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もし自分が介護される立場になったら、誰に面倒をみてほしいと思いますか?
自身の介護への不安は、誰しもが抱えるものではないでしょうか。
「家族と暮らしたいけれど、一緒に暮らすことで迷惑はかけたくない」というジレンマを抱えている人もいるでしょう。
今回は30代以上の男女に、「自身の介護」についてのアンケートを実施。
「老後の面倒は誰にみてほしいか」や「理想の介護」について聞きました。
- 調査対象:30代以上の男女
- 調査期間:2025年4月23日~25日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:500人(女性360人/男性140人)
- 回答者の年代:30代 46.8%/40代 29.6%/50代 18.2%/60代以上 5.4%
介護が必要になったときに老後の面倒をみてもらいたい相手は「介護施設の職員」

30代以上の男女500人に「介護が必要になったときに、老後の面倒をみてもらいたい相手」を聞いたところ、圧倒的1位は「介護施設の職員(60.0%)」でした。
多くの人が「家族ではなく、介護スタッフにお世話になりたい」と考えていることがわかります。
また次ぐ2位の「自分でなんとかしたい(27.6%)」からも、できるだけ家族には負担をかけたくないという気持ちが読み取れます。
1位 介護施設の職員
- 他人のほうが遠慮しないで、気が楽だと思う(30代 女性)
- 義母の介護を目の当たりにしました。認知症とパーキンソンを併発したため、やはり家族によるサポートでは限界がありました。知識・経験のあるプロにお任せした結果、安心を得られ負担も軽減されました(40代 女性)
- 独身なので、身内や親戚に頼むことはできないと考えています。一定の年齢になったら、介護状態になることも考慮して有料老人ホームへの入居も考えなければと思っています(50代 男性)
1位は「介護施設の職員」です。
介護施設の職員に介護を任せたい理由としては、「遠慮せずに介護を受けたい」「プロに任せることによる安心感」が挙げられています。
常識的な節度は必要になるものの、「お金を払って、サービスとして介護を受けている」と思うことで、遠慮なくやってほしいことを頼めると考える人が多いようです。
また介護職として経験を積み、高齢者の身体や精神について豊富な知識をもっている人に任せることで、本人のみならず家族も安心できます。
一方「身寄りがない」など、現実的に介護職員に世話してもらうしかないというケースもありました。
2位 自分でなんとかしたい
- 独身なので頼れる親族がいない(30代 女性)
- 単純に迷惑になるため、自分でどうにか対処したいからです(40代 男性)
- 人に自分の惨めな姿を晒したくないから(60代以上 男性)
2位は「自分でなんとかしたい」でした。
「他人に迷惑をかけたくない」「介護される自分を見せたくない」という理由で、できるだけ自力で対応したいという人もいます。
とくに入浴や排せつのサポートについては、「申し訳ない」「恥ずかしい」と感じる人も少なくありません。
「介護してくれる人がいないから、自分でやるしかない」という声もありましたが、家族がいなくても介護サービスを頼ることはできます。
そのため根底には、自立心が強く、介護されること自体に抵抗感を抱いているという理由があると考えられます。
3位 配偶者
- 安心するし頼みやすいから(30代 女性)
- 子どもはいなし、兄弟はいるけれど離れているから(40代 女性)
- 一番信頼しているし、自分のことを一番よくわかってくれているからです(50代 男性)
3位は「配偶者」です。
配偶者に介護してほしい理由としては、「信頼できる」「自分を理解してくれている」などが挙がりました。
長く一緒に暮らしていて、配偶者を最も身近な人と考えている場合には、配偶者に介護を依頼することで安心できるとわかります。
配偶者との関係が良好である場合には、安心できて、かつ現実的な選択肢です。
4位 子ども
- 息子。男同士なので、遠慮なくいろいろと面倒をみてもらえるかと思っている(30代 男性)
- 配偶者がいないので。娘しか頼る人がいない(40代 女性)
- 娘が一番私の体調を気遣ってくれているので。ただ娘にも生活があるので、なるべく頼らないようにしたいです(50代 女性)
4位は「子ども」でした。
子どもに介護をお願いしたいと考えている人も、一定数います。
回答にあるように「遠慮しない間柄」「日ごろから気遣ってくれているから」など、親子関係が良好であると、子どもに介護をお願いしやすいと考えられます。
一方で、子どもにお願いしたい気持ちはあるけれども、負担や迷惑はかけたくないという人も。
子どもに介護をお願いすることへの葛藤がある人も多いと推測できます。
5位 訪問介護のスタッフ
- 施設に入りたいけど、介護施設はお金がかかるから(30代 女性)
- 相手も報酬を得て、こちらも対価を支払っている。仕事として介護されたほうが楽だから(30代 女性)
- 子どもも配偶者もいないし、姉妹もあてにならないから(50代 女性)
「訪問介護のスタッフ」が5位となりました。
訪問介護のスタッフも施設介護のスタッフ同様、介護のプロです。
ただ訪問介護は在宅介護を前提としており、訪問介護スタッフがいない時間帯は家族に世話されることを意味します。
本音では在宅での介護を希望するものの、家族の負担を考慮して施設介護を選ぶ人もいるため、施設介護に比べて順位が低くなったと考えられます。
また施設介護ではなく訪問介護を選ぶ理由としては「施設入居はお金がかかるから」などが挙がりました。
介護が必要になったときに世話になりたくない相手は「子ども」

反対に、「介護が必要になったときに世話になりたくない相手」を聞いたところ、1位は「子ども(44.4%)」、2位は「配偶者(27.0%)」でした。
- 子どもには世話になりたくない。親の弱った姿は見せたくない(30代 男性)
- 娘です。娘には自分の幸せを優先してほしいので、私のことで面倒をかけたくないと強く思います(40代 女性)
- 配偶者です。老々介護になってしまうだろうし、無理をしてしまって思いつめる気質なので、負担をかけたくないです(30代 女性)
- 配偶者や子ども。とくに「子どもの配偶者」には世話になりたくない。罪悪感がある(60代以上 男性)
- 家族全員。世話になるにしても、知識も技術もあるプロに頼みたい(30代 女性)
身近な人に介護されるのは避けたいという傾向が顕著です。
「配偶者や子ども・兄弟などと仲が悪いから」といった理由もあげられましたが、全体的には「家族に負担をかけたくない」という配慮を理由として挙げた人が多くなりました。
介護経験の有無に関わらず、多くの人が「介護は大変なことだ」という意識をもっていると推測されます。
理想の介護のかたちは「早めに施設入居する」

「理想の介護のかたち」として最も多かった回答は、「早めに施設入居する(28.0%)」でした。
2位「介護サービスによる在宅介護(25.6%)」と答えた人も多くなっています。
施設であれ在宅であれ、多くの人が「プロによる介護」を望んでいる傾向が明らかになりました。
背景には「家族には介護の負担をかけたくない」「スキルのあるプロに介護してほしい」という気持ちがあります。
1位 早めに施設入居する
- 頭や身体がしっかりしているうちから施設に入って、みんなと楽しむ(30代 女性)
- お金さえあれば施設に入って、家族に迷惑をかけたくない(40代 女性)
- 貯金の範囲内で、早いうちに施設に入ろうと思います(50代 男性)
1位は「早めに施設入居する」です。
早めに施設に入るメリットとしてや、「しっかりしているうちに自分で施設を選べる」「施設での楽しみを見つけやすく、終の棲家だと思いやすい」「家族の負担が少なくなる」などが挙げられています。
かなり高齢になってから生活環境が変わると、パニックになったりふさぎ込んでしまったりする人もいます。
自分で選んで納得した施設に早くから入居することで、上記のような状況を防ごうと考える人も多いとわかりました。
早めに施設入居するために、資金の準備にとりかかっているという人もいます。
2位 介護サービスによる在宅介護
- 訪問介護でなるべく家にはいたいと思う(30代 男性)
- 必要なサービスを利用し、在宅で最後まで過ごす(40代 女性)
- 自立できているうちは訪問看護や訪問介護に来てもらい、時々ショートステイを利用(50代 女性)
2位は「介護サービスによる在宅介護」でした。
「訪問介護・訪問看護などを利用しつつ、できるだけ在宅で過ごしたい」という人も多くなっています。
住み慣れた自宅での生活を大切にしつつ、必要な支援だけを外部サービスに委ねるパターンですね。
完全な自立は難しくても、介護サービスを利用することで、「自分の生活リズム」「パーソナルな空間」「住み慣れた環境」を保ちながら暮らせます。
3位 どこかのタイミングで施設入居する
- 金銭的に余裕があれば、介護施設(30代 女性)
- 施設に入って、プロの人に24時間体制でみてもらいたいです(40代 男性)
- 介護施設に入り、週に1度くらい家族が会いに来てくれる感じがいい(40代 女性)
3位は「どこかのタイミングで施設入居する」です。
具体的なタイミングまでは考えていないものの、施設入居を検討している人も多くなりました。
「自立が難しくなってきたら」「配偶者が亡くなったら」「資金が準備できたら」などのタイミングで、施設入居することになると考えられます。
「早めに」「自分では生活できなくなったら」などはじめから入居タイミングを決めてしまうのではなく、柔軟性をもたせているとも言えます。
4位 何らかのかたちで在宅介護
- なるべく家で介護されたい(40代 女性)
- 施設に入るのは嫌なので、介護が必要になっても、一生自宅にいたいです(60代以上 男性)
4位は「何らかのかたちで在宅介護」でした。
介護サービスを利用するのか、家族に介護してもらうのかまでは希望がないものの、「とにかく在宅で過ごしたい」という人もいます。
施設入居への拒否感を抱いている人も多いのですね。
ただ「家で過ごすのが理想だけど、現実的には困難」という認識も。
在宅ですと家族に介護の負担がかかるほか、「自宅のバリアフリー状態によっては、重度になると暮らせない」という現実的なハードルがあるからだと考えられます。
そのため、理想は在宅介護だけれども、現実的には無理だろうと諦めている人もいました。
5位 必要になったら施設入居する
- 介護が必要になってから、施設に入りたい(30代 女性)
- 自分でどうしようもなくなったら、施設に入る(40代 男性)
- 自分で生活できるギリギリまで頑張って、ひとりでは何もできなくなったら施設に入る(50代 女性)
「必要になったら施設入居する」が5位となりました。
つまり「自分がどうしても生活できなくなったら施設へ」という意味です。
ぎりぎりまで在宅で過ごしたいという希望で、在宅志向の高いパターンだと言えます。
経済面や自由・慣れの面から早めの施設入居には抵抗がある一方で、「家族に大きな負担を強いることは避けたい」と考えていることが伺えます。
6位 あくまで自分で暮らす
- 介護が必要になる前に命が尽きるか、介護が必要にならないよう健康で元気にぽっくりと死にたい(30代 女性)
- 介護が必要となっても、介護用品を駆使して暮らせたらと思っています(40代 男性)
- 介護を受けないであの世に行くのが理想です(50代 男性)
6位は「あくまで自分で暮らす」でした。
「そもそも介護を受けずに暮らしたい」という、自立志向の強いケースです。
介護を受けないことを選択肢に入れるのであれば、「健康寿命を延ばし、最期まで自分の力で生活したい」というのは、多くの人にとって理想的だと考えられます。
背景には「介護=周囲の負担」「介護されること=恥・自尊心が傷つく」といった強い感情があると推測できます。
7位 介護付き住宅で暮らす
- 介護付きの小規模な住まいで、信頼できる介護スタッフと穏やかな日常を送ること(30代 男性)
- 介護付き住宅。できることは自分でやりたいけど、ストップがかかったりできないと思ったりしたことは手伝ってもらうのが理想です(30代 女性)
- 介護付きマンションのような施設に、身の回りのものを減らして入居したい(40代 女性)
7位は「介護付き住宅で暮らす」です。
特養のようないわゆる「介護施設」ではなく、「バリアフリーや介護サービスが充実している高齢者向けの住宅」で暮らしたいという希望もあります。
上記のような住宅は比較的自立度の高い高齢者を対象にしていて、必要に応じて介護サービスを契約・利用します。
そのため介護付き住宅を希望する理由としては、「自立」と「安心」を両立できることが挙げられました。
まとめ
将来介護が必要になったときには、家族ではなく介護施設や訪問介護事業所の介護職に世話してもらいたいと考えている人が多数。
「家族の負担に配慮して」という人が多くなっており、「家族の介護=大きな負担」という認識をもつ人が多いとわかりました。
そのため家族の負担を減らすために、「早めに施設入居したい」という人も多くなっています。
ただ「本音は家で暮らしたいけど、家族に迷惑をかけるのは嫌だから」という理由で、理想として施設入居を挙げた人も。
アンケート結果で「施設入居したい」という人が多かったからといって、在宅志向が薄いとは言い切れません。
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