離婚したらマイホームを売る人は37.8%
既婚男女500人に「離婚したらマイホームをどうするか」を聞いたところ、「売る」と回答したのは37.8%。
一方、「売らずに夫か妻のどちらかが住む」と回答した人は6割近くにのぼりました。
さまざまな事情や心情から「離婚するからといって、簡単に家は手放せない」と考える人も多いようです。
「その他」の回答では、現時点ではわからないという人がほとんど。
ローン残額や離婚理由によって、扱いが変わってくると考えている人も多くなりました。
離婚したらマイホームを売る理由1位は「心機一転したい」
続いて、「離婚したらマイホームを売る」と答えた189人に「売る理由」を聞いたところ、「心機一転したい(59人)」が1位でした。
精神的な理由を挙げた人が多くなっています。
家を売却して利益が出れば、新しい生活を始めるための現金も手に入りますね。
2位は「一人には広すぎる(31人)」、3位「財産分与しやすい(29人)」でした。
1位 心機一転したい
- 夫婦生活を思い出してしまうので、リセットするために売る(30代 男性)
- スッキリするために、共有していたものはすべて売ってしまいたい気持ちがある(40代 女性)
- 一緒に住んでいた思い出から離れたいから(50代 女性)
1位は「心機一転したい」です。
離婚に至るまでは、ケンカやすれ違いといった辛い思い出ができるケースも多いですし、相手のことを心から嫌いになってしまうこともあります。
そのため「辛い思い出から離れたい」「家にいたら相手のことを思い出す」などの理由で売却を選ぶ人が多くなりました。
「心機一転したいだけなら、売却せずに自分が家を出るだけでいいのでは?」とも思います。
しかし「自分が住むのもイヤだし、相手が住み続けるのも許せない」という人もいるようです。
2位 一人には広すぎる
- 離婚したら一軒家はいらないと思う(40代 女性)
- 一人で住むには広すぎるので、自分に合った生活しやすい場所に移ります(50代 女性)
- 離婚すれば部屋数が少なくてすむので、売って小さい家に引越します(60代以上 男性)
「一人には広すぎる」が2位でした。
ファミリーや夫婦向けの家は、部屋数が多く一人では持て余してしまうことも。
掃除も大変なので、離婚したらこじんまりした家に引越したいと考える人も多くなりました。
広い家はゆったり過ごせますが、広すぎるとデメリットを感じる人もいます。
3位 財産分与しやすい
- 現金化したほうが財産分与しやすいから(30代 男性)
- 共有の財産なので、平等に分けるために売ります(40代 女性)
- キレイに財産分与したほうがスッキリするので、マイホームを売って現金化したい(50代 女性)
3位は「財産分与しやすい」でした。
(清算的)財産分与とは「結婚中に夫婦でつくった財産を、貢献度に応じて分けること」です。
マイホームの名義がどちらであれ、夫婦の共有財産とみなされて財産分与の対象になります。
家のままだと分けにくいため、「売却して現金をキレイに分けたほうが、後腐れがないだろう」と考える人も多数。
ちなみに「家を売却したお金で住宅ローンを完済できない場合」や「婚姻前からどちらかが保有していた家の場合」は、財産分与できません。
4位 マイホームの維持が大変
- 固定資産税がかかるため(20代 男性)
- 自分だけの力で継続する余裕はないと思うから(40代 女性)
- 一人では維持するのが大変なため(50代 女性)
4位は「マイホームの維持が大変」でした。
ローンを完済していたとしても、マイホームを快適に維持するためにはメンテナンス費用がかかります。
金銭面だけではなく、掃除や手入れなどの手間もあります。
維持にかかる負担が大きいため、離婚したらマンションやアパートに移りたいと考えている人も多くなりました。
5位 住宅ローンを整理できる
- 離婚したときにローンが残っていそうなので、売ってローン返済にあてたいです(30代 女性)
- ローンを中途半端に残すと面倒なので(40代 男性)
5位は「住宅ローンを整理できる」でした。
例えば「夫がローンを払い、妻と子どもが住み続ける」という場合、夫のローン返済が滞るとトラブルになります。
しかし売却で得たお金を使ってローンを完済すれば、ローン関連でモメる心配はありません。
離婚後のトラブルを回避するため、売却を選ぶ人も多いのでしょう。
同率5位 他に住まいのあてがある
- 自分は地元に戻りたいし、相手はもっと職場近くのマンションに住むようになり、誰も住まないと思うから(30代 女性)
- 実家にいる高齢両親の介護に専念したいから(50代 女性)
同率5位は「他に住まいのあてがある」。
なお、回答者の9割は女性でした。
「離婚しても、実家を頼れる」「住むところには困らない」という人なら、マイホームを残しておく必要はありません。
離婚後にマイホームをどう扱うかは、「実家との関係性」や「経済力」とも密接に関わることがわかります。
7位 住み続ける理由がない
- 持っておく必要がないから(30代 女性)
- 夫婦ともにゆかりのない土地なので(40代 女性)
7位は「住み続ける理由がない」でした。
マイホームのある地域がもともとは馴染みのない土地なのであれば、「離婚後は無理して住む必要はない」と考えるのもうなずけます。
郊外など通勤に不便な場所にあるマイホームなら、「離婚したら通勤しやすいよう都市部に引越したい」と考える人も多いでしょう。
離婚してもマイホームに住み続ける理由1位は「子どものため」
反対に、「離婚しても夫か妻がマイホームに住み続ける」と回答した292人に理由を聞いたところ、1位は「子どものため(67人)」でした。
2位「気に入っているから(45人)」、3位「もったいないから(33人)」と続きます。
自分の希望よりも、子どもの気持ちや環境を優先する人が多数。
子どもがいるかどうかで、離婚のマイホームの扱いは変わりそうですね。
なお男女別の「離婚してもマイホームに住み続ける理由」は以下のようになっています。
女性は「子どものため」がダントツなのに対し、男性は「気に入っているから」という理由も多くなっています。
ただ回答を見ると、「自分が気に入っているから」という意見だけでなく、「妻がマイホームを気に入っているので、妻に住んでもらって自分(夫)が出ていく」といった妻を思いやる回答も目立ちました。
1位 子どものため
- 子どもが住み慣れている場所を、親の都合でなくしてしまうのはかわいそうだと思うから(30代 女性)
- 子どもが今の住まいを気に入っている。また子どもの友人も近くにたくさんいるため(40代 女性)
- 子どもを転校させたくないから(60代以上 男性)
1位は「子どものため」です。
「引越しで子どもの学区が変わるのは避けたい」「住み慣れた環境や仲のいい友達から引き離したくない」といった声が多数。
離婚だけでも子どもには大きな変化なので、さらに引越しまでして負担をかけたくないという親心でしょう。
2位 気に入っているから
- いい家で住みやすい。立地もいいので、住み続けたい(30代 女性)
- 妻がかなり時間をかけてこだわった家なので、手放すことはないと思います(40代 男性)
- 住んでいる土地が好きだから。子どもが産まれてから住んできたので、簡単にはさよならできない(50代 女性)
「気に入っているから」が2位でした。
注文住宅などでこだわって建て、建物自体が気に入っている人もいるでしょう。
また立地が便利だとか、住み慣れた土地を離れがたいといった事情もあるようです。
3位 もったいないから
- 家は人生の中で大きな買い物です。売るのはもったいないので、住みます(20代 男性)
- せっかく建てた家なので、「売るのはもったいないな」という気持ちが強いから(30代 女性)
- せっかく苦労して手に入れた家なので、たとえ一人になっても住み続けます(50代 男性)
3位は「もったいないから」でした。
「苦労して購入した家を売るのはもったいない、寂しい」と感じる人も多数。
愛着があるから、もったいないと感じるのでしょう。
ただ経済的な合理性を考えるなら、思い出は切り捨てて「家賃」と「ローンや維持費」のどちらがトクになるのか比べてみるのもいいでしょう。
4位 実家に近いから
- 隣に両親が住んでいて、家がつながっているため(30代 男性)
- 家の名義やローンは自分なのですが、妻の実家が所有する土地に建てているため、売却は難しいと思います(40代 男性)
- 夫の実家のすぐ向かいに建ててあり、夫の地元であるため(50代 女性)
4位は「実家に近いから」でした。
「マイホームがどちらかの実家に近いため、実家が近くにあるほうが住み続ける」というご家庭もあります。
「実家の土地に建てた」「両親と敷地内同居」という場合は、他人に売却するのも難しいでしょう。
実家が近ければ、シングルファザー・マザーになっても、子どもの世話を頼めるなどのメリットがあります。
5位 ローンが残っているから
- ローンの残債を考えると、どちらかが住み続けるのが現実的(30代 男性)
- まだ住宅ローンを払い終わっていないので(40代 女性)
5位は「ローンが残っているから」でした。
住宅ローンが残っていても、売却はできます。
ただ「売却してもローンを完済できないのでは」と考えている人もいました。
売りたいけどローンが残っているから…と悩んでいる人は、ローン残高を確認したうえで不動産会社に相談してみるといいでしょう。
思ったより高い査定額が出て、売却してローンを完済できるかもしれません。
6位 売っても損するから
- 近年水害が多発した地域ゆえ、地価が下がりました。売却価格が納得のいく額にならないので、住み続けます(30代 男性)
- カスタマイズでリフォームしたところが多く、売るとしても高く売れるかどうかわからない(40代 女性)
6位は「売っても損するから」でした。
建物の価値は徐々に下がっていきます。
地価が上がっているエリアであれば高く売却できるかもしれませんが、利益が出る建物や土地ばかりではありません。
「売ってプラスにならないなら、住み続けたほうがいい」という選択をする人もいるとわかりました。
7位 経済的負担が軽いから
- 子どもが2人いるし、同程度の部屋数があるアパートを借りるとなると、結局高い家賃を毎月支払う必要があるので(30代 女性)
- ローンの返済がなく、老後住み続けるにあたり経済的に優しいから(50代 男性)
7位は「経済的負担が軽いから」でした。
ローンを完済している場合やローンの負担が少ない場合は、マイホームに住み続けるほうがランニングコストは少なくなるかもしれません。
また夫婦間の話し合いで、「夫が家を出るものの、マイホームに残る妻と子どものためにローンは払い続ける」と約束することもあるでしょう。
ただ、夫が別れた妻子のためにローンを払い続けるという約束が破られるケースもあるので、注意や予防策が必要です。
まとめ
離婚時に大きな資産であるマイホームをどうするかは、多くのご夫婦が悩むところではないでしょうか。
「夫か妻が住み続ける」という人が多数派だったものの、一人でのローン返済や維持管理が負担になることもあります。
愛着がある家を手放すのは辛いですが、無理して住み続けるのもまた辛いものです。
「どちらかが住む」「売却する」、どちらの選択をするにしても、後悔が残らないよう冷静に夫婦間で話し合っておきたいですね。
また離婚時に話し合ったことが口約束になってしまうと、「言った」「言わない」のトラブルになりかねません。
夫婦間で合意した証として、公正証書をつくっておくのがおすすめです。