共有名義の不動産は共有者全員が合意しないと全体として売却できない
共有名義になっている不動産の「全体」を売却したい場合には、「共有者全員の合意」が必要です。
共有名義の不動産には、処分(売却)や管理の際にさまざまな制限がかかっていますので確認してみましょう。
「共有名義」とは不動産を二者以上で保有していること
「共有名義」とは、一つの不動産を二者以上で保有していることです。
登記簿は「土地一筆」「建物一棟(マンションなら一部屋)」ごとに編成されていますが、共有物件の場合は登記簿の甲区(所有者などを示す欄)に各共有者の「持分」と「住所氏名」が記載されます。
参照元:e-Gov法令検索|不動産登記法 第27条(表示に関する登記の登記事項)
持分は数字で記載されているものの、物理的に北側、南側などのように権利を分けるわけではなくあくまで観念的なものですので、共有者全員に共有物件全体を使用収益する権利があります。
たとえ持分の多い人であっても、1人で独占的に使用してよいわけではありません。
ただし、現実的に1人で使用する状況になることもありますので、そのような場合は「持分に応じた賃料を他の共有者に渡す」などの方法でバランスを取ることになるでしょう。
なお、共有名義について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
共有不動産は全員の共有物として売却や管理が制限される
共有名義の不動産は共有者全員の財産ですので、売却や管理が制限されていることに注意が必要です。
行為の種類 | 合意が必要な共有者の数 |
---|---|
変更(処分)行為 | 共有者全員の合意が必要 |
管理行為 | 共有者の持分価格の過半数でできる |
保存行為 | 各共有者が単独でできる |
変更行為
変更行為とは、民法第251条において、以下のように定義されています。
(共有物の変更)
民法第251条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。引用元:民法第251条
「変更(処分)行為」というのは、具体的には次のようなものです。
- 売買や贈与のような所有権を失う契約
- 担保権(抵当権など)、用益権(地上権など)を設定する契約
- 建物の大規模修繕や建て替え
- 土地上への建物の建築
つまり、不動産を物理的、法律的に根本から変えてしまうような行為ですので、共有者全員の合意が必要とされるのです。
管理行為
管理行為とは、民法第252条において、以下のように定義されています。
(共有物の管理)
第252条
1.共有物の管理に関する事項(次条第1項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第1項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。) は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。引用元:民法第252条
「管理行為」というのは、具体的には次のようなものです。
- 共有物の使用方法の決定
- 賃貸借契約の締結(ただし、短期賃貸借の範囲を超えないものや、借地借家法の適用を受けないもの)
- 賃貸借契約の解除
※短期賃貸借の範囲「山林10年、山林以外の土地5年、建物3年、動産6カ月」(民法602条)。
つまり、共有物の性質を変えない範囲での利用、改良行為ということですが、共有者の持分価格の過半数の合意が必要とされています。
保存行為
「保存行為」は、民法第252条5項において、以下のように定義されています。
保存行為
各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。引用元:民法第252条5項
「保存行為」というのは、具体的には次のようなものです。
- 共有不動産の修繕
- 無権利者に対する明渡し請求や抹消登記請求
つまり、共有物を現状維持するための行為ということですが、各共有者が単独で行うことが可能です。
これまで解説してきた通り、共有不動産全体に対して共有者の1人のみの判断で行える行為というのは限られています。
よって、特に他の共有者との関係が悪い人であれば、話し合いやトラブルを避けるために共有関係そのものから抜けた方がよいこともあるはずです。
「共有持分のみ」なら他の共有者も合意なしで売却できる
上記の「共有物に関する処分等の制限」はあくまでも共有物全体に対して行う場合のことですが、自分自身の共有持分のみであれば自分1人の判断で売却することも可能です。
共有持分だけに限っていえば完全に自分だけの財産といえるため、他の人が介入する余地はないからです。
なので、共有持分を売却すれば、他の共有者と顔を合わすことなく共有関係から抜け出すことができます。具体的な売却方法については、後の章で解説していきます。
共有持分の売却に同意がいらないことについては、以下の記事でも深く解説していますので、参考にしてください。
他の共有者の反対により共有名義の不動産が売却できないときの4つの対処法
上記のとおり、他の共有者全員の合意が得られなければ「不動産全体」の売却は不可能ということになりますが、全体売却以外の方法で共有関係から抜ける方法を考えてみましょう。
なお、共有名義の解消については、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
他の共有者に持分を買い取ってもらう
他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう方法があります。
特に「相続した実家」などでは、兄弟のうち「売却したい人」と「実家を守りたい人」が対立することがよく起こります。
売却したい人としたくない人、両者の意見がどうしても折り合わず、かつ売却を拒む側に資金の余裕がある場合には、売却したくない人が売却したい人の持分を買い取って共有名義を解消することが可能です。
ただし、交渉する過程でトラブルにならないようにする工夫が必要です。
買い取りを申し入れる時に有力な説得の方法として、
「共有のままだと将来相続が起きたときに、子供や孫に迷惑をかけることになる。」
「例えば、今は兄弟の私たちで共有しているけど、私が死んだら、おじと甥で共有になる。」
「私は現状、住むつもりも活用するつもりもないから、持ち続けたいなら私の持分を買い取ってほしい」
といった理由を具体的に掲げて、相手方に将来の不動産の行方をイメージしてもらうのです。
相手方も自分や自分の子供に面倒な問題が降りかかることが理解できれば、交渉に応じる可能性が高くなるでしょう。
他の共有者から持分を買い取って名義を一本化してから売却する
上記とは逆に、自分が相手から持分を買い取って自分の単独名義にした上で売却する方法があります。
ただ、いったん自分が買い取る方法は、二度手間になるという点から避けた方がよいでしょう。
相手の持分を買い取れるということは話し合いが可能な関係にあるということですから、それなら最初から合意をして共有者全員での全体売却を行った方が早いといえます。
相手から自分への「持分を移転する登記申請」にも税金や司法書士報酬が発生するため、1回分の余分なコストを避ける意味でも最初から全体売却の方向で交渉することをおすすめします。
なお、共有名義の不動産の名義をまとめる方法については、以下の記事で解説していますので、併せてご確認ください。
共有持分のみを第三者へ売却する
上に解説したとおり、「自分の持分のみ」の売却であれば他の共有者の合意は必要なく、自分だけの判断で「第三者」へ売却することも可能です。
ただし、元々の共有者以外の一般個人が共有持分だけを買い取るメリットはないため、不動産仲介業者が取り扱ってくれることはありません。
また、不動産業者自体に買い取りを依頼しても、一般的な業者は買取後の取り扱い方法がわかっていないため買い取ってもらえることはありません。
しかし、「持分買取を専門とする不動産業者」であれば、条件が折り合えば買い取ってもらうことが可能です。
持分買取専門業者は買い取りまでのプロセスも非常に慎重に行います。
他の共有者にバレないよう、売却完了までをすみやかに行うため、共有から離脱したい人もすぐに売却代金を手に入れた上で後腐れなく不動産の利害関係から抜けることが可能となります。
なお、弊社アルバリンクは持分買取を専門に扱う買取業者です。
持分買取についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
>>【どんな共有持分でも買い取ります】完全無料の相談窓口を利用する
※「物件住所」「氏名」「メールアドレス」を伝えるだけで相談を依頼できます。(※個人情報保護は万全です)
※無料相談はサービスの一環であり、買取を前提とするものではありませんので、お気軽にご利用ください。
また、優良な共有持分買取業者の選び方は以下の記事で詳しく解説しておりますので、気になる方は参考にしてください。
共有物分割請求を起こす
どうしても他の共有者との話し合いがまとまらない、またはそもそも協議を拒まれているなどの場合は、「共有物分割請求訴訟」を起こす方法があります。
共有物分割請求訴訟は、
- 当事者が裁判所に具体的な分割方法を提示しなくても、裁判所が最終的な分割方法の判断を下す。
- 当事者の希望と異なる分割方法での判決が出ることもある。
という意味で一般的な裁判とは異なります。
また、「固有必要的共同訴訟」と呼ばれる特殊な形態の訴訟であり、争いになっていない当事者であっても共有者であれば必ず原告か被告にならなければならないのです。
よって、争いたくない人も巻き込む裁判となりますので、すでに関係が崩壊していてどうにもならない場合の最後の手段として考えるべきです。
裁判の結果として不動産が競売にかけられ、相場よりも半額くらいの安価な金額で競落されるなど、想定外の状況が生じることもあります。
その上、弁護士を雇うことでコストもかかりますし、解決までに数年かかることもあり経済的、精神的な負担が大きいため、裁判までするくらいであれば自分の持分だけ売却する方が賢明といえます。
共有物分割請求については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
共有持分を売却する際の価格相場
自分の共有持分のみ売却する場合、どのくらいの価格で売れるのか、相場を確認してみましょう。
他の共有者と持分を売買する場合
他の共有者に持分を売却する、あるいは自分が他の共有者の持分を買い取る場合は、ほぼ市場の相場に近い価格で取引することも可能です。
例)時価5,000万円の不動産をAとBとCが3分の1ずつ共有している。
Aが自分の持分3分の1をBに売却するのであれば、1666万円で売却することが可能。
もともと持分を保有する人であれば、他の共有者の持分を買い取って単独名義にすれば不動産自体の利用価値はむしろ上がるためメリットが大きく、時価で購入することに問題はないからです。
売主にとっても交渉がしやすい場面といえます。
ただし、共有者同士は親戚や知人であることも多いため、ある程度柔軟な交渉が行われることもありますが、ひとつの目安として交渉の前に時価を知っておくことも大切です。
第三者に持分を売却する場合
第三者に持分のみを売却する場合、時価(上記の例では5000万円×持分1/3=1,666万円)よりもさらに半額程度になってしまうことが多くなります。
持分のみを買い取った第三者は他人と共有することになるため物件の利用に制限がかかり、100%自由になるわけではないからです。
例えば、物件全体を第三者に売却したい、または賃貸したいと考えても他の共有者と相談しなくては決められないとなると、他人同士であればなおさら話し合いが困難になるでしょう。
自身の共有持分を相場以上で売却するテクニック
自分自身の共有持分を相場以上の高値で売却するためのテクニックを考えてみましょう。
他の共有者への持分の売却は、状況によりできる人とできない人に分かれるため、持分買取専門の業者への売却に絞って解説します。
他の共有者と各自の持分割合を調べておく
不動産の共有者全員の持分割合を調べておくことは必須です。
共有者がどのようなメンバーで、持分割合がどのようになっているかをあらかじめ把握できれば不動産業者も買い取りがしやすく、高値をつけやすいからです。
状況が不透明な物件はやはり購入後の流れが読みにくいため、どうしても高値をつけることが難しくなってしまいます。
持分割合を把握するにあたっては、手元に古い登記簿があったとしても最新の登記簿を取り寄せるべきです。
登記簿(登記事項証明書)は現在では全国の不動産が各法務局で取得可能な他、インターネットで登記情報として取得することも可能です。
ただし、インターネット登記情報は官公庁などの添付書類としては使用できないこともあるため、税務申告等に使用する場合には法務局で請求するようにしましょう。
なお、共有の内容が単純なものであれば個人で登記簿を読んで把握することも可能ですが、中には複雑な登記簿も存在します。
例えば、下図では甲区1番でAの単独名義だったものが、甲区2番でBに2分の1を贈与しています。
ここまでで終わっていればさほど難しくありませんが、次に甲区3番でAの持分をBが相続してBの単独名義になった後、Bはさらに持分2分の1をCに売却しています。
つまり、甲区4番までいくと最終的にBとCの2分の1ずつでの共有名義という結果になっています。
このように1人が数回に分けて持分を取得していたり、持分をいったん取得した人がさらに転売していたりするケースもあります。
順位番号が進んでいる(=箱の数が多い)登記簿であれば一度司法書士に相談し、正確に現状を把握することをおすすめします。
他の共有者との交渉を安易に進めない
すでに他の共有者との関係があまり良くない場合は、安易に話し合いを持とうとすることは避けた方がよいでしょう。
持分のみの売却であればそもそも相談せず自分だけの判断で可能なのですから、わざわざ波風を立てることは売却を困難にするだけです。
仮に、売却希望者が他の共有者と話し合おうとしてそこでこじれたりすれば、共有持分買取業者が購入して他の共有者に接触を試みても、全く応じてもらえないリスクが生じます。
よって、紛争を理由に持分購入自体を買取業者に拒まれてしまうことがあるのです。
まずは一切触らずに買取業者に相談、という形をとる方がスムーズに進む可能性が高いでしょう。
複数の買取業者に査定依頼を出す
共有持分売却を検討するにあたって、複数の業者に査定依頼を出しておくことも重要です。
共有持分の価格は、査定する業者によって変わるからです。
ただ、気をつけなければならないのは、売却希望者の同意を得ずに契約前に他の共有者に連絡してしまい、トラブルを招く悪徳業者も存在するということです。
次の項を参考にして、トラブルを回避することが可能であり、安心感のある不動産業者を選ぶようにしましょう。
安心して共有持分の買取を任せられる業者を選ぶ
共有持分の売買を安心して任せられる業者を選ぶ基準について説明します。
買取実績を見る
ピックアップした買取業者が「年間何件くらいの物件を取り扱っているのか」や「創業以来何件くらいの買取実績があるのか」という点を確認してください。
「実績がない」ということは、「お客様に求められていない=サービスの質に問題がある」ということの証拠だからです。
ちなみに、弊社は年間600件の買取実績(※)があり、他社で断られた物件でも買い取れる可能性があります。
※2023年1月1日~2023年10月25日現在の実績:相談/5,555件:買取/600件
具体的には揉めている共有持分の他、老朽化した空き家、ゴミ屋敷、再建築不可物件、事故物件などの取扱い実績もあります。
仮に他社で安価に買い叩かれそうなおそれのある物件でも、豊富な売却経験に基づくノウハウのある弊社であれば適正価格で買い取ることが可能ですので、気軽にご相談ください。
>>【どんな物件でも買い取ります】完全無料の相談窓口を利用する
※「物件住所」「氏名」「メールアドレス」を伝えるだけで相談を依頼できます。(※個人情報保護は万全です)
※無料相談はサービスの一環であり、買取を前提とするものではありませんので、お気軽にご利用ください。
口コミを見る
買取業者を選ぶときは、「口コミ」を参照することも大切です。
口コミがあれば、お客様に満足されている何よりの証拠だからです。特に手書きの口コミであれば、さらに信憑性は上がります。
ちなみに、弊社はお客様から直筆の口コミをいただいており、
- 「対応がスピーディー」
- 「他社に相手にされなかった物件でも3カ月で売却を完了でき、とても信頼できる会社」
- 「心の荷物がおろせました」
とのご感想が寄せられています。
Google口コミでも高い評点をいただいておりますので、安心感を持って持分を売却したいとお考えなら、まずは弊社へお問い合わせください。
※「物件住所」「氏名」「メールアドレス」を伝えるだけで相談を依頼できます。(※個人情報保護は万全です)
※無料相談はサービスの一環であり、買取を前提とするものではありませんので、お気軽にご利用ください。
信頼できる買取業者に金額交渉をしてみる
信頼できる買取業者を見つけたら、まずは金額交渉をしてみましょう。
上記のとおり、売却希望者自身があらかじめ共有者や持分割合を把握しておくことが必要ですが、査定してもらった段階で不動産業者から査定根拠を説明してもらうことも大切です。
また、相見積もりを取った場合に他の不動産業者がもっと高額を提示していた場合は諦めずに相談してみましょう。
親身になってくれる担当者であれば上長に掛け合い、金額を上乗せできる可能性がないかどうか検討してくれるはずですし、もしどうしても無理なときは、理由をしっかりと説明してくれます。
納得できるまで相談し、説明を受けるようにしましょう。
共有名義不動産の売却時にかかる費用・税金
売却を実行に移す前に、共有名義不動産の売却時にどのような費用や税金がかかるのかを把握しておきましょう。
譲渡所得税
譲渡所得税は、売却によって得た利益に対して課せられる税金ですが、所得税(復興特別所得税を含む)と住民税を合算したものです。
参照元:国税庁|No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
譲渡所得税を算出するには、大まかに次の順序で行います。
- 「譲渡所得」を算出
- 「譲渡所得」から「特別控除」などの金額を引いて「課税譲渡所得」を算出
- 「課税譲渡所得」に税率を掛けて税額を算出
順番に計算式を見てみましょう。
①の計算式
譲渡所得 = 譲渡収入金額−(取得費 + 譲渡費用)
※取得費・・物件購入代金や仲介手数料、取得のためのリフォーム代など
※譲渡費用・・物件売却のための仲介手数料や登記費用など
②の計算式
課税譲渡所得 = 譲渡所得 −特別控除
※特別控除・・マイホームの3,000万円特別控除など
参照元:国税庁タックスアンサー「No.3302 マイホームを売ったときの特例」条件を満たすマイホームの売却については譲渡所得から3,000万円を差し引くことができる。
③の計算式
税額 = 課税譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)
なお、税率は不動産の「所有期間」で変わります。
不動産を売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えているなら「長期譲渡所得」、5年以内なら「短期譲渡所得」となりますが、10年を超える所有期間の居住用不動産はさらに特例があります。
- 長期譲渡所得
- 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
※10年を超える所有期間で要件(※)を満たす場合の特例
・課税譲渡所得6,000万円以下の部分:14.21%(所得税10.21%、住民税4%)
・課税譲渡所得6,000万円超えの部分:20.315%(所得税15.315%、住民税5%) - 短期譲渡所得
- 39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
※居住用の不動産(自宅)を売却していること
※両親や配偶者、同一生計家族や内縁関係にある者等、特別な関係のある者への売却ではないこと
※売却した年から数えて、前年及び前々年に他の特例の適用を受けていないこと(マイホームの3,000万円特別控除を除く)
参照元:国税庁|長期譲渡所得の税額の計算
参照元:国税庁|短期譲渡所得の税額の計算
例)住宅用に使用していた土地を「所有期間11年」で売却した場合
土地購入時の価格 5,000万円(取得費150万円)
土地売却時の価格 9,000万円(譲渡費用250万円)
譲渡所得=9,000万円ー5,000万円ー(150万円+250万円)=3,600万円
3,600万円ー3,000万円(マイホームの特別控除)=600万円
譲渡所得税=600万円×14.21%=85万2,600円
※仮に住宅を取壊してからの売却であれば次の2点を満たすことが必要
1:その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
2:家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
登録免許税
登録免許税とは、登記の際に法務局に納める国税です。
参照元:国税庁|登録免許税のあらまし
売主側は、登記簿上と現在の住所が変更していたり抵当権を抹消する必要がある場合などに「不動産の個数×1,000円」がかかってきます。
一般の取引慣習として所有権移転登記の登録免許税は買主側が負担しますが、登録免許税は不動産の価値によっては高額となることもあります。
税率は次のとおりです。
土地の売買:固定資産税評価額×15/1000
(令和8年3月31日までの軽減措置であり、以降軽減措置の延長がなければ20/1000)
建物の売買:固定資産税評価額×20/1000
※建物については、住宅用家屋について3/1000となる他、性能などに応じた軽減措置があります。
例)固定資産税評価額5,000万円の土地と500万円の建物を売買した場合
土地 5,000万円×15/1000=75万円
建物 500万円×20/1000=10万円
参照元:法務局|登録免許税の計算 売買、相続などによる所有権の移転の登記
司法書士報酬
司法書士報酬は、登記申請を司法書士に依頼した際の手数料です。
現在は司法書士事務所ごとに異なりますので事前に見積もりを取ることが必須です。
一般的には、不動産の登記申請一つについて「3万円~7万円程度」の報酬が、そして不動産が増えるごとに「筆数加算」という形で定額が上乗せされるのがよくあるパターンです。
その他の司法書士費用として、代金決済の立会料、登記簿謄本の取得費用や郵送料などの実費がかかりますので、見積書の内訳をしっかり説明してもらうようにしましょう。
まとめ
今回は、共有名義の不動産を売却できない場合の対処法について解説してきました。
共有名義の不動産は、共有者全員の同意がなければ売却できません。ですから、共有者のうち一人でも「売りたくない」という人がいれば、不動産を売却することはできません。
ですが、「共有持分のみ」であれば、共有者の同意なしで売却することが可能です。持分は個々の「権利」なので、自分の判断で自由に売却できるのです。
ですから、あなたが「不動産が売れる売れないに関係なく、とにかく共有関係から抜け出したい」とお考えなら、持分のみを売却するのがおすすめです。
ただ、売却先は「専門の買取業者」の一択です。持分のみを欲しがる一般個人はほぼおらず、売りに出しても売れないからです。
なので、「共有関係のストレスから解放されたい」と思っているなら、専門の買取業者に依頼して持分のみを買い取ってもらってください。
なお、弊社は共有持分の買取に強い専門の買取業者です。
「共有持分をできる限り高く売却し、共有関係のストレスから一刻も早く解放されたい」とお考えの場合は、一度弊社へご相談ください。
※「物件住所」「氏名」「メールアドレス」を伝えるだけで相談を依頼できます。(※個人情報保護は万全です)
※無料相談はサービスの一環であり、買取を前提とするものではありませんので、お気軽にご利用ください。