近所付き合いが苦手な人は84.8%
一戸建てにお住まいの499人に、近所付き合いが得意か苦手かを聞きました。
その結果、「とても苦手」「どちらかといえば苦手」と答えた人が合わせて84.8%と多数を占めました。
ご近所さんとは、職場仲間や学生時代の友人と違って、家が近い「だけ」で関わることになります。
「共通点や共通の話題がない」「家族構成や年代がぜんぜん違う」というケースも多いので、難しさを感じる人も多いのでしょう。
近所付き合いの程度1位は「挨拶のみ」
続いて、ご近所さんと「どの程度の付き合いがあるか」を聞いたところ、最も多かったのは「挨拶のみ(410人)」でした。
2位「立ち話や世間話をする(150人)」、3位「おすそわけやお土産交換をする(85人)」と続きます。
ただ、「ほとんどの人とは挨拶だけだが、仲のよい人とは立ち話やお土産交換する」といった回答も多く、相手によって付き合いの程度を変えている人もいます。
また自治会や町内会の活動が盛んなエリアや、豪雪地帯で雪かきなどに近所の協力が必要なエリアなどでは、ご近所さんと会話したり助け合ったりする機会も多いようです。
近所付き合いに対する住人の考え方はもちろん、「エリアの特徴」によっても、近所付き合いのあり方は変わってくるのだと思われます。
1位 挨拶のみ
- ごみ捨てのときに挨拶する程度です(20代 女性)
- 挨拶くらいはしている(30代 男性)
- 私からは挨拶だけ(40代 女性)
1位は「挨拶のみ」でした。
「すれ違ったり目が合ったりしたときに挨拶するだけ」という人が圧倒的多数。
「おはようございます」「こんにちは」などの挨拶をしておけば、お互いに顔や雰囲気がわかって安心できます。
また挨拶しないと「感じの悪い人だな」と思われる可能性もあります。
2位 立ち話や世間話をする
- 犬の散歩中にすれ違った顔見知りの人と、犬の話や世間話をする(20代 女性)
- たまに立ち話もするが、自分からは話にいかない(30代 男性)
- 回覧板を持っていくとき、少し立ち話をする程度(60代以上 女性)
2位は「立ち話や世間話をする」です。
ご近所さんと「子どもが同じ幼稚園や学校に通っている」などの共通点があれば、立ち話で情報交換したいと考える人も多いでしょう。
一方で積極的に話すのではなく、話しかけられたら付き合うというスタンスの人も多くいました。
3位 おすそわけやお土産交換をする
- 一番親しく付き合っているご近所さんとは、お互いにおすそわけをします(30代 女性)
- 隣人が畑でゴーヤを作っているらしく、たまに頂きます(40代 女性)
- 町内のごく一部のお宅とは、おすそ分けやお土産を渡したりする(50代 男性)
3位は「おすそわけやお土産交換をする」でした。
仲の良い人やお隣さんとは、おすそわけやお土産の交換をしている人も。
農業が盛んな地域だと、お互いが作った野菜をおすそわけしあうことも多いようです。
また「普段子どもがうるさくしているから」などの理由で、ご近所さんとトラブルにならないようおすそわけをしている人もいました。
4位 自治会の仕事や行事で関わる
- 回覧板を持っていく程度(40代 女性)
- 町内会でどうしても出ないといけないことだけのつきあいです(50代 男性)
- 「地区の会合」「回覧板を回す」「定期的にまわってくる役などを引き受ける」などしてご近所付き合いしています(60代以上 女性)
4位は「自治会の仕事や行事で関わる」でした。
「回覧板を持っていく程度」という人も多くなりましたが、地域の清掃や会合でご近所さんと関わっている人も。
なお20代以下からの回答は少なくなっています。
若い世代は自治会や町内会に積極的ではないのかもしれません。
5位 家を行き来する
- 本当に気の合う方とは、家を行き来して食事するなどのお付き合いをしています(30代 女性)
- とくに親しい人とは家を行き来する仲です(60代以上 男性)
「家を行き来する」が5位でした。
ご近所さんの中でもとくに仲のいい人とは、家で食事やお茶を楽しむ間柄になっている人も。
気の置けない友人として付き合える人が近所にいるのは幸せですね。
「子ども同士が互いの家で遊んでいたので、大人も自然と仲良くなる」というケースもあるようです。
近所付き合いはある方がいいと思う人は70.4%
「近所付き合いはある方がいいと思うか」という質問には、「あるほうがいい」「多少あるほうがいい」と答えた人が合わせて70.4%となりました。
近所付き合いが苦手であっても「付き合い自体はあったほうがいい」と考える人が多いとわかります。
一戸建ては長く住むケースが多いため、ご近所さんとはよい関係を築いておきたいと考える人が多いのかもしれません。
ただ「多少あるほうがいい」と答えた人が圧倒的に多く、深い付き合いまでは求めていない人が多いことも推測できます。
近所付き合いはある方がいいと思う理由は「災害や緊急時に役立つ」
「近所付き合いはある方がいい」と答えた351人に理由を聞いたところ、圧倒的1位は「災害や緊急時に役立つ(202人)」でした。
2位には「防犯になる(40人)」がランクインしています。
災害や事件に備えて近所付き合いをしておくべきと考えている人が多いとわかりました。
また、3位「顔や人柄を知っていると安心(33人)」、4位「情報交換できる(31人)」、5位「子育てしやすくなる(26人)」など、住みやすさにつながる理由を挙げる人も目立ちました。
1位 災害や緊急時に役立つ
- 災害時に協力できると思うから(20代 女性)
- 普段は億劫に感じてしまうが、有事の際は助け合いが必要となるのを以前実感したため(30代 男性)
- トラブルや事故が起きて至急助けが欲しいときに家族や親族では間に合わない場合が多いため、すぐに駆けつけてもらえる近所の人は大切にしたい(40代 女性)
1位は「災害や緊急時に役立つ」でした。
災害、事件、急な入院などの緊急時、ご近所さんとのつながりがあれば助け合いができます。
「遠くの親戚より近くの他人」という言葉もありますよね。
実際「阪神大震災で生き埋めや倒壊から救助された人の28.1%が、友人や隣人に助けられた(救助隊に助けられた人はわずか1.7%)」というデータもあります。
2位 防犯になる
- 防犯面で役立つと思います。隣人の家庭環境や活動時間帯を知っていると、見かけない人や車などがあったときに意識できます(30代 女性)
- 防犯上、ある方がいいと思います(40代 男性)
- 防犯上、数日留守にする時の声掛けなどを躊躇なくできると思うので(50代 女性)
2位は「防犯になる」です。
住民同士が顔見知りであいさつや声掛けが活発なエリアだと、犯罪者が入り込みにくくなります。
犯罪者は、話しかけられたり、顔を覚えられたりするのを嫌がるからです。
また仲の良い隣人がいれば、旅行や帰省で長期間留守にする際「うちの家に変わったことがあったら教えて」などと頼むこともできるでしょう。
3位 顔や人柄を知っていると安心
- 近所の人がどんな人かわかると安心できるから(20代 男性)
- 仲良くなろうとは思わないが、自分から声をかけることで周りに変な人が住んでいないかどうかを確認したい(30代 女性)
- 隣に誰が住んでるかわからないのは不安(40代 男性)
3位は「顔や人柄を知っていると安心」でした。
「周りにどんな人が住んでいるかわからないと不安なので、顔や雰囲気くらいは知っておきたい」と考える人も多いようです。
挨拶や立ち話をしておくことで、いざというときに頼れそうな人を見つけておくこともできるでしょう。
反対に、関わらないほうがよさそうな人も見極められるかもしれません。
4位 情報交換できる
- 地域や学校のことを質問できる(30代 女性)
- 子どもが同じ幼稚園・小学校に通っていると、情報交換できます(40代 男性)
4位は「情報交換できる」でした。
ご近所付き合いの中で、学校や医療機関など暮らしに欠かせない口コミ情報を得られます。
また引っ越してきて間もない人であれば、頼れる先輩住民を見つけておくことで、地域の決まりごとなどがわからないときに質問できます。
5位 子育てしやすくなる
- 近所づきあいをするようになってから、子どもが外で遊ぶようになった。わざわざ公園に行かなくてもよくなり助かっています(30代 女性)
- 子どもがまだ小さいので、ご近所さんに子どもの顔を覚えてもらって、通学路で見守ってほしい(40代 女性)
- 子どもたちは近所の人たちみんなで見守る方が良いと思うので、近所付き合いは必要だと思う(40代 男性)
「子育てしやすくなる」が5位でした。
「近所の子ども同士が一緒に遊ぶ」「地域の大人が子どもを見守ってくれる」などのメリットがあるため、近所付き合いが大切だと考えている人もいました。
違う学年の子どもたちと仲良くなると、一人っ子でも「年上の子」「年下の子」との付き合い方を学べそうですね。
大人同士も仲良くなれば、小さくなった子ども服などを譲り合うこともできるでしょう。
近所付き合いはない方がいいと思う理由は「面倒だから」
最後に「近所付き合いはない方がいい」と答えた148人に理由を聞きました。
1位になったのは「面倒だから(45人)」です。
世代や職業のまったく違う人たちと関係性を築いていくのは大変ですし、気もつかうからでしょう。
次ぐ2位は「プライバシーを守るため(28人)」、3位「トラブルを回避するため(22人)」となっています。
「近所付き合いが深くなると、詮索・干渉されそう」「隣人同士のトラブルに巻き込まれそう」など、近所付き合いのデメリットを警戒している人も多いようです。
1位 面倒だから
- ご近所付き合いがまったくないのは不安。でも「おすそ分けやお返しをして、誰と誰には何をあげて…」などの面倒なやり取りはしたくない(20代 女性)
- 高齢者が多い地域なので、若いというだけで何かと頼られてしまい搾取されそう(30代 女性)
- 会話が面倒くさい(40代 男性)
1位は「面倒だから」でした。
「どうでもいい噂話に付き合わされるのは面倒」「おすそ分けなどのやりとりは面倒」と感じている人が多数。
ただ、あいさつ程度はしておきたいという人も目立ちました。
「顔見知り程度にはなりたいが、深いかかわりは面倒」と感じる人が多いとわかります。
2位 プライバシーを守るため
- 詮索されると怖いから(20代 女性)
- ご近所さんによっては、自分や家族の職業・生い立ちなど、プライベートなことを根掘り葉掘り聞かれるから(30代 女性)
- プライベートなことにあまり干渉されたくないから(50代 男性)
2位は「プライバシーを守るため」です。
「あまり個人的な情報を伝えたくない」「干渉されたくない」と感じている人が多いとわかります。
ちらっと漏らした個人情報をもとに、あることないこと噂されるのは嫌ですよね。
また「ちょっとおせっかい」というレベルを超え、他人の生活に干渉してくるタイプの人もいます。
3位 トラブルを回避するため
- あまり深入りしすぎると、トラブルになることもあるため(20代 女性)
- 近所付き合いのない方が、揉めごとも起きにくいと思う(30代 男性)
- 一生住んでいくと決めた家なので、もし近所付き合いで嫌なことがあったら一生苦しい思いをしないといけない。そのためあっさりとした近所付き合いが理想(40代 女性)
3位は「トラブルを回避するため」でした。
「仲良くなりすぎてトラブルに巻き込まれることもある」と考えている人も多いようです。
例えば「相手から聞いた家庭の事情を、第三者にポロリと漏らしてしまってトラブルになる」などが考えられます。
4位 気を使うから
- 目が合うと「なにか喋らないと」と焦ってしまうから(30代 女性)
- 会う度に何か話さなければいけないのがプレッシャーに感じる(40代 男性)
4位は「気を使うから」でした。
人付き合いや会話が苦手な人の場合、ご近所さんと会うたびに「話題を探さないと」と緊張して気をつかってしまうようです。
「ご近所さんの世間話にうまく入れない、どうしよう」などと考え込んでしまう人もいるかもしれません。
あいさつ程度でいいなら気楽なので、あまり近所付き合いしたくないという人も多いのでしょう。
5位 必要ないから
- 付き合う必要性を感じない(20代 男性)
- なくても普段の生活で困ることはないから(30代 男性)
「必要ないから」が5位でした。
近所付き合いしなくても困らないと感じている人もいるようです。
「転勤族で同じところに長く住まない」「入れ替わりの激しい単身用賃貸に住んでいる」といった場合は、近所付き合いは必要ないと思う人も多いかもしれません。
しかし一戸建てに住んでいる方でも、「必要ない」と感じるケースはあるようです。
まとめ
近所付き合いについて調査した結果、「苦手だけど、あったほうがいい」と感じている人が多いとわかりました。
近所付き合いがあれば緊急時に助け合いができ、地域の防犯力が上がり、子育てしやすくなるなどのメリットがあります。
一方で隣人が過度に詮索・干渉してくるタイプの場合には、近所付き合いが負担になってしまうことも。
隣人が望んでいる近所付き合いのレベルはわかりにくいですし、わかったとしても合わせにくいこともあります。
いろんな考えの人がいることを理解したうえで、「助け合いつつも干渉はしない」といったように、お互いが安心して暮らせる関係になれるといいですね。