将来「介護リフォーム」が必要になると思う人は75.7%
30代以上で持ち家にお住まいの437人に、将来介護リフォームが必要になると思うかを聞いたところ、「とても思う」「まあ思う」と答えた人が合わせて75.7%でした。
購入・建築後に時間が経っている家は、十分にバリアフリー対応されておらず、自宅介護開始時にリフォームが必要となる可能性があります。
「今の家だと介護が始まったときに不便だろうな」と感じている人が多いとわかります。
一方、必要ないと答えた人の中には、「介護しやすいよう工夫して建てたから」という声も。
ただし、ある程度バリアフリー化されている家にお住まいでも、介護の度合いや困りごとの内容によっては、リフォームが必要になる可能性があります。
また「介護が必要になったら施設に入るつもりなので、リフォームは必要ない」と回答した人もいました。
介護リフォームが必要な箇所は「玄関・玄関アプローチ」
介護リフォームが必要だと思う箇所の1位は「玄関・玄関アプローチ(224人)」、2位は「浴室(165人)」でした。
段差がある場所や水回りを気にしている人が多いとわかります。
段差が多いと転倒してケガをする可能性が高まりますし、水回りの床なども滑りにくいものだと安心だからでしょう。
また場所はさまざまですが「手すりを付けたい」という回答も目立ちました。
手すりも転倒を防ぐ効果があり、安心して移動しやすくなると考えられます。
1位 玄関・玄関アプローチ
- 玄関前が階段なので、スロープが必要になるかも。玄関内は手すり設置や段差の解消(30代 女性)
- 玄関ポーチが階段のみのため、スロープを付ける(40代 男性)
- 玄関の入口を引き戸にする。玄関の入口にスロープを付ける(50代 女性)
1位は「玄関・玄関アプローチ」でした。
「引き戸にしたい」「スロープを付けたい」「手すりを付けたい」などの希望が寄せられました。
引き戸にすると、車椅子での出入りや介助者が本人を支えながらの出入りが楽になります。
また車椅子利用や足腰が弱ってくることを考えると、スロープがあると便利でしょう。
上がり框(かまち)の段差を小さくしたりスロープを付けたりする場合、大掛かりなリフォームではなく、福祉用具の設置で不便を解消できる可能性もあります。
2位 浴室
- 浴室の床を滑りにくい素材に変えて、転倒防止に取っ手を付ける(30代 女性)
- 車椅子が入れるかたちではないので、扉をはじめ、広さや浴槽の変更などが必要になると思います(40代 女性)
- 足腰が弱くなってもスムーズに入浴できるように、浴室の壁や浴槽に手すりを取り付ける(50代 男性)
2位は「浴室」です。
浴室は転倒事故が起こりやすい場所です。
例えば「脱衣所・浴室間の段差につまずく」「濡れた床で滑る」「浴槽をまたぐときにバランスを崩す」などが考えられます。
そのため「床の素材を滑りにくいものに変更」「手すりの設置」「床と浴槽の段差を低くする」「車椅子が入れるようにリフォームする」などの回答が寄せられました。
浴室が広くなれば、介助者も浴室に入りやすくなり、介助しやすいでしょう。
3位 トイレ
- トイレを引き戸にする(40代 女性)
- 車椅子でも入れるように広くする(50代 女性)
- ドア部分の段差をなくす。便器から立ち上がりやすいように手すりを付ける(60代以上 男性)
「トイレ」が3位でした。
トイレの介護リフォームとしては、手すり設置のほか、「ドアを引き戸にする」「段差をなくす」「床をクッションフロアにする」「広くする」などがあります。
和式トイレを使っているご家庭であれば、洋式への変更も検討するのではないでしょうか。
間取り変更も含めたリフォームをする場合には、トイレを寝室の近くに設置するのもおすすめです。
寝室をトイレが近いと、トイレへの移動が楽になります。
4位 階段
- 階段の幅が狭くて滑るので、階段自体を幅の広いものにして、滑らないよう工夫する(30代 女性)
- 今も手すりはあるのですが、階段が結構急なので、何かしらの対処は必要だと思う(40代 男性)
- 階段にリフトを付ける(50代 男性)
4位は「階段」でした。
階段は転倒事故が起こりやすい場所です。
とくに「階段が急」「滑りやすい素材」「踏板の幅が狭い」といった場合は、足を滑らせるリスクがあります。
そのため「手すりを付ける」「リフト・昇降機がほしい」といった回答が寄せられています。
手すりを付けても危険な階段なら、踏板や踏面を広くしたり、緩やかな階段にしたりするリフォームが必要になるでしょう。
また「階段が危険なので、平屋にしたい」「1階だけで暮らせるようにリフォームしたい」など、階段を使わずに生活したいという回答も複数ありました。
5位 廊下
- 廊下に手すりを付ける必要が出てくると思います(40代 女性)
- 手すりを付ける(50代 男性)
5位は「廊下」でした。
「手すりを付けたい」「浴室までの廊下は、広くして車椅子で移動しやすくしたい」などの回答が寄せられました。
また廊下と各部屋の境目にある段差を解消しておくと、転倒事故を防ぎやすくなり、車椅子でも移動しやすくなると考えられます。
廊下が滑りやすかったり、摩擦が大きく車椅子で移動しにくい床材だったりする場合には、床材の変更を検討してみるのもいいですね。
6位 リビング・ダイニング
- ダイニングに高い段差があるため、低くする必要があると思う(30代 女性)
- 庭に接する部分を増築し、リビングの床面積を増やす必要がある(40代 男性)
- リビングからウッドデッキにかけてリフォームしたい。今は洗濯物を2階のベランダに干しているが、1階に物干しスペースを設置したい(40代 女性)
「リビング・ダイニング」が6位でした。
リビング・ダイニングを主な生活スペースとして使うためのリフォームを考えている人も多いとわかります。
例えば「リビングにベッドを置くためのリフォーム」「リビングで洗濯物を干せるようにするためのリフォーム」などです。
リビング・ダイニングが畳の場合は、フローリングにすることでベッドを置きやすくなったり掃除が楽になったりもするでしょう。
7位 介護される人の居室
- 寝室に据え置き型の手すりを付ける(30代 男性)
- 和洋室は畳風の床をやめ、クッションフロアに変えたい(30代 女性)
- 親の部屋に見守りカメラを付ける(40代 女性)
7位は「介護される人の居室」でした。
寝室などの居室にも、手すりを付けたり、床材を変更したりなどのリフォームが必要だと考えている人も多数。
居室の場所を変える場合には、トイレの近くや、家族の目が届きやすいリビングの近くなどに移動させるのがおすすめです。
ベッドを置いても車椅子移動が楽にできたり、介助者が動きやすくしたりするため、広さを確保するのも大切ですね。
介護リフォームをするタイミングは「健康・運動機能に不安を感じたら」
「介護リフォームはどのタイミングでしたいと思うか」という質問には、「健康・運動機能に不安を感じたら(44.6%)」と答えた人がもっとも多くなりました。
例えば「階段をあがるのがしんどくなってきた」「浴槽に入るときに、転びそうで怖い」といった不安があるでしょう。
自分や配偶者だけではなく、親の健康や運動機能に不安を感じた時点でリフォームを検討する人もいます。
「介護が始まったら(7.3%)」という人もいて、実際に不便を感じ始めてからリフォームを考える人が多いとわかります。
介護が始まってからリフォームするのは大変そうな気もしますが、「実際に介護が始まって状況を見てからでないと、どんなリフォームが必要かわからない」という声もありました。
また、年齢を目安にしている人も多数。
60~65歳くらいで身体機能の衰えを感じ、かつ退職金が入ってリフォーム資金ができた時点で、「今の家にずっと住むならリフォームが必要かな」と考える人も多そいかもしれません。
まとめ
介護リフォームにおいては、「段差の解消」「水回りの整備」などに注目している人が多いとわかりました。
段差・水回りともに転倒が起こりやすい場所なので、納得できる結果です。
また車椅子移動を見据え、「引き戸への変更」「水回りや廊下のスペースを広くする」といったリフォームを考えている人も目立ちました。
事前に介護リフォームして備えておくと安心ですし、バリアフリー化することで、高齢者が自力で活動しやすくなるメリットもあります。
ただ事前にリフォームしておくと、実際に介護が始まった際に「予想していなかったリフォームが追加で必要になる」といった事態になる可能性には注意しましょう。