共有持分のみを不動産から切り離して売却できる
「そもそも、不動産の共有持分だけで売却してもいいの?」
と心配されている人もいるかも知れません。
民法では、各共有者が自身の共有持分のみを、不動産から切り離して売却することが適法と認められています。
さて、このことを理解するために、「共有不動産に対して共有者ができる行為の制限」について解説していきます。
共有不動産は全員の共有物
共有名義になっている不動産は、当然「共有者全員の共有物」です。
複数人で共有している不動産を、共有者のうちの1人が好き勝手に売ったり、貸したり、増改築を加えたりすれば、他の共有者からすれば迷惑極まりないでしょう。
このことから、共有名義の不動産は各共有者がお互いに「単独でできる行為」を制限し合うような権利形態になっています(このことがトラブルの原因になるのですが)。
共有不動産に対する共有者の行為制限は以下の通りです。
行為の種類 | 具体例 | 行為に必要な要件 |
---|---|---|
変更行為 (民法第251条) |
|
共有者全員の合意 |
管理行為 (民法第252条) |
|
共有持分の過半数の合意 (人数ではなく持分割合で決する) |
保存行為 (民法第252条但書) |
|
各共有者が単独で可能 |
行為制限によって発生する共有者同士のトラブルや、共有不動産のデメリットは以下の記事で詳しく解説しています。
共有持分は個人の所有物
上記に対して、共有者各自の共有持分は完全な「個人の所有物」です。
そのため、共有持分のみであれば上記した共有不動産に対する行為とは異なり、他の共有者から制限されること無く各自が好きなタイミングで売却できます。
一般の個人や不動産会社はまず買い取らない
上記した通り、あなたの共有持分はあなたの完全な所有物であり自由に売却できます。
ただ、ここで注意しなければならないのが、一般の個人や不動産屋は共有持分のみをまず買い取ってくれないということです。
共有名義になっている不動産は、共有者同士の権利トラブルや、税金・維持管理などの金銭トラブルが付き物な上、持分だけでは不動産を自由に活用できず使い道すら無いからです。
逆に、一般の不動産屋が共有持分の買取に乗り気であれば、危険なサインなので注意しましょう。
共有持分の取り扱いに慣れていない一般の不動産会社は、持分買取後のリスクを軽視していたり、安易な考えで買取に応じているおそれがあるからです。
一般の不動産会社が後先考えずに他の共有者へ「持分を売って下さい」などと交渉を切り出せば、元共有者とあなたの間でさらなる争いに発展するでしょう。
共有持分の売却方法と選び方
一般の個人はまだしも、不動産会社まで買い取ってくれないなら、共有持分は誰に売却できるのだろうか…
このように思った人もいるはずです。
というわけで、ここからは共有持分のみを売却する際の売却先について解説します。
他の共有者に売却する
他の共有者であれば、あなたの共有持分のみであっても買い取ってくれる可能性があります。
共有持分を買い取ることで買主側の持分割合が大きくなれば、共有不動産に対してできる行為が増えますし、もし持分を全て買い取れば、単独名義の不動産として買主が自由に活用できるようになるからです。
例えば、不動産をあなたと共有者Aで「2分の1ずつ」共有しているとしましょう。
このままでは、あなたもAも単独で自由に不動産を活用することができません。
ですが、Aがあなたの共有持分を買い取れば、不動産はAの単独名義となり、自由に活用できるようになります。
メリット
他の共有者に持分を売却するメリットはズバリ、本来の市場価値で売却できる可能性があることです。
通常、共有持分のみの売却は、共有者同士で権利トラブルが生じるなど買主にとってリスクがあることや、そもそも持分だけでは不動産を自由に活用できないことから、市場相場よりも安価での取引になります。
ですが、他の共有者への売却であれば、相手方にも「不動産を自由に活用できる」という大きなメリットがあり、本来の価値を取り戻して市場相場通りに売却できる傾向にあります。
もし、他の共有者に不動産をどうしても自由に活用したい思いがあるなら、市場相場よりも強気の価格設定をしても買取に応じるかも知れません(逆も然りですが)。
なお、共有者が家族や親族などで気心が知れており、なおかつ関係も良好であれば、売却日程や金額感の調整も柔軟に対応することができるでしょう。
デメリット
他の共有者に持分を売却するデメリットは、取引価格を巡って共有者同士の争いに発展しやすいという点です。
共有者同士の持分売買では当然、取引価格は当事者間で決める必要があります。
売主側にも買主側にも、なるべく「高く売りたい」「安く買いたい」という思いがありますから、話し合いをまとめるのは容易なことではありません。
こんな人におすすめ
- 他の共有者と関係が良好で交渉の余地がある
- 他の共有者が共有不動産の活用を強く望んでいる(現状住んでいる等)
- 他の共有者にあなたの持分を買い取る資力がある
共有持分専門の買取業者に売却する
共有持分を専門に取り扱う買取業者であれば、あなたの共有持分のみであっても買取に応じてくれます。
共有持分買取業者は、数年かけて着実に他の共有者との信頼関係を築き、再販売・再活用可能な状態まで権利関係を修復するプロであり、共有不動産のリスクを鑑みた上で、事業として持分を買い取ることが可能だからです。
弊社でも、共有持分に特化して積極的に買取を進めております。
共有持分の売却時には、もちろん複数社へ査定依頼を出して比較するようおすすめしますが、ぜひウチも判断材料の1つに入れていただければ嬉しいです。
>>【共有持分のみで高額売却・トラブル解消】無料で買取査定を依頼する
メリット
共有持分買取業者にあなたの持分を売却する最大のメリットは、他の共有者と一切関わることなく確実に共有名義から抜け出せることです。
買取業者の担当者に「決済後、この日までは他の共有者に連絡を入れないでください」と相談すれば、面倒ごとなく共有名義から離脱できます。
ただ、悪徳業者に捕まってしまうと、決済が完了する前に業者が他の共有者と接触を図り、トラブルが生じて円滑に売却することができなくなるおそれがあります。
この記事の「優良な買取業者の選び方」を参考に、あなたが信頼できる買取業者・営業マンを見つけてください。
なお、最短数日でスピーディーに持分を現金化して、共有名義から抜け出せることも、共有持分買取業者に持分を買い取ってもらうメリットです。
お急ぎの旨を仰っていただければ、査定完了後、迅速に売買契約を結び、決済までスムーズに対応することができます。
弊社では、スピーディーに買取を行っております。すぐにでも共有名義から抜け出したいという人は、気兼ねなくお問い合わせください。
>>【共有持分のみで高額売却・トラブル解消】無料で買取査定を依頼する
デメリット
共有持分買取業者に持分を買い取ってもらうデメリットは、共有持分の買取相場が市場相場よりも安価になってしまうことです。
前述した通り、共有持分買取業者は数年かけて不動産の権利関係を整理し、再販売・再活用することで事業としての持分買取を成立させています。
そのため、再活用までにかかる再活用までに発生する各種税金や司法書士などへの報酬金、必要に応じてリフォーム費用やその他事業経費を加味して買い取らなければ、採算が合わなくなってしまうからです。
もし、金額感を妥協しても共有名義やそれに伴うトラブルから抜け出したいという人は、共有持分買取業者へ一度査定を出してみるようおすすめします。
共有持分買取業者に共有持分を売却する際の買取相場は後ほど解説します。
こんな人におすすめ
- 他の共有者と関係が悪化しており、不動産の管理や売却に足並みが揃わない
- 他の共有者に知らせず、こっそり共有名義から抜け出したい
- 活用できていない不動産の共有持分を早期に現金化したい
土地を分筆して売却する(土地のみの場合)
共有名義の土地を分筆登記で切り分けることで、持分割合に応じた「単独所有の土地」を売却することができます。
1つ(1筆)の土地を、複数の土地に切り分ける登記手続き
仮に、面積が「200㎡」の土地Aをあなたと共有者甲で「2分の1ずつ」で共有しているとしましょう。
このとき、土地Aを分筆登記で「あなたの100㎡の土地X」「共有者甲の100㎡の土地Y」に切り分けることができ、あなたは土地Xを自由に売却することができるようになります。
ただ、土地上に建物が建っている場合は物理的に切り分けることが難しく分筆登記が行えません。
なお、分筆登記による土地の売却は、共有持分に応じた面積・価値の土地を売却することであり、厳密に言えば共有持分の売却とは話が異なります。
そのため、この記事では以降分筆登記による共有地の売却は、解説しておりませんので、以下の記事をご参照下さい。
メリット
分筆登記による土地売却の最大のメリットは、共有者各自が別々の用途で自由に土地を活用できることでしょう。分筆登記で切り分けたそれぞれの土地は各共有者の単独名義の土地となり、共有者同士の権利制限がなくなるからです。
デメリット
分筆登記による土地売却のデメリットは、土地の価値が低下する可能性があることです。分筆登記によって狭くなりすぎる、いびつな形状になるなどの場合、土地の使い勝手が悪くなることから、結果的に土地の価値が低下してしまいます。
なお、土地上に建物を建てられなくなるおそれもあります。
建築基準法上、道路に2メートル以上接していない土地の上には原則として建物を建てることができません。よって、分筆登記で切り分けたことにより、道路と接しない土地が発生すれば、その土地は新築を立てて居住する等の用途で活用することが不可能になります。
こんな人におすすめ
- 共有名義の土地上に建物が建っていない人
- 建築基準法上の制限を受けずに分筆できる土地を持っている人
【売却先別】共有持分の売却相場と高値で売れるテクニック
前項で解説した共有持分の売却先ごとに、売却相場を解説していきます。
加えて、相場通りかそれ以上の高値で共有持分を売却するテクニックを解説するので、ぜひ参考にしてください。
他の共有者に売却する場合
前述した通り、他の共有者であれば、市場価値通りで共有持分を売却できる傾向にあります。
よって、他の共有者に持分売却する際の相場は、「不動産全体の市場価値×売主の持分割合」となります。
具体例を見てみましょう。
市場価格5,000万円の不動産を、あなたと共有者Aの2人で「2分の1」ずつ共有している。
この場合、あなたの共有持分をAに売却する際の相場は「2,500万円」となります(5,000万円×1/2)。
では、他の共有者に対する売却相場通りあるいは相場以上で共有持分を売れるテクニックを見てみましょう。
不動産会社から査定をもらっておく
交渉に入る前には、あなたの不動産の市場価値がいくらか査定をしてもらって確認しましょう。交渉の際に取引価格の基準となる市場価値がわからなければ、話し合いも円滑には進めません。
「こっちは査定による適正な価格をもとに話に望んでいるよ」という信用をまずは得ましょう。
相手が不動産を自由に活用できるメリットを交渉材料に
相手方の共有者があなたの共有持分を買い取ることによって得られるメリットを強調して伝えましょう。
例として、他の共有者が物件上に住んでおり、あなたは居住していないとして考えてみましょう。
「自分は不動産に住んでいるわけでも活用しているわけでも無いし、共有関係から抜けたい。」
「共有名義を解消すれば、建て替えるにしても、将来賃貸に出すにしても自由に出来るようになるから。」
このように、売主と買主がwin-winの関係であることを強調し、売却交渉の成功率を上げましょう。
共有名義を放置した最悪の未来を強調する
不動産の共有名義を放置していると、将来共有者のうちの1人が死亡する度に、持分が相続されていき、共有者の人数が際限なく増えます。
そのため、将来持分を受け継ぐ自分の配偶者や子供、孫が共有不動産を売却したいと思ったときに合意形成が測れずにトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
このような、共有不動産を放置していることによる、将来の相続リスクを他の共有者に伝えましょう。
「自分たちはそこまで困っていないけれど、子供や孫に不動産の管理で面倒を押し付けたくない。」
「時間も体力もある今のうちに、不動産の共有名義を片付けて置きたい。」
自分亡き後に残される家族を思えば、誰だって交渉に応じるはずです。
共有持分専門の買取業者に売却する場合
共有持分買取業者に共有持分を売却する場合の買取相場は、「不動産全体の市場価値×売主の持分割合×1/2」です。
市場価格6,000万円の不動産に対し、あなたが「3分の1」の共有持分を持っています。
この場合、あなたの共有持分を共有持分買取業者に売却する際の相場は「1,000万円」となります(6,000万円×1/3×1/2)。
つまり、不動産の立地状況や共有者の人数などによって変動はありますが、共有持分買取業者に共有持分を売却する際は大体持分の市場価値の半額が売却相場となります。
共有持分業者は、再活用までにかかる再活用までに発生する各種税金や司法書士などへの報酬金、必要に応じてリフォーム費用やその他事業経費を加味して買い取るからです。
では、共有持分買取業者に対する売却相場通りあるいは相場以上で共有持分を売れるテクニックを見てみましょう。
複数業者に査定依頼を出す
必ず複数業者に買取業者に、査定依頼をしましょう。
買取金額はもちろん、会社の色や営業マンの人柄についても、比較材料がなければ依頼先を正しく判断することができないからです。
もし、最初に査定を出した一社だけで共有持分の売却を決めてしまえば、何もわからずに安価で買い叩かれてしまうおそれもあります。
>>【共有持分のみで高額売却・トラブル解消】無料で買取査定を依頼する
一部の共有者とあわせて共有持分を売る
比較的関係が良好で、足並みを揃えて共有持分を売却できる共有者がいるのであれば、共有持分を併せて売りに出しましょう。
例えば、共有者ABC3人の共有状態で、Aが売却に反対しているので、BCが一緒に売り出すのような場合です。
共有持分を揃えてなるべく持分割合を大きくして売り出したほうが、業者も買取後にできる行為の範囲が増えるので、売却価格もより高額になります。
他の共有者との関係は良好なのがベスト
他の共有者との関係はやはり良好な方が、持分を高値で買い取ってもらえる可能性があります。
ですが、すでに共有者同士の関係が悪化してしまっている場合はどうしようもないので、「他の共有者に知られずこっそり共有名義から抜け出せる」というメリットを取った方が良いでしょう。
優良な共有持分買取業者を選ぶ
査定金額も当然重要ですが、会社や人の雰囲気をみるのも大切なポイントです。
信頼できる会社や営業マンが見つかれば、「早く売りたい!」「決済完了まで他の共有者に連絡しないで!」といったあなたの希望に全力で寄り添ってくれるはずだからです。
対応に不安の残る営業マンがあなたの希望通りに対応してくれず、段取りも遅い上に、決済前に他の共有者と接触を図れば、持分売却は頓挫する上に共有者間のトラブルが発生してしまいます。
この記事の「優良な共有持分買取業者の選び方」を参考に、安心して持分売却を任せることのできる業者選びを行って下さい。
【売却先別】共有持分を売却する流れ
共有持分の売却を検討しているのであれば、まずは以下を確認しましょう。
- 共有者全員の持分割合
- 不動産が担保となっている借り入れの有無
共有者全員の持分割合は、法務局窓口やインターネットで登記事項証明書を取得すれば確認できます。
参照元:法務局「不動産登記の電子申請(オンライン申請)について」
借り入れの有無は登記事項証明書の「権利部(乙区)」に抵当権が設定されていれば、抵当権者となっている金融機関に確認しましょう(設定がなければ大丈夫です)。
上記の確認が完了したら、これから解説する流れに沿って売却を進めてください。
というわけで、ここからは共有持分を売却する流れを以下の2つに分けて解説します。
- 他の共有者に売却する場合
- 共有持分買取業者に売却する場合
他の共有者に売却する場合
あなたの共有持分を他の共有者に売却する流れは以下の通りです。
交渉
話し合いの余地があるのであれば、まずは他の共有者に売却交渉を持ちかけましょう。
他の共有者が売却に応じるのであれば、市場相場に近い金額で価格交渉を行うことができます。
もちろん、すでに共有者同士で関係が悪化している場合は、むしろ交渉せずに業者に依頼したほうが円滑に共有持分を売却できるでしょう。
司法書士に売買契約書の作成を依頼
相手方の共有者と売却価格や、契約・決済などの日程に合意が取れたら、司法書士に売買契約書の作成を依頼しましょう。
他者との通常の不動産売買であれば、売買契約時に「重要事項説明」を行うために、不動産業者を間に通すのが一般的ですが、共有者間での持分売却であれば基本的には不要です。
そのため、数十万〜数百万円の仲介手数料を払う必要がなく、報酬金も数万円と比較的安価な司法書士に売買契約書の作成や決済時に行う所有権移転登記の手続きを依頼するのがベストでしょう。
もちろん、「将来この不動産を売却するときのために、重要事項説明書を手元に用意しておきたい」といったような希望が買主側にあれば、不動産業者を通して正式に不動産売買の手続きを行うことも可能です。
売買契約
共有者間での共有持分の売買であっても、正式な契約書を作成しなければなりません。
決済後に担当の司法書士が行う所有権移転登記の申請に、売買契約書が必要となるからです。
契約当日に司法書士が作成した売買契約書に、売主と買主の双方が署名捺印をし、契約成立となります。
決済・所有権移転登記
売買契約で取り決めた決済当日に、売却代金を「口座振込」または「現金」で受け取ります。
売却代金の着金確認が取れたら、司法書士が所有権移転登記を行い、あなたの共有持分を買主名義に変更します。
所有権移転登記の際に必要な書類は、担当の司法書士に指示を仰ぎましょう。
共有持分買取業者に売却する場合
あなたの共有持分を共有持分買取業者に売却する流れは以下の通りです。
査定依頼
共有持分買取業者を複数社ピックアップして査定依頼を出しましょう。
ただ、査定依頼を出す買取業者が多すぎると、営業マンからの多数の連絡を売主1人で捌かなければならなくなるため、具体的には「3社程度」がおすすめです。
特に、完全無料で査定を承ってくれる買取業者も多く存在するため、積極的に活用すると良いでしょう。
弊社でも、無料で共有持分の査定を承っております。
ご相談いただけましたら、万が一金額感が合わなくても、弊社スタッフがお客様のトラブルを解決するためにアドバイスだけでもさせていただくことが可能です。ぜひ気兼ねなくお問合せください。
>>【共有持分のみで高額売却・トラブル解消】無料で買取査定を依頼する
売買契約
買取業者から査定結果を提示されたら、金額感やその他条件等を調整して合意が取れたら、日程を決めて売買契約を結びます。
売買契約の際に必要となる書類は以下の通りです。
- 権利証または登記識別情報(不動産取得時に法務局より交付)
- 身分証明書
- 住民票の写し
- 印鑑証明書および実印
以上の書類を用意できなくても代替方法があるので、担当者に相談しましょう。
決済・所有権移転登記
事前に決めておいた決済当日に、売却代金を「口座振込」または「現金」で受け取ります。
着金確認が取れたら、司法書士(基本的に業者が用意)が所有権移転登記を行い、あなたの共有持分を買取業者名義に変更します。
所有権移転登記の際に必要な書類は、担当の営業マンに指示を仰ぎましょう。
売却後は確定申告を行う
共有持分を売却して利益が手元に残った場合は、確定申告を行い「売却益に対してかかる譲渡所得税」を納めなければなりません。
譲渡所得税の申告期限は、不動産を売却した日の属する年の翌年2月16日~3月15日の間です。
なお、売却した不動産上に従前居住していた場合、追加要件を満たすことで「3,000万円の特別控除の特例」を受けられる可能性があります。
「3,000万円の特別控除の特例」とは、手元に残った売却益から課税対象分を最大で3,000万円差し引くことのできる特例です。
ただし、共有者間での持分売買の場合は、適用要件から外れてしまうため控除を受けることができません。
詳細な適用要件は下記URLで確認して下さい。
共有持分の売却に伴うトラブル事例3選
共有持分の売却に伴って様々なトラブルが発生するおそれがあります。
事前に確認をして不安要素を取り除いておきましょう。
他の共有者と金額間の調整で揉める
「共有持分の売却方法と選び方」の部分でも軽く触れましたが、他の共有者に持分売却の交渉を持ちかけた場合に、適正な取引価格を巡り共有者間でトラブルになるおそれがあります。
このような場合は、適正価格の指標として、不動産業者に査定依頼を出してみるのがおすすめです。査定額をもとに話し合いを行ったら、一瞬で解決したなんてこともあるからです。
なお、共有者間で何かしらトラブルが起きており、関係が良好でなければそもそも売却に応じてもらえない ということもあるでしょう。
一般の不動産屋に売却すれば決済前に他の共有者にバレる
一般の不動産屋に売却すれば、あなたが持分の売却を進めていることが他の共有者にバレてしまうおそれがあります。
共有不動産の取り扱いに不慣れな一般の不動産業者は、後先考えず決済前に他の共有者へ「持分を買い取ってほしい」など軽率な行動をとる危険性があるからです。
そうなれば、共有者間で「こっそり持分を現金化しようとしていたなんて聞いてない!」 などとトラブルが引き起こされ、結果的に持分売却が頓挫してしまいます。
持分売却の際は、必ず専門の業者にお願いしましょう。
悪質な買取業者に売却すれば他の共有者が裁判沙汰に巻き込まれる
もし、あなたの共有持分を悪質な不動産ブローカーなどに売却してしまうと、他の共有者に危害が及びます。
ブローカーは宅建免許を持っていないので、違法な不動産取引であっても免許取り消しなどのリスクを度外視して、強引な買取交渉を行ってきます。
ひいては、「共有持分を売り渡さないと出るところ(裁判)に出るぞ」と脅してきたり、実際に裁判を起こされたりするおそれもあります。
ですが、安心して下さい。
次項で紹介する優良な業者の選び方を見れば、このようなトラブルにはなりません。
優良な共有持分買取業者の選び方
共有持分の売却を検討している人は、離婚などの個別の事情があったり、金銭トラブルに巻き込まれていたりと、共有名義からの離脱に切羽詰まっているケースが多いでしょう。
そのため、通常の不動産売却と比べて持分売却は、あなたの希望に寄り添って行動してくれる買取業者・営業マンを選ぶ必要があります。
ここからは、優良な共有持分買取業者の選び方を解説していきます。
買取実績が豊富か
買取実績の豊富な共有持分買取業者を選びましょう。
実績豊富な買取業者であるほど、あなたの共有持分を高値で買い取ってもらえる可能性が高まるからです。
前述の通り、共有不動産は様々なトラブルが付き物で、持分を買い取る行為自体リスクの高い行為です。
そのため、一般の不動産屋はおろか、経験の少ない買取業者も、リスクを恐れるあまり安価での査定を付けがちです。
一方、買取実績が豊富で共有不動産の取り扱いに慣れている買取業者なら、適切にリスクを勘案する上に、販売経路や活用ノウハウも豊富なのでより高値での買取が可能になるというわけです。
査定額の根拠
買取業者が出す査定金額を信じて疑わないのは非常に危険です。
買取業者の中には、売主が抱く「なるべく高く売りたい」という当然の心理を逆手に取って、相場を無視した高額な査定金額で売主を釣ろうとする悪意ある業者も存在するからです。
このような悪意ある業者はそもそも査定額のとおりに買い取るつもりはなく、いざ売買契約を結ぶ際に、「再度確認したら瑕疵(欠損や故障)が見つかりまして、この金額では買い取れません。」と査定額を捻じ曲げられて、強引にサインさせられてしまうおそれがあります。
そのため、必ず過去の取引事例や周辺物件との比較、加えて直近の不動産市況などを勘案した明確な根拠のある査定を信じましょう。
もちろん、根拠もなく不当に低い査定額を提示してくる業者も論外です。
>>【共有持分のみで高額売却・トラブル解消】無料で買取査定を依頼する
営業マンが親身に話を聞いてくれるか
あなたの話をしっかりと聞き出してくれる営業マンかどうかチェックしましょう。
営業マンがあなたの意図を汲み取ろうとしなければ、売主であるあなたが不利益を被ってしまうからです。
例えば、新居の購入を検討しており一週間後に控えた手付金の支払いに、共有持分の売却代金を充当する計画でいたとしましょう。
にもかかわらず、営業マンがあなたの意図を汲み取らなければ、呑気に段取りを進められてしまい、新居の買付に間に合わなくなるなんてことになりかねません。
つまり、共有持分の売却をあなたの希望通りに進めるためには、あなたの話をしっかりと聞き出してくれる営業マンを選ばなければいけません。
まとめ
この記事では、共有持分の売却について、網羅的に噛み砕いて解説してきました。
確かに、共有持分だけ持っていても不動産全体を貸したり、売ったりして自由に活用できるわけではありません。
このような場合は、共有持分を売却して共有名義から抜け出してしまうのが得策です。
あなたの共有持分はあなたの完全な所有物であり、他の共有者から同意を得なくても、自由に売却できます。
ただし、共有持分だけで買い取ろうとする一般の個人や不動産屋はまずいませんし、共有不動産の取り扱いに不慣れな素人に売却してしまうと大きなトラブルが生じてしまうでしょう。
共有持分のみの売却であれば、共有トラブル解決の専門家である、共有持分買取業者に相談しましょう。
共有持分の売却時には、もちろん複数社へ査定依頼を出して比較するようおすすめしますが、ぜひウチも判断材料の1つに入れていただければ幸いです。