実家で終活をしている人は37.2%
実家が持ち家の500人に「実家で終活をしているか」を聞いたところ、「している」と回答した人は37.2%。
4割近い人が終活をしていることがわかりました。
テレビ番組や雑誌などのメディアで終活について取り上げることも増えているため、「終活したほうがいいだろう」と動き始めた人も多いのではないでしょうか。
ただ最も多かったのは「していない(46.4%)」です。
「実家で終活しているかわからない」という回答も多く、実家の両親が終活をしているか聞けていない人や具体的に動けていない人も多いとわかります。
実家で行っている終活は「不要品の処分・整理」
続いて、実家で終活をしていると回答した186人に、具体的にどのような終活を行っているかを聞きました。
その結果、圧倒的多数の票を集めて1位になったのは「不要品の処分・整理(157人)」でした。
2位「保険の確認・見直し(59人)」、3位「老後資金の検討・準備(51人)」、4位「葬儀や墓地の手配(46人)」、5位「医療や介護方針の計画・意思表明(38人)」と続きます。
「不要品の処分・整理」は両親の死後を見据えた作業であると同時に、今の実家を過ごしやすくするための作業でもあるため、取り組みやすい項目です。
両親に対し「お父さんお母さんが死んだ後に実家を片付けるのは大変だから、今から整理しておこうよ」とは言いにくいですよね。
しかし「物が多くてスペースが狭くなるし、災害のときにも危ないから物を減らしていったらどうかな」となら言いやすいのではないでしょうか。
「保険」「老後資金」「医療・介護方針の意思確認」も、老後をよりよく生きるための「生」を見据えた作業なので、家族から提案しやすいはずです。
両親に終活を促したいけどなかなか言い出せない方は、ご両親の性格や状況に合わせて、取り組みやすいものから始めてみてはいかがでしょうか。
実家の持ち家は将来的に「売却する」
最後に、実家が持ち家の500人に「実家を将来的にどうするか」を聞きました。
その結果、1位は「売却する(129人)」、僅差の2位は「わからない(119人)」、3位は「家族・親族に引き継いでもらう(117人)」でした。
売却して手放す人が1位。
しかし全体としては「家族や自分が引き継ぐ」「改装して住む」など、実家を手放さない人のほうが多くなっています。
また「わからない」と回答した人も全体の2割強いました。
実家をどのように扱うかは、「築年数や立地」「自分や親族が実家の近くに住んでいるか」などによります。
思い入れのある実家であっても「古いし辺鄙な場所にある」「自分の生活拠点は地元にない」などの事情で、実家の扱いを決められず悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
1位 売却する
- 築年数が古くリフォームなどしても住めないと思うので、売って現金化します(30代 女性)
- 兄弟それぞれに持ち家があるので、平等に分けるには売却するのが一番良いと思う(40代 男性)
- 自分の家から遠く、田舎の一軒家で庭も広くて、管理が大変(50代 女性)
1位は「売却する」です。
売却する理由は「管理が大変」「誰も住む予定がない」など。
自分がすでにマイホームを購入している場合、田舎の家や古い家をもらっても困ると考える人が多いようですね。
売却して現金化すれば、相続人が複数いる場合に資産を分けやすくなるメリットもあります。
2位 わからない
- 姉が現在独身で実家に住んでおり、今後結婚するかどうかによって変わると思うから(20代 男性)
- 実家は立地が良くないので、売れそうにありません。また兄弟みんな実家を出ているので、今のところどうするかまったく不明です(30代 女性)
- 両親が健在で終活もしていないし、兄とも相談していないからです(50代 女性)
「わからない」が2位でした。
「両親が元気なので、先のことは考えられない」「兄弟や親族の状況によって変わるから、なんともいえない」という人も多数。
「今はまだ実家の扱いを検討するタイミングではない」というケースですね。
一方、売却したいけど売れそうにないのでどうしたらいいものか…と悩んでいる人もいました。
3位 家族・親族に引き継いでもらう
- 母が「家と土地は兄にあげる」と言っているから(20代 女性)
- 弟の家族が近くに住んでいるから(40代 男性)
- 現在、実家には母・妹・弟が住んでいて私は別居しているので、妹か弟が引き継いでくれれば良いと思っています(50代 女性)
3位は「家族・親族に引き継いでもらう」でした。
実家や実家近くで暮らしている兄弟がいる場合には、「親が亡くなった後も引き続きよろしく」と言いやすいでしょう。
親子間・兄弟間ですでに誰が引き継ぐかの意思確認が終わっているケースもあれば、なんとなく「兄弟が継ぐだろうな」「兄弟が相続してくれたらいいな」と思っているケースも多いようです。
いざ相続となったときに揉めないよう、事前にお互いの意思確認をしておきたいですね。
4位 自分が引き継ぐ
- 自営業で業務を引き継いでいて、持ち家も自分が引き継ぐことになっている(30代 女性)
- 他に引き取り手がいない。また、自分が住むのにちょうどいいから(40代 男性)
- 「長男・長女が仏壇とお墓を守らなければならない」という家で、自分が姉妹の長女だから(50代 女性)
4位は「自分が引き継ぐ」でした。
自分が住みたいからというポジティブな理由を挙げた人は少数。
どちらかというと「他に引き継ぐ人がいないから、自分が継ぐしかない」「長男・長女である自分が継ぐ雰囲気になっている」という人が目立ちます。
消極的な理由で相続する人のなかには、引き継いだ後に売却を考えている人もいるようです。
5位 改装して自分または家族・親族が住む
- 思い出のある我が家なので、誰かに貸したり売ったりするよりも、自分で改装して住み続けたい(30代 女性)
- 私は実家の隣に自分の家を建てました。今後両親が実家に住めなくなった場合には、実家を私の趣味用スペースとして改装しようと検討しています(40代 男性)
- 立地が良いので、家族で相談して誰かが住むと思います(50代 女性)
5位は「改装して自分または家族・親族が住む」でした。
立地は良いが住むには古い実家なら、リフォームや建て替えをして住む方法も検討できます。
実家の近くに住んでいるなら、「自宅より実家のほうが広いから引越す」「賃貸から実家に移る」といったケースもありそうですね。
「実家からも通勤・通学できる」「リタイアしたら地元に戻るつもり」という場合にとりやすい方法といえます。
まとめ
実家で行っている終活については「不要品の処分」が圧倒的多数となりました。
親の死後ではなく「親が老後によりよく生きていくこと」を見据えた終活なら、親子で声を掛け合って取り組みやすいのではないでしょうか。
悩む人が多い実家の取り扱いについては、「売却」を希望する人が多かったものの、「わからない」と答えた人も多数。
とくに「相続人たちが全員地元を離れている」「実家が売るに売れない不動産」という場合には、悩みが大きくなるでしょう。
親の希望と子どもにかかる手間や労力をすり合わせながら、方向性を決めていきたいですね。