、破産管財人による任意売却では、「担保権消滅の許可の申し立て」を行うことが可能です。
破産管財人が裁判所に申し立てれば、裁判所の職権で抵当権が抹消できます。
ただし、破産管財人の申し立てから1ヶ月の間であれば、金融機関は以下のどちらかで対抗できます。
- 抵当権を実行して競売にかける
- 破産管財人が提示する価格に5%以上を上乗せして買い受ける
購入希望者を探して売買契約を締結する
破産管財人が不動産会社に依頼して売却活動を開始します。
購入希望者を探す方法は通常の売却と同じですが、人気があれば、「任意入札」という方法を取る場合もあります。
購入希望者が複数いる場合で行うオークション形式で買主を決める方法のこと
買主が決まれば、所有者ではなく破産管財人の名義で売買契約を締結します。
決済する
買主と売買契約を締結したら、破産管財人が決済および物件の引渡しを行いますが、原則として破産者も立ち会いが必要です。
不動産の代金は基本的に債権者への配当金となりますが、金融機関との交渉によって引越し代金がもらえる場合もあります。
破産管財人が任意売却をする際に必要な書類
破産管財人による任意売却における所有権移転登記に必要な書類は、以下のとおりです。
- 破産管財人の選任書(3ヶ月以内のもの)
- 裁判所の売却決定許可書
- 固定資産評価証明書
- 破産管財人の印鑑証明書
- 破産管財人の本人確認書類
抵当権抹消登記がある場合は、抵当権者の委任状、抵当権者の資格証明書(3ヶ月以内のもの)が必要になります。
破産管財人による任意売却についてよくある質問
破産管財人による任意売却は、通常の任意売却と比較して複雑で難しい手続きといえます。
破産管財人による任意売却についてよくある質問を紹介します。
購入希望者が見つからない場合は?
通常の任意売却の場合も同様ですが、金融機関の同意を得ていたとしても買主がいないと破産管財人による任意売却は成立しません。
なかなか購入希望者が見つからない場合は、金融機関が強制的に競売にかける可能性があります。
抵当権は自己破産の手続きよりも優先される権利なので、金融機関が裁判所に競売を申し立てた場合は破産管財人でも止められません。
任意売却は競売よりも高く売れますが、売却に時間がかかり過ぎると競売に移行される可能性が高くなるでしょう。
破産管財人による任意売却の手続きに費用は発生する?
破産管財人による任意売却の手続き自体には費用はかかりません。
不動産の売却にかかる仲介手数料などの諸経費は売却代金から差し引かれます。
ただし、破産管財人の費用として20万円程度の予納金が必要で住宅ローンの残債が多ければ、もっとかかることもあります。
住宅ローンの返済が厳しい場合は不動産会社に相談(任意売却)
住宅ローンの返済が難しいため任意売却を検討する際は、専門の不動産会社に相談しましょう。
自己破産する前に自分で任意売却の手続きを進めても、売却できずに金融機関から強制的に競売にかけられる可能性があります。
また、任意売却における金融機関との交渉では、不動産取引以外にも専門的な知識が必要になります。
任意売却に関して相談する不動産会社を選ぶ基準は、以下のとおりです。
- 弁護士と提携している
- 任意売却の実績がある
- 短期間で現金化できる
上記の基準を満たした不動産会社であれば、任意売却できる可能性が高くなるでしょう。
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住宅ローンの返済が厳しい方は、アルバリンクに売却して一刻も早く負担から解放されましょう。
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まとめ
今回は、破産管財人による任意売却について詳しく解説しました。
通常の任意売却と破産管財人による任意売却では手続きの流れが異なり、一般的に20万円程度の予納金が必要で一般的です。
また、破産管財人による任意売却であっても売却に時間がかかる場合は、金融機関から強制的に競売にかけられる可能性もあります。
任意売却を成功させる確率を上げたいのであれば、任意売却の取り扱いに長けた買取業者に依頼することも選択肢の1つです。
なお、弊社アルバリンクも任意売却物件を伴う物件でも取り扱いが可能な業者で、「フジテレビ」をはじめとする各メディアにも取り上げられた実績があります。
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