住んでいない空き家にも毎年固定資産税はかかり続ける
固定資産税とは、毎年1月1日の時点で不動産を所有している人が市町村へ納付しなければならない税金のことです。
参照元:総務省|固定資産税
総務大臣が定めた、固定資産の評価の基準(以下、固定資産評価基準)に則って算出された評価額に、税率をかけたものが固定資産税となります。
固定資産税は、家を所有し続ける限り毎年支払いが必要です。
下記で、固定資産税の送付から滞納したらどうなるかまでの一連の流れを解説します。
固定資産税は毎年1月1日時点の登記簿所有者に課税される
固定資産税は、毎年1月1日時点で、土地や家屋、償却資産を所有している人に課税されます。
登記簿上で所有者となっている人の住民票が置かれている住所に納付書が送付されます。
毎年4~6月ごろに通知書・納付書が送られてくる
固定資産税の送付は、毎年4月〜6月頃に納税通知書と納付書が一緒に郵送されます。
納付書とは、いわゆる税金の振り込み用紙で、納税通知書は、不動産の評価額や納付額など支払いに関する連絡事項が記された書類です。
納付期限は各自治体によって異なりますが、おおむね以下の時期に送付されます。
- 6月:第一期分の納付
- 9月:第二期分の納付
- 2月:第三期分の納付
- 翌年2月:第四期分の納付
上記のように、1年分の税額を4分割した納付書が届き、それぞれに納付期限が決められています。
分割払いできる仕様になっていますが、一括払い用の納付書も同封されているため、一括でも支払えます。
納付方法も自治体によって異なりますが、現金払い・口座振り込み・クレジット決済・電子マネー決済に対応している市町村がほとんどです。
固定資産税を滞納した場合のリスク
前述した通り、納付書は4〜6月頃に、それぞれの期で納付期限が設定されています。
もし固定資産税を滞納した場合、どのような展開になるのか詳細を見ていきましょう。
延滞金が発生する
決められた納付期限までに納付ができないと滞納状態となり、遅延金が発生します。
遅延金の割合は年度ごとで異なるため、ここでは令和4年度の遅延金を例に挙げます。
まず、遅延金の割合は下記のとおりです。
- 納付期限の翌日から1ヶ月経過する日までの税率:年2.4%
- 納付期限の翌日から1ヶ月経過する日以降の税率:年8.7%
このように、納付期限から1ヶ月を経過した時点で税率が高くなります。
次に、遅延金がいくらかかるのかを、以下の例で見ていきましょう。
例:納付期限が6月30日・納付額が30,000円のものを7月31日・8月31日まで滞納した場合
滞納税額 × 延滞日数 × 延滞金率 ÷ 365 = 延滞金 より、
30,000 × 30 × 2.6% ÷ 365 = 64.1円
30,000 × 30 × 8.7% ÷ 365 = 214.5円
100円未満の端数は切り捨てとなるため、
7月31日まで滞納すると64円・8月31日まで滞納すると214円が遅延金
こう聞くと、「思ったより安いので、遅延しても大丈夫そう」と感じた方もいるのではないでしょうか?
しかし、納付を放置するとさらにペナルティが課されてしまいます。
市区町村から督促状が届く
固定資産税の滞納が続くと、納付期限から20日以内に市町村より催促状が送付されます。
督促状が送付されて10日間を過ぎても、固定資産税の納付がされない場合には、地方税法331条1項1号により、滞納者の財産をいつでも差し押さえられる状態になります。
ただし、すぐに財産を差し押さえられるわけではありません。
数回催促状が送付されて、なおかつ納付されなかった場合に、財産調査が行われ、差し押さえの準備が始まります。
財産調査の末、差し押さえが行われる
財産調査の目的は、滞納者の支払い能力や、お金に変えられる資産があるのかを把握するために行われます。
財産があれば強制執行となり、次のようなものが差し押さえられます。
- 預貯金
- 不動産
- 車
- 貴金属
- 給与債権
固定資産税は、税金です。
税金は、破産法第253条第1項により、自己破産したとしても免責にならないと明記されています。
つまり、固定資産税の支払いから逃れることはできないのです。
なお、固定資産税が払えない不動産の売却については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
固定資産税の計算方法
固定資産税の計算方法は、下記のとおりです。
参照元:総務省|固定資産税
例えば、評価額が1000万円であれば、14万円がその年の固定資産税となります。
評価額の確認方法には、下記の3つがあります。
- 課税明細書…市区町村から4月〜6月に送付される納税通知書に同封されている課税明細書で確認する
- 固定資産課税台帳…役所で固定資産課税台帳を閲覧する
- 固定資産評価証明書…固定資産課税台帳と同様に、役所で取得する
課税証明書以外は役所の窓口、もしくは郵送でも請求できます。
郵送で請求する場合は、役所のHPにある申請書を記入したもの・本人確認書類のコピー・手数料分(300円程度)の定額小為替・返信用封筒と切手、が必要です。
住んでいない空き家は固定資産税が6倍になる恐れあり!
前提として、空き家には、単なる空き家・周辺に悪影響がありそうな空き家の2種類があります。
後者の悪影響がありそうな空き家を「特定空き家」と呼び、行政からペナルティを課される対象となります。
以下で詳しく見ていきましょう。
長期間放置されている空き家は特定空き家に指定される
前述した通り、特定空き家とは、そこにあることで周辺住民に悪影響を与える可能性が高い空き家を指します。
空き家の適正管理を義務付けた空家等対策の推進に関する特別措置法では、下記のような建物を「特定空き家」と定義しています。
- そのまま放置すると、倒壊など安全上の支障がある
- 衛生上有害となるおそれがある
- 不適切な管理により、景観を損なっている
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置が不適切である
特定空き家を取り締まる法律ができた背景には、全国の空き家問題があります。
空き家問題とは、高齢化社会や新築住宅の人気などが原因で、全国的に空き家が増加し、放置された建物が劣悪な状態となるせいで周辺住民に被害が及んでいる社会問題です。
総務省調査によると、昭和38年の空き家数は52万戸でしたが、年々右肩上がりに増加し、2013年時点での空き家数は約820万戸、全住宅の7戸に1戸が空き家という状況に至りました。
劣悪な空き家をこれ以上増やさないために、行政が強制的な立ち入りや解体をできるよう施行されたのが2015年5月に全面執行された空家等対策特別措置法です。
行政が「特定空き家」と指定することで、所有者に対して、空き家管理の助言・指導・勧告・命令を実行でき、最終的には強制家屋解体の対象となります。
このとき、解体にかかる費用はすべて所有者負担です。
家の解体費用は、100㎡ほどの小さな戸建住宅だとしても、150万円ほどかかります。
特定空き家は住宅用地の特例の適用外になる
特定空き家は、税金の優遇措置が受けられません。
所有している不動産には、土地と建物に対してそれぞれ課税されています。
このうち、土地の上に住居が建っている場合に限り、住宅用地の特例という措置が受けられます。
参照元:国土交通省|土地の保有に係る税制
住宅用地の特例とは、 住宅1戸あたりの面積が200㎡以下の部分には、6分の1・200㎡以上を超える部分には3分の1まで、税金を減額してくれる優遇措置です。
特定空き家は、この特例の適用外となってしまうため、税金が高くなります。
「特例の適用あり」の場合と「特例の適用なし」の場合の計算例
特例の適用がある場合とない場合の、固定資産税の違いを見ていきましょう。
建物が1,000万円・土地が1,500万円で敷地面積が200㎡以下と仮定して、以下で両方計算します。
固定資産税評価額 × 標準税率(1.4%) = 固定資産税額 より、
建物:1000万 × 1.4% = 14万円
土地:1500万 × 1.4% = 21万円
14万円 + 21万円 = 35万円
特例の適用なしの場合、固定資産税は35万円。
特例の適用ありの場合、土地の税額は6分の1になるため、
21万円 ÷ 6 = 35,000円
14万円 + 35,000円 = 17万5,000円
特例の適用ありの場合、固定資産税は17万5,000円
このように、住宅用地の特例がある場合は、固定資産税がおよそ半額となります。
特定空き家に指定される流れ
特定空き家への指定と、それ以降の処分は以下の流れで行われます。
- 空き家の現地調査を行い、特定空き家に指定される
- 適正管理を求める助言・指導
- 状況改善を求める勧告
- 改善の命令
- 行政代執行
このうち、指導までは具体的なペナルティがありません。
しかし、勧告の段階で住宅用地の特例が除外され、命令でも従わなかった場合は、50万円以下の過料に処せられます。
最終的に、改善が見られなければ行政代執行により、空き家は強制的に解体されます。
なお、空き家の行政代執行については、以下の記事でも詳しく解説しています。
特定空き家に指定されるリスクを回避するには定期的な管理が必要
空き家を長期にわたって放置していると、特定空き家に指定されるリスクがあります。
そのリスクを回避するためには、定期的に空き家を管理しておかなければなりません。
具体的には、換気・通水・草むしり・郵便受けの掃除、などを1カ月に1回の頻度で行う必要があります。
空き家は自主管理ができなければ、管理代行サービスに依頼することもできます。
なお、空き家を放置するリスクについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
管理代行サービスもあるが…
管理代行サービスとは、所有者の代わりに空き家の管理をしてもらえるサービスです。
定期的なメンテナンスを代行してくれるため、所有者がわざわざ空き家に訪問する必要がありません。
ただし、当然ですが費用がかかり、相場は月額5,000〜10,000円程度です。
ここだけ聞くと安いように感じますが、これに加えて毎年固定資産税もかかります。
地域や面積によっても異なりますが、一戸建ての固定資産税の平均額は年間10〜15万円程度です。
使っていない空き家に年間16〜27万円がかかり続けるため、とくに用途のないのであれば手放すのが吉と言えます。
活用予定もなく住んでいない空き家は売却してしまおう!
今後も住んだり、人に貸したりする予定がなければ、売却するのが得策です。
ここからは、売却方法について解説します。
なお、空き家を高く売却する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
不動産の売却方法は2種類ある
前提として、不動産の売却方法には「仲介」と「買取」の2種類があります。
まず、両者の違いを見ていきましょう。
不動産仲介
仲介とは、不動産会社に買主を探してもらうことです。
業者の利益は、見つけた買主と売主が成約に至ったときに両者からもらえる仲介手数料です。
仲介業者に依頼すれば、高額売却を狙えます。ネットやチラシを通して広く購入希望者を募るからです。
ただし、買い手から需要のない物件であれば何年経っても売れないリスクがあります。
次に解説する買取業者のように直接買い取ってくれるわけではなく、仲介業者はあくまで買主を見つけるのが仕事だからです。
仲介業者が頑張って宣伝しても、買い手からの需要がなければ売れることはありません。
また、頑張っても売れない不動産に積極的に広告費をかけたところで費用対効果が見込めないため、さらに売れなくなってしまいます。
不動産買取
買取とは、不動産会社に家を直接買い取ってもらうことです。
仲介のように第三者に販売するのではなく、買取業者自身が買主です。
買取業者は、買い取った物件にリフォーム等を施して商品化し、自社での運用や再販といった事業をおこなうことで収益を得ます。
買取業者に依頼すると、売却価格は市場の6〜8程度まで安くなります。商品化にかかるコスト等が差し引かれるからです。
ただし、一般の消費者のように生涯住むマイホームにするわけではありません。
そのため、どんなに条件や状態が悪くても、収益を得られる見込みさえ立てば、すぐにでも買い取ってくれるメリットがあります。
売主の状況にもよりますが、契約・決済まで数日で完了することも珍しくありません。
弊社AlbaLink(アルバリンク)も、スピード買取に自信のある不動産買取業者です。
>>【倒壊寸前の空き家でも高額売却!】無料で買取査定を依頼する
あなたに合った売却方法は「物件の立地」と「建物の状態」で判断しよう
どちらの業者が適しているかは、不動産の立地と状態によって異なります。
以下で、ご自身の空き家がどちらに該当しているかチェックしてみてください。
物件の立地と建物の状態が良い空き家は仲介業者へ
立地が良く、建物もきれいですぐ住める状態などであれば、仲介業者に売却を依頼しましょう。
上記した通り、需要の高い不動産は仲介でより高く売却できる可能性があるからです。
具体的には以下のとおりです。
- 都会であれば、最寄り駅まで徒歩10分圏内
- 地方であれば、市街地まで車で10分以内
このような条件を満たす土地であれば、自身の居住用に物件を探している買い手に売却できる可能性が高いでしょう。
物件の立地と建物の状態が悪い空き家は買取業者へ
立地が悪く、建物があっても劣化が激しい状態であれば、買取業者に買い取ってもらいましょう。
上記した通り、需要の低い不動産を仲介で売ることは困難だからです。
下記のような土地は買取業者への依頼が適しています。
- 都会であれば、最寄り駅まで歩いて15分以上
- 地方であれば、市街地まで車で20分以上
このような土地でも、買取業者なら最適な活用方法を見出して、適正な価格をつけて買い取れます。
弊社も2011年に創業して以来、悪立地や築古物件など、売れにくい条件が揃った不動産を数多く買い取ってまいりました。少しでも高く買い取れるよう、全力で対応しますので、いつでも無料相談・無料査定をご利用ください。
なお、空き家の買取業者については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
まとめ
今回の記事では、住んでいない家の固定資産税や、空き家のまま放置するリスクについて解説しました。
とくに活用予定がない不動産であれば、弊社をはじめとした買取業者に査定を依頼しましょう。
複数の業者に査定を依頼し、あなたが納得できる価格と説明を提示してくれる業者を選べば、高い満足度で売却できるでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、他社で買取を断られてしまった・タダ同然の査定額を提示された、などといった不動産も、適正な金額をつけて買い取ってきた実績があります。
あなたが、納得感をもって売却できますよう、弊社スタッフが責任をもって適正な買取価格を提示いたします。
ご相談だけでも歓迎しておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。