空き家再生が推奨されている7つの理由
空き家再生とは、放置している空き家にリフォーム・リノベーションなどを施して、なんらかの用途で活用することを指します。
空き家再生が推奨されている理由は、全国的に放置されている空き家が増加傾向にあるからです。
実際に、令和5年10月1日の時点で国内の空き家率は13.8%を占めており、今ある住宅の7.8軒に1軒は空き家であるというデータが出ています。
参照元:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」
この章では、具体的にどのような理由で空き家再生が推奨されているのかを、以下の順番でお伝えします。
- 老朽化して資産価値が下がる
- 維持費がかかる
- 特定空き家に指定される
- 倒壊して近隣住民から損害賠償を請求される
- 犯罪に利用されやすくなる
- ゴミを不法投棄される
- 子や孫に負の遺産を相続してしまう
老朽化して資産価値が下がる
空き家を放置すると家屋が老朽化して資産価値が下がります。
人の出入りがなく、換気も掃除もされない空き家は老朽化が速いからです。
例えば、老朽化によって建物の耐久性が落ちてしまっていると、台風や地震などの自然災害に遭った時に空き家が負荷に耐えられず倒壊を起こします。
当然ですが、倒壊した家を欲しがる人はいないため、資産価値が高いうちに処分するのが賢明な判断です。
人が住まない家が痛みやすい理由については、以下に記事で詳しく解説しています。
維持費がかかる
空き家は所有し続けるだけでも「固定資産税」や「水道光熱費」などの維持費がかかります。
空き家の劣化を防ぐためには、定期的に換気や通水、清掃などを行う必要があり、電気・水道などの契約を解除するわけにいかないからです。
どの程度の頻度で空き家にメンテナンスするかによって異なりますが、水道・電気代は年間1万〜20万程度かかります。
加えて、不動産には人が住んでいる・住んでいないにかかわらず固定資産税が発生します。一戸建ての固定資産税は平均10万円から12万円程度必要です。
空き家再生をしないと、住んでもいない家の維持費を年間数十万円払わなくてはいけなくなります。
特定空き家に指定される
老朽化が著しい空き家の場合、行政から「特定空き家」に指定されます。
特定空き家とは、そのまま放置し続けると近隣住民へ悪影響を与えると行政に判断された空き家のことです。
特定空き家に指定されると、空き家の所有者は下記の流れで行政から指導を受けます。
- 空き家の調査
- 特定空き家に認定
- 助言・指導
- 勧告
- 命令
- 行政代執行
空き家の調査は、近隣住民から行政に寄せられる苦情・相談がきっかけで始まり、放置を続けると、所有者は徐々に重い罰を課せられる流れとなります。
特定空き家を放置すると、行政からどのようなペナルティが課せられていくのか詳しく見ていきましょう。
勧告を無視すると固定資産税が6倍になる
特定空き家に指定され、勧告を無視すると固定資産税が6倍になります。
本来、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」が適用されて税負担が軽くなりますが、特定空き家は「居住用の建物」とみなされないためです。
住宅用地の特例
住宅やアパートなど居住用に利用されている土地に適用される税の優遇措置のこと
・小規模住宅用地:200㎡以下の部分に対して固定資産税1/6・都市計画税:1/3が軽減される
・一般住宅用地:200㎡以上の部分に対して固定資産税1/3・都市計画税:2/3が軽減される
例えば、今までの土地の固定資産税が年間7万円〜10万円程度だったとすれば、特定空き家に指定されると年間42万円〜60万円まで跳ね上がるので、税負担が増えた分だけ生活が苦しくなります。
特定空き家に指定されて重い税負担を課せられる前に処分を決めるのが堅実な判断と言えます。
空き家の固定資産税が最大6倍になる理由については、以下の記事で詳しく解説しています。
管理不全空き家に指定されても固定資産税が6倍になる
特定空き家の前段階である「管理不全空き家」に指定されても固定資産税が6倍になります。
管理不全空き家とは、いわゆる「将来的に特定空き家になりそうな家」のことです。
特定空き家となって周囲に悪影響を及ぼす前に改善措置が取れるよう、新しく制定されたものです。
管理不全空き家に指定されると、特定空き家と同様に「居住用の建物ではない」とみなされるので、住宅用地の特例から除外されて固定資産税が6倍に上がってしまいます。
放置している空き家は早期に再生しなければ、使いもしないのに税負担だけが重くなってしまいます。
管理不全空き家については以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はお読みください。
命令を無視すると50万円以上の罰金を取られる
住宅用地特例から除外されたあとは、勧告よりさらに厳しい指導である「命令」を受けます。
状態改善を求める「勧告」で空き家の所有者が対処しなければ、さらに重い措置を与えるしかなくなるからです。
行政からの命令を無視すると、空き家の所有者に対して50万円以上の罰金を課せられます。
特定空き家に指定されると、空き家を放置したまま所有するメリットがないことがわかります。
最終的には行政代執行となり強制的に空き家を解体される
行政からの命令に対処しなければ、最終的には行政代執行となり強制的に空き家を解体されます。
空き家の所有者から状態改善に向けた協力が得られなければ、行政が所有者に代わって改善措置を行うしかなくなるからです。
空き家の解体費は所有者持ちであり、通常の2倍近くの解体費用を請求されます。
木造戸建て住宅を解体する費用相場は90万円〜150万円程度なので、特定空き家の解体には約200万円〜300万円かかります。
空き家の放置を続けると、所有者は行政からの高額な請求を覚悟しなければなりません。
行政代執行については以下の記事で詳しく解説しているので、よければご覧ください。
倒壊して近隣住民から損害賠償を請求される
空き家の放置を続けると、倒壊して近隣住民から損害賠償を請求される恐れがあります。
空き家が倒壊して隣家や通行人に被害を与えると、空き家の所有者は被害者に対してその損害を賠償する責任を負わなければならないと民法第717条で定められているからです。
もし、空き家の倒壊が原因で近隣住民の死亡事故があった場合、空き家の所有者は数百万円〜数億円にまで及ぶ多額の損害賠償を請求される恐れがあります。
所有者や近隣住民の一生が台無しにならないためにも、空き家の管理は必ず行う必要があります。
犯罪に利用されやすくなる
人の出入りがない空き家は犯罪に利用されやすくなります。
犯罪の用途に空き家が狙われてしまうのは言うまでもなく、人目につきにくいからです。
例えば、草木が生い茂って不法侵入しても誰の目にもつかないような空き家は、放火や違法薬物の栽培などの餌食となりやすい傾向にあります。
実際に、埼玉県で大学生が窃盗目的で空き家に侵入した後、放火をした事件が起きています。
参照元:埼玉新聞(大学生逮捕、盗みに入った空き家に放火した疑い)
犯罪の温床とならないためにも、空き家を放置してはいけません。
ゴミを不法投棄される
人の監視の目がない放置された空き家は、ゴミを不法投棄されます。
犯罪に利用されやすい理由と同じく、不法投棄をしても「ここならゴミを捨ててもわからないだろう」と思われてしまうからです。
不法投棄がエスカレートすれば、敷地内に溜まった大量のゴミが悪臭を放ち、ハエやネズミなどの害虫・害獣が大量に発生して近隣住民にまで被害が及んでしまいます。
空き家再生をしなければ、周囲に迷惑をかけ続けることになってしまいます。
子や孫に負の遺産を相続してしまう
空き家を放置し続けると、将来的に子や孫に負の遺産を相続してしまいます。
上記6つのリスクを抱えている空き家は処分しておかなければ、子や孫が将来なんらかの被害を被る可能性が高いからです。
例えば、所有する空き家が遠方にあった場合、放置状態が続いてしまい、倒壊などを起こして近隣住民にケガを負わせてしまうと損害賠償を請求される可能性もあります。
空き家の処分をしなければ、財産どころか負債を子や孫に残すことになりかねません。
空き家再生の代表的な4つの方法
空き家再生の代表的な方法は下記の4つです。
- リフォームして自分で住む
- 賃貸に出す
- 商業施設に再生してビジネスを始める
- 家屋を解体して土地活用を行う
上記のように所有者が空き家を活用すれば、家賃が浮いたり収益化ができたり、空き家を所有するメリットが生じるからです。
それぞれの活用方法の詳細を見ていきましょう。
リフォームして自分で住む
まずは、空き家を人が住める状態にリフォームして自分で住む方法です。
自分で住む手段が有効な理由は、空き家の所有者が賃貸に住んでいれば家賃を削減できますし、持ち家であれば空き家に住み替えることでトータルの維持費を減らせるからです。
例えば、今まで2軒分支払っていた固定資産税も約半分で済むので、浮いた費用分だけ家計が豊かになります。
ただし、空き家は通常の戸建てよりもリフォーム費用が高くなるので資金を確保できないと実行は難しいです。
空き家の老朽化が進んでいると、土台や柱などの材料をすべて新しいものに交換する必要があるので、劣化具合によっては1,000万円〜2,000万円近くかかることもあります。
賃貸に出す
次に、所有する空き家を再生して賃貸に出す方法です。
賃貸として活用するのが代表的な方法である理由は、空き家を賃貸として人に貸し出せば毎月の家賃収入が得られるので、空き家に固定資産税がかかっていても採算が取りやすいからです。
賃貸戸建てやシェアハウスであれば、一度入居者が決まるとしばらくは定着する傾向にあるので、安定収入につなげやすくなります。
ただし、前述したように空き家は通常の戸建てよりもリフォーム費用が高くなりやすいので、手元に潤沢なキャッシュがなければ実現は難しいでしょう。
商業施設に再生してビジネスを始める
放置していた空き家を、商業用施設にリフォームしてビジネスを始める手段もあります。
居住用としては使い勝手の悪かった物件でも、商業施設としてなら活用できる可能性があるからです。
例えば、空き家が狭くて住居が難しいようであれば、エステサロンやネイルサロンのようにプライベート空間が求められる施設に活用できます。
ただし、空き家の場所が駅から遠かったり、大通りから離れていたりすると安定して顧客をつけるのが難しくなるデメリットがあります。
民泊施設にする
活用していなかった空き家を、民泊用に再生して宿泊施設として貸し出す方法です。
民泊施設として利用すれば、空き家を活用して収益化を目指せます。
空き家を再生した後、民泊施設として登録する方法は下記のとおりです。
- 住所地を管轄する都道府県知事等に届出をする
- 民泊運営代行業者と業務委託締結をする
- 民泊運営に向けて部屋づくりなどの準備をする
- 民泊仲介サイトに登録をする
ただし、何度もお伝えしているように、空き家のリフォームは費用がかさみやすいので採算が取れるのかを慎重に判断する必要があります。
また、空き家が地方や田舎にあるなど、立地が良くない場合はお客さんが付かないため、収益化が難航する可能性があります。
空き家を民泊にする費用・方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
古民家カフェにする
空き家の雰囲気をそのまま生かしたリフォームを施し、古民家カフェとしてビジネスを始める方法です。
古民家カフェとして活用するのであれば大幅なリフォームをする必要がないからです。
ただし、事業を始めることになるので、収支管理や集客といったビジネススキルが求められるので、他の再生方法より難易度は高くなります。
また、赤字運営になるリスクもあるので、安易に手を出すと逆にお金を失う可能性もあります。
家屋を解体して土地活用を行う
空き家の家屋を解体して更地にし、土地活用を行う方法もあります。
更地にすれば、特定空き家に指定される可能性も払拭しつつ、活用のバリエーションを増やせます。
ただし、土地活用の方法は様々ありますが、共通点としては建物を解体すると住宅用地の特例の対象外となるので固定資産税は6倍になる点です。
そのため、もし土地活用の収益化が上手くいかなければ、お金も入ってこない上に6倍になった固定資産税を払うことになり、逆に金銭的負担が増えることになります。
土地活用を行うのであれば、慎重に計画する必要があります。
家屋を解体して土地活用を行う方法を以下の内容でお伝えします。
- 駐車場にする
- 太陽光発電所にする
- トランクルームにする
- 資材置き場
駐車場にする
空き家を解体して、コンクリート舗装を施して駐車場にする方法です。
月極駐車場、あるいはコインパーキングとして運用すれば駐車料金を収益として得られます。
ただし、空き家の立地が地方や田舎などで、駐車場としての需要がない土地の場合は収益化は難しいでしょう。
また、駐車場として整備する資金も必要です。コンクリート舗装の費用相場は、1㎡あたり1万円前後が目安です。
空き家を駐車場として活用するのであれば、都心の駅前や観光地など、需要がある場所にある空き家でなければ成立しません。
太陽光発電所にする
更地となった土地に、太陽光パネルを設置して収益化する方法です。
太陽光発電は、太陽光と設備さえあれば収益化できるので、他の空き家の運用方法のように集客の必要がありません。
ただし、資金調達や管理運用の面でハードルは非常に高いです。
太陽光発電で必要となるパネルの枚数は一般家庭で20程度が目安であり、初期費用で150万円程度かかります。
また、日当たりが良い土地でなければ発電量が減ってしまうため、住宅密集地にある空き家などは太陽光発電に向きません。
トランクルームにする
空き家を解体した後に、コンテナを並べてスペースを貸し出す方法です。
トランクルームの契約は月額制であることがほとんどなので、借りる人が見つかれば月々の賃料を得られます。
初期費用も安く、トランクルーム本体は100万円程度で入手可能です。
ただし、需要がなく、トランクルームを借りる人が見つからなければ赤字に終わってしまいます。
トランクルームは家の中に入りきらない荷物を保管する場所として利用されます。
そのため、住居地域から遠く離れた土地の場合は、トランクルームへの再生は向きません。
資材置き場
更地の状態のままで、資材置きとして貸し出す方法です。
所有している土地をそのままの状態で貸し出すだけなので、初期費用0円でスタートできます。
ただし、資材置き場は荒れやすく、雑草やゴミ、害虫などが発生して近隣住民の迷惑となり、トラブルに発展する可能性があります。
住宅地が近いエリアの土地の場合、資材置き場としての活用は向きません。
空き家再生の成功事例と失敗事例
この章では、空き家再生の成功事例と失敗事例を紹介します。
前述したように、空き家再生には様々な方法がありますが、所有者や空き家の状況によっては合わない活用方法もあるので注意が必要です。
空き家再生がどのような過程を経て成功や失敗となったのか、実際に事例を見ていきましょう。
空き家を再生した成功事例
空き家だった古民家を改修し、会員制農家民宿としている成功事例を紹介します。
こちらは築150年以上経つ空き家を、敷地と古民家の雰囲気を活かしたまま農家民宿に改装しています。
農家民宿利用者が古民家ならではの不便さを楽しみながら、いろりで岩魚を焼いたり、臼と絹で餅つきをしたり、空き家の改装以降は田舎暮らしを体験できる観光スポットとして人気です。
農家民宿利用者から会費として一定額を徴収しており、会員制農家民宿の運営費に充てられています。
まさに、空き家を商業施設に再生して成功している事例といえます。
空き家を再生した失敗事例
中途半端にDIYをされている空き家を投資目的で購入して失敗した以下の事例を紹介します。
(引用元:【資産形成】副収入月5万円目指し格安の空き家を購入、オーナーの思わぬ誤算とは?「空き家投資」のリアルに迫る)
【紹介されていた戸建て住宅の概要】
物件の所在地 | 東京都荒川区 |
---|---|
敷地面積 | 30㎡ |
築年数 | 築84年 |
購入価格 | 450万円 |
前所有者がDIYをやりかけたままの状態で、売りに出された戸建て住宅です。
不動産投資家が購入したものの、建築の素人である前所有者が中途半端にDIYをした物件の手直しに時間とリフォーム費用が多くかかり、空き家再生に失敗しています。
空き家のDIYに失敗した要因としては、以下の4つが考えられます。
- 自身にリフォーム経験があり、父親も内装屋なのですぐに修繕できると思っていた
- 内覧せずに購入したので、DIYのクオリティがどの程度か把握していなかった
- 立地の良い物件を安く譲り受けたことで安心していた
家の中を見てみると、前所有者が独自に階段を作ったり、不揃いな長さの板が壁一面に貼られていたり、ゼロに戻す作業に時間がかかっています。
すでに、戸建て住宅には50万円のリフォーム代がかかっており、さらに今後も100万円以上かかる見通しです。
幸いにもこの物件は賃貸需要のある都心部の空き家だったので、安く購入した分売却益が見込めるとのことで難を逃れています。
もし、購入した空き家の立地が悪ければ確実に赤字経営となり、売りたいと思っても買い手が見つからず維持費だけを払い続けなければならない負のループに入ってしまいます。
そのため、いくら空き家の初期費用が安かったとしても、再生・運用を踏まえると採算が取れなくなる可能性が高いので、安易な空き家再生はおすすめしません。
「空き家再生等推進事業」という補助金制度を活用する方法
空き家再生に利用できる補助金制度は、活用事業タイプ・除去事業タイプの2つがあります。
特定空き家のリフォーム・解体工事にかかる費用を補助金として支給することで、近隣住民の安全を確保するためです。
上記2つのタイプの違いについてそれぞれ紹介します。
空き家に利用できる補助金については、以下の記事でも詳しく解説しています。
空き家再生等推進事業とは国から地方自治体に補助金が出る制度
空き家再生等推進事業とは、空き家再生に関する国から地方自治体への補助金制度のことです。
放置されている空き家の活用・除去をして地域の活性化を図る取り組みをしています。
空き家所有者が補助金を利用するには地方自治体への申請が必要なので、後ほど紹介します。
この章では、国土交通省|国の主な支援制度・事業を参考に解説します。
活用事業タイプ
活用事業タイプは、空き家を活用する(リフォームする)際に使える補助金です。
補助金の対象地域は全国で、空き家を観光施設・交流施設などにリフォームすることで、地域の活性化や地域コミュニティの維持につながるよう空き家を活用しています。
実際に、広島市庄原市では老朽化していた3軒続きの長屋住宅を改修し、貸し会場・レストラン・特産物販売などを行う施設として空き家を活用している事例があります。
なお、利用の流れは、個人と地方自治体との間で補助金の申請・請求を行い、後日、空き家再生等推進事業から補助金の一部を市町村に支給する流れとなっています。
そのため、詳しくは後述しますが、空き家の所有者が補助金を利用するには、各市町村への問い合わせが必要です。
利用にあたっての条件は各市町村によって異なりますが、ほとんどはリフォーム工事の着工前に申請することが条件となっているので、申請前に工事を行わないようにしましょう。
除却事業タイプ
除却事業タイプは、空き家を除却する(解体する)際に使える補助金です。
老朽化して危険な状態となった空き家を取り壊し、ポケットパークを整備・すれ違いスペースの確保などを行い、地域の防災性・防犯性を高めることを目的に、空き家の除去を行っています。
実際に、福井県越前町では住宅密集地区に位置している老朽化した空き家を除去した跡地に、パラソルとベンチを設置してポケットパークを整備している事例があります。
補助金の対象地域は人口の減少が認められる市町村となっており、活用事業タイプと同様に、空き家の所有者が補助金を利用するには各市町村への問い合わせが必要です。
次章で、地方自治体への補助金の申請や利用においての詳細を解説します。
空き家再生等推進事業を活用するには地方自治体への申請が必要
前述したように、空き家再生等推進事業の補助金を利用するには、地方自治体への申請が必要です。
自身の住んでいる市区町村に補助金制度があるかどうかを調べるには、各市町村の空き家対策課に問い合わせる必要があります。
市区町村が実施している補助金制度には以下2つの制度があるので、詳しく見ていきましょう。
空き家の改修(リフォーム)に対する補助金
各市町村が実施している、空き家の改修(リフォーム)に利用できる補助金制度です。
一例として、福島県西会津町の「空き店舗及び空家利活用事業補助金」をご紹介します。
福島県西会津町では「空き店舗及び空家利活用事業補助金」という、空き家の改修にかかる費用を一部負担する補助金制度を設けています。
空き店舗及び空家利活用事業補助金の詳細を以下にまとめました。
補助金額 | 補助対象経費の3分の2(上限100万円 ) |
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申請期間 | 令和6年4月25日〜から令和6年7月31日 |
利用条件 | 次の(1)〜(6)のすべてを満たす方
(1)町税等の未払いがない |
空き家解体撤去補助金を利用する際は、工事着工前に、福島県西会津町のホームページから商工観光課に問い合わせましょう。
空き家の除却(解体)に関する補助金
各市町村が実施している、空き家を除却する(解体する)際に利用できる補助金制度です。
一例として、高知県黒潮町の「老朽住宅除去事業」をご紹介します。
高知県黒潮町では「老朽住宅除去事業」という、空き家の除去にかかる費用を一部負担する補助金制度を設けています。
老朽化が一定の基準以上に進行している空き家を対象に除去費を一部補助することで、地域の住環境を改善する目的で取り組んでいる制度です。
老朽住宅除去事業の詳細を以下にまとめました。
補助金額 | 除去工事費の10分の8(上限130万円)を補助 |
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申請期間 | 令和6年4月22日〜 令和6年5月31日 |
利用条件 | 【対象住宅】 ・町内にある個人住宅であること ・空き家であること ・木造、鉄筋コンクリート造、コンクリートブロック造のいずれかであること ・抵当権・賃借権等が設定されていないこと(土地を含む) ・住宅の老朽度が一定の条件を満たすこと ・倒壊や火災により周囲の住宅や通路に被害を及ぼす恐れのある住宅であること 【申請者】 ①〜③のいずれかに該当し、なおかつ高知県税などの滞納がないこと ①登記簿上の所有者 ②①の方の相続人代表者 ③①・②から住宅の除去について委任を受けた者 |
高知県黒潮町で空き家の除去の補助金を受けるには、住宅の老朽度が黒潮町の指定する一定の条件を満たしている必要があります。
老朽住宅除去事業を利用する際は、高知県黒潮町のホームページから、まちづくり課住宅係に問い合わせましょう。
空き家再生は一般の個人にはハードルが高い
これまでお話ししてきたように、空き家の再生ビジネスを始めるのは正直おすすめしません。
これまで解説してきたように、空き家再生は事業を行うための知識の習得や再生するための資金調達も必要であり、一般の個人にはハードルが高いからです。
空き家の状態が良く、立地も良いなど奇跡的に好条件が揃っていれば収益化できる可能性はありますが、赤字になり、逆にお金を失う可能性のほうが高いでしょう。
空き家を再生する目的は利益を得るためなのに、赤字になってしまっては本末転倒です。
空き家を収益化したいなら、さらに簡単な方法があるので、次の章で解説します。
空き家は再生するより売却した方が簡単に収益化できる!
空き家を簡単に収益化したいなら売却が最適の手段です。
空き家を売却すれば、まとまったお金が手に入る上に、空き家を抱えるリスクからも解放されます。
まず、空き家を売却する方法には「仲介業者」と「買取業者」の2種類があるので簡単にご説明します。
仲介業者とは、売主と買主の間に入って売買契約を手伝う業者のことです。
仲介業者はインターネットを介して幅広く買主を募り、成約につながるようサポートします。
一方で、買取業者は、売主の物件を直接買い取る業者のことです。
業者自身が買主となり、売主・業者の双方が契約内容に納得した時点で売買が成立します。
「仲介業者」と「買取業者」の違いについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひお読みください。
https://albalink.co.jp/realestate/brokerage-purchase-difference/
結論を言うと、仲介業者では売れないので「空き家専門の買取業者」に売却すべきです。
その理由を、上記2つの売却方法を紹介しながら解説していきます。
仲介業者では空き家は売れない
空き家の売却を仲介業者に依頼しても売れません。
なぜなら、すぐに住める物件を探している一般の個人が買い手となるので、老朽化した空き家は需要がないからです。
実際に、弊社が行った「不動産を購入するときの築年数」についてのアンケート調査では、築20年以内と回答した方が約8割を占めています。
引用元:訳あり物件買取プロ【不動産を購入するなら築年数は何年までがベストか】男女100人アンケート調査 | 訳あり物件買取プロ
築年数が新しく、軽微なリフォームで済む程度の空き家であれば仲介でも売れることはありますが、そうでなければ専門の買取業者を検討したほうが良いでしょう。
とはいえ、空き家が仲介業者で売れるにしても、デメリットが多いです。
そのデメリットについて、以下の順番で解説します。
- 買主が見つかりにくい
- 契約不適合責任に問われる可能性がある
- リフォーム費用がかかる
買主が見つかりにくい
前述したように、仲介業者に売却を依頼すると一般個人が買い手となるので敬遠されて売れにくいです。
一般個人の買い手はマイホームを想定して家探しをしているため、いつ寿命を迎えるかわからない老朽化した空き家は購入しません。
仮に、安く老朽化した空き家を購入したとしても、生涯を閉じるまでに建物が寿命を迎えれば、買主は住み替えのために費用を負担しなければならなくなるからです。
そのため、空き家を売りに出しても買い手が現れるのに時間がかかります。
最悪の場合、空き家が永遠に売れ残る恐れもあるでしょう。
契約不適合責任に問われる可能性がある
一般の個人が買い手になるので、隠れた瑕疵が見つかった場合に契約不適合責任を問われる可能性があります。
本来あるべき品質・機能・性能に不具合があること
契約不適合責任とは、引き渡した不動産に契約書に明記されていなかった欠陥が売買契約後に見つかった際に、売主が買い手に対して負う責任のことです。
一般消費者を売買のトラブルから保護する目的で制定されており、仲介業者に依頼するデメリットは契約不適合責任を原則免責にできません。
例えば、空き家の売却が決まった後も、仲介業者の場合は買主から瑕疵について通知が届くと修繕や代金減額などに応じる必要があります。
よって、老朽化して瑕疵がどこに潜んでいるかわからない空き家は仲介業者に売却を依頼すると売主のリスクが高いのです。
契約不適合責任については以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はお読みください。
リフォーム費用がかかる
仲介業者に依頼する場合、空き家再生と同様にリフォーム費用が必要です。
前述したように、買主がすぐに住める状態にして売り出さなければ、広告宣伝をしたとしても反響が期待できないからです。
仮に、空き家を安く購入したとしても、すぐに修繕が必要となってしまえば費用がかさむので、リフォームが必要な物件は買主は購入しません。
仲介業者を通じての売却は、売れるかわからない空き家に数十万円〜数百万円もの費用をかけなくてはならないので売主の負担は大きいです。
空き家は専門の買取業者への売却が最適!
空き家は、専門の買取業者への売却が最適です。
専門の買取業者であれば、売主がリフォームを行わなくてもそのままの状態で確実に買い取ってもらえます。
なぜなら、専門の買取業者には空き家を再生する資金とノウハウを豊富に持っているからです。
専門の買取業者に依頼するメリットは他にもあるので、以下の順番でお伝えします。
- リフォームや解体費用がかからない
- 売却スピードが速い
- 契約不適合責任を免除してくれる
リフォームや解体費用がかからない
専門の買取業者は空き家をそのまま買い取るので、再生する時のようにリフォームや解体の費用が不要です。
買取業者は、買い取った不動産にリフォームなどの再生技術を施して、第三者に再販する目的があるからです。
そのため、仮に空き家の老朽化がひどくてすぐに住めない状態でも、買取業者であれば費用負担ほぼゼロで買い取ってもらえます。
売主が空き家の売却において赤字になる心配がない点は、買取業者に依頼するメリットです。
売却スピードが速い
売却スピードが速いのも、買取業者に依頼する大きなメリットです。
なぜ売却スピードが速いかと言うと、買取業者が売主の不動産を直接買い取るので、お互いに価格の合意さえ取れればすぐに売却できるからです。
売主の所有する空き家の状態などによっては、最短3日で決済に進めることもあります。
買取業者へ売却すると、売主は早期に空き家を抱えるリスクから解放されます。
契約不適合責任を免除してくれる
専門の買取業者であれば、契約不適合責任を免除してもらえます。
前述したように、買取業者は修繕する前提で不動産を買い取るので、売買契約において契約不適合責任をつけておく必要がないからです。
仮に、空き家が売主すら気付いていないような瑕疵を抱えていたとしても契約不適合責任がないので、売却後に売主が責任を負う必要がありません。
弊社AlbaLink(アルバリンク)も、空き家はもちろん、どのような不動産に対しても契約不適合責任を完全免除で買い取っています。
これまでも欠陥を抱えた空き家を数多く買い取っており、お客様からも多くの感謝の声をいただいております。
空き家を売却した後のトラブルを避けたい方は、ぜひ弊社までご連絡ください。
強引な勧誘などは一切行わず、ご相談に乗らせていただきます。
>>【活用しない空き家を高額売却!】無料で買取査定を依頼する
弊社Albalinkの空き家の買取事例
ここまで空き家の再生・売却方法などについてお伝えしてきました。
そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、実際の空き家の買取事例を紹介します。
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような空き家も数多く買い取ってきました。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】 【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
20年以上放置された空き家については780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
また、不用品で室内が溢れてしまっている空き家の所有者は、他の不動産業者から「不用品の回収だけで100万円近くかかる」と言われ、途方に暮れていたそうです。
それだけに「(弊社に)そのまま買い取ってもらえてとても助かりました」と言っていただけました。
上記のように、弊社が問題を抱えた空き家を適正価格で買い取れるのは、独自のノウハウでコスパよく空き家を再生し、その利益分を還元できるためです。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して空き家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
まとめ
本記事では、空き家再生の現状や、空き家を簡単に現金化する方法について解説しました。
空き家再生のメリットは、本来、不動産投資を始める時に必要となる初期費用を削減しつつ収益物件にリメイクできる点です。
しかし、最低限のコストで効果的に再生する技術や収益を安定して出し続ける運用ノウハウがなければ、かえって赤字になり、お金を失うことになりかねません。
放置状態となっている空き家は、専門の買取業者へ売却しましょう。
専門の買取業者であれば、空き家の再生ノウハウを豊富に持っているので、売主が手間や費用をかけずに売却できるからです。
なお、当サイトを運営している弊社AlbaLink(アルバリンク)は、空き家に特化した買取業者です。
実際に、フジテレビの「イット」でボロボロの空き家を再生する買取業者として紹介されました。
空き家の活用にお悩みの方は、ぜひ弊社に一度ご連絡ください。あなたのお悩み解決につながるよう全力でサポートすることをお約束します。もちろん、売却する前提でなくても、ご相談だけでも大歓迎です。
その他不動産投資を避けるべき人の判断基準やチェックリストなどが気になる方は、下記記事も参考にしてください。
参考:不動産投資は「やめとけ」が正解?プロが警告する理由と安全な投資法