賃貸物件を選ぶ際には「交通アクセス」「広さ」などさまざまな条件を出して慎重に選ぶ人も多いでしょう。
しかしいい物件を見つけたと思っていても、実際に暮らし始めると「住みにくいな」と後悔することもあります。
とくに間取りや設備の不便さは、日常的なストレスにつながりやすくなります。
今回は賃貸物件に住んだことがある472人にアンケートを実施。
「住みにくい賃貸の間取りや設備」や「選んでよかった便利な間取りや設備」について聞きました。
- 調査対象:賃貸物件に住んだことがある人
- 調査期間:2025年2月27日~3月10日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:472人(女性307人/男性165人)
- 回答者の年代:10代 0.2%/20代 16.5%/30代 36.9%/40代 24.2%/50代 17.8%/60代以上 4.4%
賃貸物件で住みにくいと感じたことがある人は96.8%
賃貸物件に住んだことがある472人に「賃貸物件で住みにくいと感じたことはあるか」を聞いたところ、「ある(96.8%)」と答えた人が9割を超えました。
賃貸でもマイホームでも「間取りや設備がパーフェクト」と感じることは少ないものです。
ただ通常の賃貸だと、分譲マンションなどに比べて設備のモデルが安価なものだったり、狭め・部屋数が少なめだったりします。
また退去時に原状回復する必要があり、自分が住みやすいように大がかりなリフォームやカスタマイズを施すのは難しいケースがほとんどです。
そのため多くの人が賃貸で「住みにくいな」と感じた経験があるのだと推測できます。
住みにくい賃貸物件の間取りや設備1位は「ユニットバス」
「住みにくい賃貸物件の間取りや設備」の1位は「ユニットバス(25.4%)」、僅差の2位は「収納が狭い(25.2%)」でした。
3位に「キッチンが狭い(15.9%)」が続きます。
「水回り設備の不便さ」と「狭さ」を挙げた人が多くなりました。
水回りについては毎日使う場所であることから、設備の弱さや使いにくさについて気になった人が多いのだと推測できます。
「収納が狭い」「キッチンが狭い」「ワンルームで部屋が全体的に狭い」などの狭さも、住みにくさを感じる要因として大きいことがわかりました。
1位 ユニットバス
- ユニットバスは掃除が大変(20代 女性)
- 誰かがお風呂に入っているときにトイレしにくいし、衛生的にも不安(40代 女性)
- 単身赴任のワンルームマンションなので仕方ないと思いますが、やはりユニットバスだけはいただけないです。お風呂やトイレは、一人暮らしであってもゆっくり使いたいので(50代 男性)
1位は「ユニットバス」です。
賃貸物件ではスペースを節約するために、2点ユニット(お風呂と洗面台が一緒)や3点ユニット(お風呂・トイレ・洗面台が一緒)を導入していることも多くなっています。
ただ「掃除しにくい」「誰かが入浴していると、トイレに行きにくい」「リラックスしにくい」などのデメリットがあります。
一人暮らしなら、お風呂とトイレの同時利用についてはあまり気にならないのですが、「誰かが泊まりに来たときに困る」という人もいました。
2位 収納が狭い
- 収納がなくて、部屋に棚を置く必要があったので、部屋が狭くなったこと(20代 女性)
- 収納が狭いと、生活スペースに物を置いてしまい、散らかって見えるため(30代 男性)
- 一軒家からの引っ越しで、荷物が多すぎた(40代 男性)
2位は「収納が狭い」でした。
賃貸物件では備え付けの収納がなかったり、あっても狭かったりすることも多いです。
そのため荷物を収納する場所がなく、物が生活スペースに出てしまい、困った人も多くなりました。
収納棚を自分で購入して設置することも可能ですが、収納グッズを置くことで部屋は狭くなります。
「新居に運び込みたい荷物が多い」という人にとっては、住みにくさのポイントになりやすいとわかります。
3位 キッチンが狭い
- キッチンがとにかく狭く、大変不便でした。人が2人入れないので、動線がうまく行かなくて大変でした(20代 女性)
- ミニキッチン。コンロが一口しかなく、調理する場所や物を置く場所がないので料理がしづらい(30代 女性)
- 狭いキッチンでは、料理をするときに十分な作業がスペースなくて、調理器具や食材を置く場所がほとんどありませんでした(40代 男性)
3位は「キッチンが狭い」でした。
とくに単身者用の賃貸物件では、「ついているのが一口コンロのミニキッチン」など、キッチンが手狭になっていることも多いです。
作業スペースが十分になく、「調理に時間がかかる」「動きにくい」と感じた人が多くなりました。
例えば一口コンロだと、「鍋でスパゲッティを茹でながら、フライパンではソースを用意する」などの同時調理ができなくなります。
料理好きな人や自炊したい人にとっては、キッチンが狭いことは大きなデメリットだと言えます。
4位 ロフトがついている
- 収納スペースにしたら荷物を下ろすのが大変で、寝室にしたら寝ぼけて落ちそうになったので、使わなかった(20代 女性)
- 最初は「カッコいい」と思ってロフトつきの部屋を借りたが、寝るためだけにロフトに上ることが面倒に感じたため(20代 男性)
- ロフトにベッドを置いていましたが、夏は暑くて眠れなかったです(30代 女性)
4位は「ロフトがついている」となりました。
おしゃれで便利なイメージのロフトですが、実際にはロフトつきの賃貸物件に住んで「使いにくい」と感じた人も多いとわかります。
ロフトつき物件に住みにくい理由としては「上下移動が面倒・危険」「ロフトで寝ると暑い」「掃除が面倒」などが挙げられました。
ロフトつき物件に住んでいたものの、ロフトはほぼ使っていなかったという人もいます。
おしゃれなイメージで決めるのではなく、「本当に自分はロフトを使うのか」「使いやすいロフトなのか」を考えたほうがいいとわかります。
5位 動線が悪い
- パントリーがキッチンと離れていて、買い物後の食材収納や料理の作業効率が悪くなる(40代 女性)
- お風呂が遠い。冬場などはお風呂から出てきても冷えてしまうから(50代 男性)
- キッチンが居間と離れていたこと。料理を運んだり片付けたりするのが大変。料理中、居間にいる子どもの様子がわからなかった(60代以上 女性)
「動線が悪い」が5位です。
賃貸物件では「家事動線の効率化」よりも、「スペースの節約」や「配線・配管のコスト」を優先して間取りが決められることもあります。
そのため配膳や洗濯物を干す際の動線が悪くなり、ストレスを感じる人もいるとわかりました。
子育て世帯であれば、子どもとコミュニケーションが取りやすい間取りになっているかも重要です。
また将来も賃貸物件に住み続けるのであれば、「トイレやお風呂に行きやすいか」など、介護が始まったときの動線についても考えておく必要があります。
6位 ワンルーム
- 狭かったから(20代 女性)
- 玄関ドアを開けるとすぐ寒くなる(30代 男性)
- ワンルームにキッチンがついていて、ワンルームから直接浴室に入る間取り。料理をしたら、臭いが部屋じゅうにこもる。また脱衣所がないので、人がいるときはお風呂に入れない(30代 女性)
「ワンルーム」が6位です。
単身者向けの賃貸物件として人気のワンルームですが、住んでみて「住みにくい」と感じた人も多くなりました。
多くの人が「狭さ」を理由として挙げています。
またワンルームは1Kと違ってキッチンが独立していないので、料理の臭いが部屋にこもりやすいのもデメリットです。
廊下がないタイプのワンルームも多く、玄関を開けるとすぐ外気が入ってくるほか、玄関から中が丸見えになりやすくて気にする人もいます。
7位 温水洗浄便座がない
- 温水洗浄便座のある家に住んだ後、ない部屋に住むと、便器が冷たいと感じる(30代 女性)
- 温水洗浄便座があるトイレをずっと使っていたので、今回温水洗浄便座がないトイレの物件を借りることになって困った(50代 男性)
「温水洗浄便座がない」が7位となりました。
温水洗浄便座に慣れている人が温水洗浄便座なしの賃貸物件に住むと、不便を感じることも多いとわかります。
「用を足した後に洗えなくて不潔だと感じる」「便座が冷たくて冬は辛い」などの理由からですね。
「どうしても温水洗浄便座が欲しい」という場合には、大家さんや管理会社と交渉すれば、許可を得られる可能性があります。
住んでみて便利だった賃貸物件の間取りや設備は「宅配ボックスつき」
「住んでみて便利だった賃貸物件の間取りや設備」を聞いたところ、1位は「宅配ボックスつき(21.8%)」でした。
以下、2位「収納が多い(11.0%)」、3位「オートロックあり(7.4%)」、4位「浴室乾燥暖房機つき(6.4%)」、5位「1K(6.1%)」の結果でした。
「宅配ボックス」「オートロック」など、「部屋の外にある設備」を挙げた人もが多くなっています。
つまり快適に住める賃貸物件を選ぶ際には、部屋の中だけではなくエントランスの設備をチェックすることが重要だとわかりました。
1位 宅配ボックスつき
- 置き配でも盗まれる心配がなく、安心だから(20代 女性)
- 仕事で日中は不在のため、宅配をなかなか受け取れないので、宅配ボックスはとても助かった(30代 女性)
- 再配達の手間を省ける(40代 男性)
1位は「宅配ボックスつき」です。
「宅配ボックスは必需品」というコメントもあり、通販サイトを利用する人が増えていることから、宅配ボックスのニーズが高まっているとわかります。
宅配ボックスがあれば、仕事や学校で不在にする時間が長くても、再配達の手間がなくなるからですね。
とくに「単身」「仕事が学校で帰宅が遅くなる」という人にとっては、ありがたいでしょう。
ただ「宅配ボックスで住民同士が揉めていた」という気になるコメントも。
便利な一方で、「宅配ボックスに物を入れっぱなしにしている人がいて、他の人が使えない」といったトラブルが起きることもあります。
「宅配ボックスはあるけど、実際には使えない」とならないように、設置数もチェックしておくといいですね。
2位 収納が多い
- 外ロッカーあり。ロッカーにタイヤなどを入れておけるから(20代 男性)
- 部屋全体が狭くても収納スペースが大きいことでスッキリと過ごせるので、圧迫感を感じませんでした(30代 女性)
- 備え付けのクローゼットがたくさんあり、引っ越しごとに家具を買い換えなくてよかったので、助かった(40代 女性)
2位は「収納が多い」でした。
住みにくい賃貸物件の特徴でも2位は「収納が狭い」だったので、収納は賃貸物件選びで重要なポイントになるとわかります。
収納が多くて物をきちんと片付けられれば、部屋の中はスッキリして住みやすくなります。
なお一般的な収納であるクローゼットや押入れ以外にも、「玄関収納」「屋外ロッカー・倉庫」が充実していて助かったという人も。
「ベビーカーがあるから、玄関収納は便利だった」「冬タイヤの保管場所として、外倉庫は便利」など、世帯によって便利な収納が異なることもわかりました。
3位 オートロックあり
- 子育て世帯だと、セキュリティ面で安心(20代 女性)
- 住民以外が建物内に入ってくることがないから(30代 女性)
- セールスや勧誘が来ないので(40代 男性)
3位は「オートロックあり」でした。
オートロックがあると不審者の侵入を防ぎやすくなります。
そのため「女性の一人暮らし」「小さな子どもがいる」などセキュリティに配慮したい世帯では、ありがたい設備です。
またオートロックがあると、訪問者が来たときに「エントランスと部屋の中」という物理的に離れた場所での対応になるので、勧誘なども断りやすいメリットがあります。
4位 浴室乾燥暖房機つき
- 浴室乾燥に関しては、女性の一人暮らしには必須と言ってもいいかも。また湿気が多い地域だと臭くなる心配もないから便利(20代 女性)
- 乾燥機で乾かせない衣類を干せたり、冬には暖房機能で浴室を温められたりするから(30代 女性)
- 冬は寒いけど、浴室暖房のおかげで寒さがすごく和らいだこと(40代 男性)
4位は「浴室乾燥暖房機つき」となりました。
浴室乾燥暖房機があると、雨の日でも洗濯物を乾かせます。
また浴室を暖められるので、冬も寒さを感じにくくなって快適です。
全体的には浴室乾燥暖房機による快適さを評価している人が多くなりました。
ただコメントにもあったように、「防犯性」の面で浴室乾燥暖房機を評価している人も。
いつでも室内干しできることで、通行人などに洗濯物を見られる心配がなくなるからです。
5位 1K
- キッチンが部屋の中にないから、臭いや煙が部屋に直で入ってこない(20代 女性)
- 1Kだと掃除が楽で、部屋全体の収納に限りがあるため必要以上に物を買わなくて済む(30代 女性)
- なんでも手が届く。掃除が短時間で済む(40代 男性)
「1K」が5位です。
1Kは部屋ひとつにキッチンが別でついている間取りです。
狭いがゆえに「掃除しやすい」「スペースを持て余さない」「物を増やさないよう意識するようになる」といったメリットがあるとわかりました。
また「外気や音が入ってきにくい」「キッチンの臭いが部屋に入りにくい」などの理由で、「単身用でもワンルームではなく1Kがいい」と1Kを選んだ人もいます。
まとめ
多くの人が賃貸物件選びで後悔した経験をもっていることがわかりました。
とくに「ユニットバスの不便さ」や「収納とキッチンの狭さ」をストレスに感じた人が多くなっています。
「水回りの快適性」と「自分が新居にもっていく家財の量と、収納・広さの関係」が重要だとわかります。
一方「便利だった間取り・設備」としては、収納はもちろん「宅配ボックス」や「オートロック」など部屋外にある設備も挙がりました。
ランキング上位に入りませんでしたが「駐車場や駐輪場が使いやすいと便利」という意見も複数あり、内見する場合には建物自体の設備もチェックする必要があると言えそうです。