空き家は条件に応じて売却先を選ばないと希望通り売れない
空き家をスムーズに売却したいのであれば、空き家の条件に応じた最適な相談先を選ぶことが大切です。まずは自分が所有している空き家の相談相手として誰が適切なのかを把握しておきましょう。
空き家の売却方法は「仲介」と「買取」の2種類
空き家の売却方法には、以下の2種類があります。
- 不動産仲介業者の仲介で一般の買い手に売却する
- 不動産買取業者に直接売却する
空き家の売却を検討し始める際、まずは大手の不動産業者や地元の不動産業者に相談しようとしている方もいるでしょう。しかし、空き家の状況によってはおすすめできません。
仲介とは、不動産業者が「仲介役」として物件の売主と買主とを結びつけて売買契約を成立させる方法です。町にある不動産屋の多くがこの仲介業者です。
それに対して、不動産買取業者は依頼者から直接業者自身が物件を買い取り、リフォームなどを施し、再販・ン要することで利益をあげています。リフォームを前提としているため、空き家の状態が悪かったとしても問題なく買い取ってもらえます。
次項で、仲介と買取、それぞれの売却方法に適した空き家の条件を解説します。自身の空き家の状況と照らし合わせながら参考にしてください。
なお、買取と仲介の違いについては下記の記事でも解説していますので、参考にしてください。
建物の状態と立地条件が良い空き家は仲介業者に相談しよう
空き家が以下の条件に該当している場合は、不動産仲介業者に相談するとよいでしょう。
- 築15年以内
- 管理が行き届いていて、建物・敷地とも良好な状態が保たれている
- (空き家の所在地が都市部の場合)駅から徒歩10分圏内
- (空き家の所在地が地方の場合)市街地まで車で10分圏内
このような空き家はマイホームを購入したいと考えている一般の買い手の希望条件を満たしているため、不動産仲介業者に依頼すればスムーズに売却できる可能性があります。ただし、買手を見つける必要があるため、売却には3ヶ月~半年ほどかかります。
建物の状態と立地条件が良くない場合は買取業者に相談しよう
不動産買取業者に相談したほうがよい空き家の条件は、以下のとおりです。
- 築年数が古い
- 管理が行き届いておらず、建物・敷地とも荒れた状態となっている
- (空き家の所在地が都市部の場合)駅まで徒歩15分以上
- (空き家の所在地が地方の場合)市街地まで車で10分以上
一般の買い手は、長年住むことを目的としてマイホームを購入します。そのため上記のような築古で状態や立地が悪い物件は敬遠します。仲介で売り出しても、数年単位で売れ残る恐れがあります。
建物の状態や立地条件が悪い空き家を売却は、不動産買取業者に相談しましょう。不動産買取業者であれば、個人に売れないような老朽化した空き家でも平均1週間~一ヶ月ほどでスムーズに買い取ってくれます。そうした空き家を活用し、収益化するノウハウがあるためです。
また、建物の状態や立地条件が良い空き家であっても、相続税の納付期限が迫っているなどまとまった現金がすぐに必要な場合は、不動産買取業者に相談することをおすすめします。
なお、弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、空き家の買取を積極的に行っております。空き家をすぐに売却したい、売れずに困っている、といった場合は、お気軽に下記無料買取査定フォームからお問い合わせください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
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空き家を売却する際の注意点6選
所有している空き家に適した相談先が分かったら、いよいよ売却へと歩みを進めていきます。空き家をスムーズに売却するためにも、以下6つの注意点を事前に押さえておきましょう。
- 売却するために空き家を解体・リフォームしない
- 空き家の所有者を確認する
- 告知義務を怠ると売主が契約不適合責任に問われる
- 住宅ローンの残債と抵当権の有無を確認する
- 相談する不動産業者を選ぶ際は「信頼できるか」を見極める
- 売却相場を確認してから相談する
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
売却するために空き家を解体・リフォームしない
空き家の状態が悪い場合、不動産仲介業者からリフォームや建物の解体を勧められることがありますが、これはNGです。リフォームで内装や設備を一新したり、建物を解体して更地にしたりしても、必ずしも売れるとは限らないためです。
そもそも、立地に問題を抱えている空き家はリフォームや解体をしたところで一般の買い手からの需要は見込めません。仮に売却できても、リフォーム代や解体費用としてかけた数百万円~数千万円ほどの金額は回収できない可能性が高いでしょう。
一般的な一戸建てのリフォームや解体にかかる費用相場は以下の表のとおりです。
【リフォーム】
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
水回り設備の全面リフォーム | 120~350万円 |
壁紙の張り替え | 750から1500円/㎡ |
床の張り替え | 1~7万円/畳 |
和室から洋室への変更 | 25~100万円 |
間取りの変更 | 20~350万円 |
外壁の張り替え | 180~260万円 |
屋根の葺き替え | 70~260万円 |
【解体】
建物の構造 | 費用相場 |
---|---|
木造 | 3~5万円/坪 |
鉄骨造 | 4~6万円/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 6~8万円/坪 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 6~8万円/坪 |
空き家を売却する際は安易にリフォームや解体をおこなうのではなく、まず現状で売却できないかを模索することをおすすめします。
なお、不動産買取業者は空き家を現状で買い取ってくれるため、売主側でリフォームや解体をおこなう必要はありません。空き家に置かれている荷物ごと売却可能です。
空き家の所有者を確認する
空き家の売却時には、所有者の確認も欠かせません。原則として不動産は所有者でなければ売却できないためです。
とくに空き家を相続で取得した場合は要注意です。この場合は不動産の名義人を故人から自身へと変更する相続登記の手続きを法務局でおこなう必要があります。
空き家の所有者の確認方法、相続登記に必要な書類や手続きの流れについて見ていきましょう。
空き家の所有者の確認方法
空き家の所有者は、不動産の権利証・登記識別情報を見れば分かります。
法令上は「登記済証」と呼ばれる。所有権移転登記手続きが完了した際に登記名義人に交付される書類
2004年の不動産登記法の改正により、権利証の代わりに登記名義人に発行されるようになった符号。12桁の英数字からなる。
しかし、権利証や登記識別情報が記載された登記識別情報通知が手元にないケースもあるでしょう。権利証や登記識別情報通知の再発行はできませんが、その場合は法務局で土地・建物の登記事項証明書を取得すれば所有者を確認できます。
不動産の所在地や所有者などの情報が記載された書類
法務局へ行かなくても、「登記情報提供サービス」を利用すればオンライン上で確認可能です。
相続時の名義変更に必要な書類・手続き
相続登記とは、不動産の名義を亡くなった方から相続人へと変更する手続きのことです。これまで相続登記は任意でしたが、2024年4月1日から義務化されます。正当な理由がないにもかかわらず相続登記をおこなわなかった場合には、10万円以下の罰金が科される恐れがある点に注意しましょう。
相続登記の期限は、自身が相続人であることを知った日から3年以内です。ただし、2024年4月1日以前に発生した相続に関する登記期限は2027年3月31日です。
相続登記は、以下の流れで進めます。
- 相続する不動産の権利関係などを確認
- 不動産を相続する人を決める
- 相続登記に必要な書類を準備
- 相続する不動産の所在地を管轄する法務局へ申請する
相続登記に必要な主な書類は以下の表のとおりです。中には取得するまでに時間がかかる書類もあるので、時間に余裕を持って進めましょう。
書類名 | 取得先 |
---|---|
登記申請書 | 法務局のHP |
不動産の登記事項証明書 | 法務局 |
遺言書(もしくは遺産分割協議書) | - |
被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本 | 被相続人の本籍地を管轄する役所 |
被相続人の住民票除票 | 被相続人の最後の住所地を管轄する役所 |
相続人全員の戸籍謄本・住民票 | それぞれの本籍地・住所地を管轄する役所 |
固定資産評価証明書 | 不動産所在地を管轄する役所 |
なお、相続登記は自身でもおこなえますが、手続きは煩雑であり、用意すべき書類も多岐にわたります。申請内容にひとつでも不備があったら受けつけてもらえないため、司法書士などの専門家に依頼したほうが確実です。
告知義務を怠ると売主が契約不適合責任に問われる
空き家を売却する際、以下の事項に該当する不具合や欠陥がある場合には買主に対して事前に告知しなければなりません。
- 雨漏りしている
- シロアリが発生している
- 基礎や外壁などがひび割れている
- 耐震強度が不足している
- 地盤地下している
- 土壌が汚染されている
このように、建物に存在している物理的な傷や損傷を「物理的瑕疵」といいます。建物に物理的瑕疵がある事実を買主に告げずに売却した場合、買主から契約不適合責任を問われる恐れがあります。
売却した物件が契約内容と合ってない場合に売主が負うべき責任
もし物件の引き渡し後、契約書に記載されていない不具合や欠陥などが発覚した場合、買主から修繕費用や損害賠償、契約の解除などを請求されかねない点に注意が必要です。
買主から契約不適合責任を問われるリスクを回避するには、売却前に不具合や欠陥などの有無を「告知書(物件状況報告書)」を通じて事細かく伝えておく必要があります。
告知書を作成するのは、不動産業者ではなく売主自身です。買主からのクレームを避けるためにも、空き家の売却前には建築士などの専門家に調査を依頼し、物件の劣化・不具合状況を洗い出しておきましょう。
なお、契約不適合責任は売主と買主両者の合意があれば免責にすることが可能です。不動産仲介業者の仲介を通じて一般の買い手へ売却する際に契約不適合責任を免責にするのは困難ですが、売却相手が不動産買取業者であれば多くの場合で売主の契約不適合責任が免責されます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、売主の契約不適合責任を免責としたうえで空き家を買取いたします。空き家を売却したあとの責任まで負いたくない方は、弊社までご連絡ください。
>>【売主の契約不適合責任はなし!】空き家の買取査定を依頼する
なお、契約不適合責任については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご参照ください。
住宅ローンの残債と抵当権の有無を確認する
空き家を売却する前に、住宅ローン残債はないか、抵当権は設定されていないかを確認することも重要です。
住宅ローンを借りて不動産を購入した際に、金融機関が担保として設定する権利。万が一ローンの返済が滞った際、金融機関は抵当権を設定している不動産を競売にかけて強制的に売却し、残債を回収できる
原則として住宅ローン残債のある家は、完済して抵当権を抹消しなければ売却ができない点に注意が必要です。
被相続人が住宅ローンを組む際に団体信用生命保険に加入していたときは、保険金で残債が完済されます。以下の書類を準備し、金融機関へ提出しましょう。
- 団信弁済届
- 死亡証明書
- 被相続人の死亡事実が記載された住民票
一方、住宅ローンはすでに完済しているものの、抵当権が抹消されずに残っているケースもあります。抵当権は住宅ローンを完済すれば自動で抹消されるものではなく、法務局で抵当権抹消登記の手続きをしなければならないためです。
空き家に抵当権が付されているかどうかも、登記事項証明書を見れば確認できます。すでに住宅ローンを完済しているにもかかわらず抵当権が付されたままの場合は、金融機関に連絡を入れて抵当権抹消登記に必要な書類を受け取り、抵当権抹消登記の手続きを進めましょう。相続登記のときと同様、司法書士に依頼することをおすすめします。
相談する不動産業者を選ぶ際は「信頼できるか」を見極める
空き家の売却を依頼する不動産業者を選ぶ際は、「本当に信頼できるか」をしっかりと見極めることが大切です。
世の中には、じつに多くの不動産業者が存在します。中には売主が素人であることに目をつけ、売主にとって不利益なことを勧めてくる悪質な不動産業者もいる点に注意が必要です。
たとえば不動産仲介業者の場合は、「リフォーム・解体しなければ空き家は売却できない」と言ってくるようなケースが該当します。
不動産買取業者の場合は、「最初に高額な査定価格を提示し、契約を断れない段階になって値下げを要求する」ところには気をつけましょう。
売却相場を確認してから相談する
不動産業者に相談する前に、自身でも不動産ポータルサイトなどを通じてある程度の売却相場を把握しておくことをおすすめします。不動産を売却する際にはまず不動産業者の査定を受ける形が一般的ですが、相場をつかんでいないと、提示された査定価格が適正なのかどうかの判断ができないためです。
ただし、空き家の築年数が古かったり、地方にあったりする場合には不動産ポータルサイトに類似物件が掲載されておらず、確認できないケースが少なくありません。
そのようなときは複数の不動産業者に査定を依頼し、査定価格を比較してみるとよいでしょう。不動産業者によって査定基準が異なるので査定価格にも多少の差は生じますが、複数の査定価格を比較するとおおよその相場観を得られます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも無料査定をおこなっておりますので、空き家の査定価格を知りたい方はお気軽にご利用ください。
>>【倒壊寸前の空き家でも高額売却!】無料で買取査定を依頼する
また、空き家の買取相場について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
空き家の売却を相談する不動産業者の選び方の注意点4選
前述のように、建物や立地条件が悪い空き家は一般の買い手からの需要が見込めません。このような空き家を売却したいのであれば、不動産買取業者に相談しましょう。
ただし一口に不動産買取業者といっても、その特徴は千差万別です。空き家を少しでも高く売るためにも、ここでご紹介する不動産買取業者の選び方を押さえておきましょう。
空き家に特化した専門の不動産買取業者に相談する
不動産買取業者を選ぶうえでもっとも重要なのは、空き家の買取に特化しているかどうかです。
不動産買取業者には、会社ごとに得意としている物件種別が異なります。たとえば投資用一等マンションの買取に特化している不動産買取業者は空き家を活用するノウハウを持ち合わせていないため、相談しても取り扱ってくれないか、買取価格が極端に安くなってしまいかねません。
その点、空き家に特化した専門の不動産買取業者には買い取った空き家を再生して確実に収益を上げるノウハウがあるので、より高値で買い取ってもらえるでしょう。空き家を少しでも高く売りたいのであれば、空き家に特化した不動産買取業者を選ぶことがポイントです。
HPで口コミや買取実績を確認する
空き家を専門としている不動産買取業者を複数ピックアップできたら、今度はHPで買取実績や口コミを確認してみましょう。
空き家の買取実績が豊富な不動産買取業者ほど商品化にかかるコストを安く抑えるノウハウがあり、再生した空き家をより高値で売却できる顧客を抱えています。そのため、他の不動産買取業者よりも高額で空き家を買い取ってもらえるでしょう。
また、実際にその不動産買取業者を利用した顧客の口コミチェックも欠かせません。評判が良ければ良いほど、信頼できるといえます。
担当者に査定価格の根拠を聞いてみる
空き家の買取に特化しており、この会社であれば信頼できると感じた不動産買取業者を2~3社ピックアップしたあとは、実際に査定を依頼します。
買取の場合は査定価格が買取価格に直結するため、空き家を高く売りたいのであれば、より高い査定価格を提示した不動産買取業者に依頼することがポイントです。
ただし、前述のように他社よりも極端に高い査定価格を提示し、契約直前に値下げを強要する悪質な業者も存在している点に注意が必要です。
悪質な買取業者にだまされるのを防ぐためにも、査定価格を提示されたら、その根拠を確認するようにしましょう。
信頼できる不動産買取業者であれば、類似物件の取引事例や地価、物件の立地、商品化にかかるコストなど査定価格を算出するにいたった明確な根拠をひとつひとつ丁寧に説明してくれます。
一方で、査定価格の根拠をたずねても「弊社にお任せください」「どこよりも高く買い取ります」などきちんと理由を説明してくれない買取業者への依頼は避けたほうが無難です。
マナーやレスポンスから信頼できる担当者かどうか見極める
営業担当者の質も、不動産買取業者を見極めるうえで重要なポイントのひとつです。
こちらの質問に対するレスポンスは速いか、ビジネスマナーに則ったメールの文面や話し方か、誠実な対応か、契約を急かしてこないかなどを総合的に検討し、信頼できる営業担当者かどうかを判断しましょう。
もし「この人にお願いしたい」と感じる営業担当者が提示してきた査定価格が他社よりも安い場合には、値段交渉をしてみるのもひとつの方法です。信頼できる営業担当者であれば、すぐさま上司に掛け合ってくれるはずです。もし価格が上がらなかったとしても、その理由をきちんと説明してくれるでしょう。
空き家売却後の税金についての注意点
空き家を売却したとしても、そのすべての金額が手元に残るわけではありません。ケースによっては高額な税金を納めなければならなくなることもあるため、あとで慌てることのないよう、どのような税金がいくらかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。
また、ケースによっては納税額を軽減できる特例が適用されることもあります。知らなければ損をしてしまいかねないため、特例の概要や適用条件を売却前にしっかりと理解し、節税に役立てましょう。
ここでは、空き家の売却にかかる税金や納税額を軽減できる特例について解説します。
売却で出た利益には譲渡所得税がかかる
空き家の売却時に発生した利益には、譲渡所得税と呼ばれる税金が課されます。譲渡所得税は「所得税」「住民税」「復興特別所得税(2037年12月31日まで所得税に上乗せされる特別税)」の総称で、以下の計算式で算出します。
取得費は不動産の購入代金や測量費など不動産購入時にかかった費用、譲渡費用は仲介手数料や印紙税など不動産売却時にかかった費用を指します。
税率は不動産の所有期間に応じて以下のように異なります。なお、相続で取得した空き家の場合、被相続人の所有期間が相続人にも受け継がれます。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 計 |
5年超(長期譲渡所得) | 15.315%(復興特別所得税含む) | 5% | 20.315% |
5年以内(短期譲渡所得) | 30.63%(復興特別所得税含む) | 9% | 39.63% |
たとえば、以下のケースにおける譲渡所得税を求めてみましょう。
空き家の売却価格:1,000万円
取得費:700万円
譲渡費用:100万円譲渡所得(不動産売却価格-取得費-譲渡費用)×税率の計算式より、
譲渡所得税=(1,000万円-700万円-100万円)×20.315%=40万6,300円
上記の事例のように、譲渡所得税は高額にのぼるケースが多いため注意しましょう。
また、不動産を売却して譲渡所得が発生した場合は、売却した翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告をして譲渡所得税を納める必要があります。
給与所得者は勤務先が本人に代わって源泉徴収をおこなってくれているので、いままで確定申告をしたことがない方もいるでしょう。しかし譲渡所得税は給与所得とは別に計算されるため(分離課税)、必ず自身で手続きをおこなわなければなりません。もし確定申告を行わなかった場合は延滞税や無申告加算税などのペナルティが科される点に注意が必要です。
また、所得税と住民税は納税のタイミングが異なる点も押さえておきましょう。所得税は基本的に確定申告の期限である3月15日までに納める必要があります。ただし、納税方法として口座振替を選択した場合は4月20日頃に引き落とされます。
一方、住民税は確定申告をした年の5月以降に市区町村から納税通知書と納付書が届くので、それに基づいて6月末日・8月末日・10月末日・翌1月末日の4期に分けて納めます。一括納付も可能です。
なお、不動産を売却して譲渡所得が発生しなかった場合は、譲渡所得税を納める必要はありません。
譲渡所得税には各種特例があるが細かい適用要件が存在する
空き家の売却時に利益が生じた場合は譲渡所得税を納めなければなりませんが、一定の要件を満たせば特例が適用され、税負担の軽減が可能です。特例を使うと譲渡所得税が発生しないケースも少なくないため、空き家の売却前にどのような特例があるのか、自身が条件を満たすかどうかを確認しましょう。
相続空き家の3,000万円特別控除
一人暮らしをしていた親が亡くなって空き家となった実家を相続した場合は、以下の条件を満たしていれば譲渡所得から3,000万円を控除できます(空き家特例)。
- 被相続人が一人暮らしをしていた自宅であること
- 1981年5月31日以前に建築された戸建てであること
- 相続発生から売却時まで空き家であること
- 売却する空き家が現行の耐震基準を満たしていること
- 相続発生から3年目の年末までに売却すること(適用期限は2023年12月31日)
- 不動産の売却代金が1億円以下であること
- 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係にないこと
参照元:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
空き家特例が適用されれば、譲渡所得税を納めずに済む可能性は高いといえます。
ただし、空き家特例を利用するには、相続の発生から3年目の年末までに空き家を売却しなければなりません。また適用期限が2023年12月31日までとなっているので、空き家特例の利用を考えているのであれば、早めの売却をおすすめします。
相続財産の取得費特例
親が亡くなって不動産を相続した場合、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税を納める必要があります。いったん相続税を納めたものの、その後、相続した空き家を売却することもあるでしょう。
そのような場合に一定の要件を満たしていれば、すでに納付済みの相続税の一部を取得費に加算できる特例が適用されます。
適用要件は以下のとおりです。
- 相続や遺贈によって財産を取得した人が売却すること
- 財産を取得した人に相続税が課せられていること
- 相続開始日の翌日から3年10か月以内に相続財産を売却すること
参照元:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
取得費に加算できる相続税額は、以下の計算式で算出します。
たとえば亡くなった親から1億円の財産を相続して1,220万円の相続税を納め、その後5,000万円の評価額である空き家を売却したとします(債務控除は0円と仮定)。
この場合に取得費に加算できる相続税額は以下のとおりです。
このケースでは610万円の相続税を取得費に加算できるので、相当の節税につながるでしょう。
ただし取得費加算の特例と空き家特例は併用できないため、どちらの特例を利用するかを検討する必要があります。
10年超所有軽減税率の特例
親と10年以上にわたって同居していた空き家を売却する際、一定の要件を満たしていれば長期譲渡所得の税率が以下のように軽減されます。
売却金額 | 所得税 | 住民税 | 計 |
6,000万円以下の部分 | 10.21%(復興特別所得税含む) | 4% | 14.21% |
6,000万円超の部分 | 15.315%(復興特別所得税含む) | 5% | 20.315% |
参照元:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
たとえば以下の条件をもとに、軽減税率が適用される場合とされない場合における譲渡所得税を比較してみましょう。
空き家の売却価格:1,000万円
取得費:700万円
譲渡費用:100万円【軽減税率が適用されない場合】
譲渡所得(不動産売却価格-取得費-譲渡費用)×税率の計算式より、
譲渡所得税=(1,000万円-700万円-100万円)×20.315%=40万6,300円【軽減税率が適用される場合】
譲渡所得(不動産売却価格-取得費-譲渡費用)×税率の計算式より、
譲渡所得税=(1,000万円-700万円-100万円)×14.21%=28万4,200円
上記のケースでは、約12万円の節税につながりました。空き家の売却価格が高いほど、多くの節税効果が期待できるでしょう。
ただし、軽減税率の特例の適用を受けるには、以下すべての条件を満たしていなければなりません。
- 自分が住んでいる家屋と敷地を売ること(住まなくなった日から3年を経過する日が含まれる年の12月31日までに売ること)
- 売却年の1月1日時点において、売った家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えていること
- 売却年の前年、前々年にこの特例の適用を受けていないこと
- 売却した家屋・敷地についてマイホームの買換え特例などの適用を受けていないこと
- 売却相手が親子や夫婦など特別な関係にある人でないこと
あくまでも自身が住んでいた家屋の売却に対して適用される特例である点に注意しましょう。
空き家の取得費が不明だと譲渡所得税が高額になる
亡くなった親から相続した空き家の場合、購入代金などの取得費が分からないケースもあるでしょう。その場合は、売却金額の5%相当額を取得費にできます。
たとえば、空き家を1,000万円で売却した場合に取得費が分からない場合は、以下の金額を取得費として算入できます。
ただし、取得費が不明の場合は譲渡所得税が高額になりかねない点に注意が必要です。
以下の条件において、取得費が分かっている場合と不明な場合とに生じる譲渡所得税を比較してみましょう。
空き家の売却価格:1,000万円
取得費:700万円
譲渡費用:100万円【取得費が分かっている】
譲渡所得(不動産売却価格-取得費-譲渡費用)×税率の計算式より、
譲渡所得税=(1,000万円-700万円-100万円)×20.315%=40万6,300円【取得費が不明】
譲渡所得(不動産売却価格-取得費-譲渡費用)×税率の計算式より、
譲渡所得税=(1,000万円-50万円-100万円)×20.315%=172万6,775円
上記の事例では、取得費が分かっている場合と不明な場合とで約130万円も納税額に差が生じることが分かりました。
納税額を抑えるには、当時の取得費が分かる資料を探すことが重要といえます。
まとめ
空き家の売却方法は、不動産仲介業者による「仲介」か不動産買取業者による「買取」の2種類です。
建物の状態や立地が良い場合は一般の買い手の需要が高いため、不動産仲介業者に仲介を依頼するとスムーズに売却できるでしょう。一方、建物の状態や立地が悪い場合は一般の買い手の需要が見込めないため、不動産仲介業者に仲介を依頼しても売れ残ってしまいかねません。
所有している空き家の状態が悪く、仲介での売却が難しい場合には不動産買取業者に相談することをおすすめします。
不動産買取業者に依頼すれば、一般の買い手が買わないような空き家であっても短期間で買い取ってもらえます。少しでも高値で売りたいのであれば、空き家に特化した専門の不動産買取業者に相談しましょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の空き家の買取に力を入れている不動産買取業者です。建物の傷みがひどい、ゴミ屋敷と化している空き家であっても、高額買取いたします。
「空き家の売却を不動産業者に断られた」「査定を依頼したが査定価格がかなり安かった」など、空き家の売却に際してお悩みや不安を抱えている方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。無料で査定価格をご提示し、お客様が納得のいく価格で買い取らせていただきます。
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