あなたはご家族と十分にコミュニケーションをとっていますか。
家族間のコミュニケーションがうまくいかないと、自宅が居心地の悪い場所になってしまうこともあります。
また家族間のコミュニケーションが希薄だと、お子さんの成長に影響を与えることも。
今回は家族と暮らしている500人を対象に、「家族間のコミュニケーションに関する意識調査」を実施しました。
- 調査対象:家族と暮らしている人
- 調査期間:2024年8月4日~5日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:500人(女性354人/男146人)
- 回答者の年代:10代 1.2%/20代 18.2%/30代 39.0%/40代 24.8%/50代 12.0%/60代以上 4.8%
家族間のコミュニケーションが十分とれている人は30.8%
家族と暮らしている500人に「家族間のコミュニケーションがとれているか」を聞いたところ、「十分とれている」と答えた人は30.8%。
「まあとれている」と合わせると86.8%で、9割近い人が「家族とコミュニケーションはとれている」と考えていました。
例えば子育て中の場合、親子でコミュニケーションをとることで、お子さんの自己肯定感やコミュニケーション能力を伸ばせると考えられます。
家庭内でのコミュニケーションが重要だと認識しており、コミュニケーションをとるよう心掛けている人も多いのではないでしょうか。
一方でお子さんが大きくなってきたり大人だけの世帯だったりすると、それぞれがスマホや趣味に時間を使うので、コミュニケーションが少なくなってしまうことも考えられます。
家族全員が一緒に過ごす時間は「ほぼ毎日」
「家族全員が一緒に過ごす時間」を聞いたところ、「ほぼ毎日」と答えた人がもっとも多く、73.0%となっています。
ただし毎日顔を合わせているからと言って、十分なコミュニケーションがとれているとは限りません。
「ほぼ毎日家族と一緒に過ごす」と答えた人の中でも、「コミュニケーションが十分とれている」と答えた人は37.0%で、4割に達しませんでした。
理由としては「同じ部屋にはいるけど、各々が別のことをしている」「一緒に食事をしていても会話がない」などが考えられます。
家族と一緒に行うことは「買い物」
家族で一緒に行うことのダントツは「買い物をする(310人)」、2位は「食事・外食する(205人)」でした。
スーパーやショッピングモールなど、日常的な買い物を家族とする人が多数。
また、一緒にいられる時間は少なくても、食事だけは家族揃って食べるというご家庭も多いとわかりました。
「テレビ鑑賞」「ゲーム」「アウトドアなどのレジャー」など共通の趣味があれば、自然に家族で過ごす時間が増えて、会話も増えます。
旅行やアウトドアは一日中家族が一緒に過ごしますし、思い出にも残るので、「写真や動画を見ながらの思い出話」というかたちでもコミュニケーションに好影響を与えると考えられます。
家族間のコミュニケーションで大切にしていることは「会話の機会をもつ」
家族間のコミュニケーションで大切にしていることの1位は「会話の機会をもつ(153人)」でした。
2位「感謝・謝罪を伝える(119人)」も多くの票を集め、3位「溜め込まず言葉にする(76人)」、4位「挨拶する(46人)」が続きます。
会話を始め、言葉でのコミュニケーションを重視している人が多くなっています。
同じ家の中にいるだけでやりとりがない状態では、十分にコミュニケーションがとれているとは感じられないからでしょう。
面と向かって話さなくても、「家族専用のグループLINE」などで連絡ややり取りができます。
1位 会話の機会をもつ
- 当日あった出来事などについて、会話をすることです(20代 女性)
- 日常での些細な出来事でも、話すようにすること(30代 男性)
- 日々の会話を大切にしています。悩みを話したり、友達や勉強のことで相談に乗ったりします(40代 女性)
1位は「会話の機会をもつ」でした。
短い会話でも些細な内容でも、とにかく会話することを心掛けるという人も多い印象です。
会話はコミュニケーションの基本ですし、何気ない会話から相手の気持ちや体調を推し量れることもあるでしょう。
会話の機会となるのは、食事中やテレビを見ているときなど。
ただ相手が嫌がっているときに無理やりつかまえて会話しようとすると、うっとうしがられてしまうことも。
そのため「できる範囲で会話し、無理はしない」「会話を増やそうと意識しすぎない」という人もいました。
2位 感謝・謝罪を伝える
- 些細なことでも感謝を伝えている(20代 男性)
- 「やってもらって当たり前」ではなく、感謝の気持ちを忘れないようにしています。「ありがとう」は全員よく言います(30代 女性)
- 悪いと思ったときはすぐ謝る。「ありがとう」や「ごめんなさい」をなるべく口に出して言う(50代 女性)
2位は「感謝・謝罪を伝える」です。
「ありがとう」「ごめんなさい」などの言葉は、人間関係を円滑にします。
心の中で感謝や謝罪をしていても、言葉にしなければ伝わりません。
家族だからわかってくれるという思い込みが、家族にストレスを与えることにもなりかねません。
また家族同士で日常的に「ありがとう」「ごめんなさい」を使うことで、お子さんのお手本にもなるでしょう。
3位 溜め込まず言葉にする
- 後回しにせず、話せるときに話す(30代 女性)
- ひとりで我慢しないで、思っていることを素直に伝える(40代 女性)
- 遠慮しない。正直に気持ちを話す(50代 男性)
3位は「溜め込まず言葉にする」でした。
家族に対する不満や疑問を溜め込んでいると、些細なきっかけで感情が爆発してしまうことも。
そのため言いたいことがあれば、溜め込まず伝えるように心掛けている人も多くなりました。
言い方や内容によっては喧嘩になることもあるでしょうが、きちんと仲直りすれば、喧嘩を経てお互いへの理解も深まると考えられます。
ただ溜め込まず話すためには、「相手が話を聞いてくれる」「対等な関係である」という前提があります。
家族が高圧的だったり、真剣に取り合ってくれないような雰囲気だったりすると、本音を口にするのは難しいかもしれません。
4位 挨拶する
- 「おはよう」「ただいま」「おかえり」といった挨拶を毎回欠かさずする(10代 女性)
- 仕事へ見送るとき、「いってらっしゃい」を必ず言うこと(30代 女性)
- 出かけるときに声をかける(40代 男性)
「挨拶する」が4位でした。
「おはよう」「ただいま」「いってらっしゃい」といった挨拶は、コミュニケーションの基本。
「おはよう」という一言で、「よく眠れた?」「今日も元気そうだね」という、相手を気遣う気持ちが伝わることもあります。
前日に喧嘩していても、「おはよう」の一言で何となく気持ちがほぐれて、会話が始まることもあるはずです。
お子さんに挨拶を身につけさせたいなら、家庭内で親御さんが挨拶する姿を見せるのが効果的でしょう。
5位 相手の話を聞く
- 私と主に会話しているのは母です。母が悩みを打ち明けてきているときは、真剣に聞くようにしています(30代 男性)
- 頭ごなしに否定しないこと(40代 男性)
- 相手が話していることを、先回りしない(50代 女性)
5位は「相手の話を聞く」でした。
話をちゃんと聞くことは、簡単なようで難しいもの。
スマホやテレビに気を取られて、家族に話しかけられても生返事している人も多いのではないでしょうか。
「目を合わせて聞く」「スマホを離して、相手に向き直って聞く」といった態度なら、相手に「真剣に聞いてくれている」と思ってもらえます。
すると「もっと話したい」「言い出しにくかったことも、相談してみようかな」と感じてもらえるでしょう。
相手の話を遮らず、頭ごなしに否定しないことも大切です。
6位 一緒にいる時間をもつ
- 一緒に料理をしたり、ご飯を食べたりする(20代 女性)
- 少しの時間でも一緒に過ごす(30代 女性)
- 食事をなるべく一緒に食べる(40代 女性)
6位は「一緒にいる時間をもつ」でした。
具体的には「食事は一緒に食べる」「一緒に家事をする」「一緒に外出する」など。
一緒にいることで会話が増えますし、相手のことを理解したり自分のことを知ってもらえたりするはずです。
ただし一緒にいる時間が長すぎると、「ひとりの時間がほしい」「息苦しい」と感じる人もいます。
家族であっても、コミュニケーションに求める深さや頻度は異なります。
べったりしすぎないよう、家族でも適度な距離感を保つほうが、お互い快適に暮らせるでしょう。
7位 思いやりをもつ
- いつでも思いやりをもつ(20代 女性)
- 相手の気持ちを推し量ること(30代 男性)
- 家族でもお互いの気持ちを思いやることです(50代 女性)
7位は「思いやりをもつ」でした。
思いやりとは「相手の立場や気持ちを考えて、助けたり共感したりする心」や、「相手を思う心を込めた行動」です。
相手が家族だと、「自分のわがままを許してくれるだろう」という気持ちから、自己中心的な態度になってしまい、相手に負担をかけていることも。
相手の気持ちを考えて接することで、家族間のコミュニケーションが優しいものになりそうですね。
思いやりを具体的に示すのが難しい人は、「相手に笑顔を向ける」「優しい言葉を選ぶ」といった行動から始めてみてはいかがでしょうか。
家族間のコミュニケーションで難しいと感じること1位は「価値観の違い」
家族間のコミュニケーションで難しいと感じることを聞いたところ、1位「価値観の違い(161人)」、2位「時間・休みが合わない(160人)」が圧倒的に多くなりました。
3位「共通の趣味・話題がない(35人)」、4位「子どもへの接し方(24人)」が続きます。
物理的に会う時間が少ない人も多いですが、どちらかと言うと「接し方」や「話し方」に悩んでいる人が多くなりました。
家族とはいえ価値観や趣味はさまざまなので、行き違いもありますし、共有したい体験が違うこともあるでしょう。
1位 価値観の違い
- 夫は理屈・結果重視派で、私は感情や周囲との調和を大事にしている。喧嘩になったとき、お互いが大事にしていることが異なるため、話し合いが並行線になったり納得できないのに折れたりする(20代 女性)
- 価値観の違いで会話が成立しないこと(30代 男性)
- 子どもとの世代差ゆえ、話が合わないときがあります(40代 男性)
1位は「価値観の違い」でした。
親子など、世代が違うと世代間ギャップが生まれやすくなります。
また、夫婦でも価値観や金銭感覚が違うことは少なくありません。
ただ夫婦・家族として過ごすうちに、相手の価値観を受け入れられたり、自分の価値観が変わってきたりすることも。
歩み寄りの余地がありそうなら、お互いに努力する姿勢が必要でしょう。
2位 時間・休みが合わない
- 仕事の時間帯が違うので、話す時間の確保に困ることがある(20代 女性)
- 仕事が忙しくなってくると、顔を合わせて会話する時間が減る(30代 男性)
- 息子が高校生になって帰宅時間が遅いし、土日は部活や友達との遊びで出かけるので、時間が合わない(50代 女性)
2位は「時間・休みが合わない」です。
「仕事がシフト制」「学校や部活が忙しい」などの理由で、家族全員で揃う機会が少ないご家庭もあります。
顔を合わせたり一緒に外出したりする機会がないと、当然コミュニケーションも減ってしまいますね。
コミュニケーション不足から、すれ違いや誤解が増えてしまうことも考えられます。
顔を合わせる機会が少ないなら、スマホのアプリやメッセージを使うなどの方法を考えてみましょう。
3位 共通の趣味・話題がない
- 子どもの趣味嗜好についていけない(30代 男性)
- 興味のあるものが違いすぎて、話が合わない(40代 女性)
- 好きなことが違い、見たいテレビ番組がそれぞれ違う(50代 女性)
3位は「共通の趣味・話題がない」でした。
しかし相手に興味をもっていれば、共通の話題がなくても相手の話を興味深く聞けるはずです。
コミュニケーションにおいて、自分がベラベラしゃべる必要はありません。
共通の話題がないけど会話したいのであれば、相手の趣味や興味の対象について聞くことを意識してみてはいかがでしょうか。
聞いているうちに、興味をもてるポイントが見つかるかもしれません。
4位 子どもへの接し方
- 子どもたちが、叱られそうなことを隠したり話さなかったりするとき(30代 女性)
- 子どもたちが家族の時間や会話より、ネットを優先させようとする(40代 女性)
- 子どもが思春期で話したがらない(60代以上 男性)
4位は「子どもへの接し方」でした。
とくに反抗期・思春期のお子さんに関しての悩みが多数寄せられました。
思春期のお子さんに対しては、「子どもではなく大人として扱う」「意見を一旦肯定する」といった接し方がおすすめ。
挨拶や感謝・謝罪の言葉を伝えるなどのコミュニケーションで「あなたのことを見ているよ」と伝えつつも、押さえつけないことが大切です。
反抗期のお子さんに対しては、機嫌の良さそうなときに話しかけるといった方法があります。
また親御さんがお子さんの不機嫌に振り回されず、「成長の過程だ」「自分にもあんなときがあった」とどっしり構えておくことも大切でしょう。
5位 意思疎通ができない
- 高齢の祖父母は耳が遠く、意識もぼんやりしているので、意思疎通が難しい(30代 女性)
- ちょっとした言葉のニュアンスが違う(40代 女性)
- 親は高齢者だから、理解してもらうための説明に時間がかかる(50代 男性)
5位は「意思疎通ができない」でした。
家族に高齢者がいる場合は、「耳が遠い」「理解力や判断力が衰えている」などの理由で意思疎通が難しくなるケースもあります。
相手に悪気があるわけではないものの、なかなか話が伝わらず、イライラしてしまうこともあるでしょう。
子ども相手の場合も、説明がなかなか伝わらなかったり、子どもの話し方や発音がつたなくて話を聞き取れなかったりすることがあります。
話が伝わらずイライラしたら、「水を飲む」「トイレに行く」などの行動を挟み、会話を中断して冷静になってみましょう。
6位 機嫌が悪いとき・疲れているとき
- 疲れているとイライラして、相手に当たってしまう(20代 女性)
- 愚痴が多くなったり、イライラしたりしているときの接し方が、いまだにわからない(20代 女性)
- 誰かの機嫌が悪いと、伝染してみんな機嫌が悪くなること(30代 女性)
「機嫌が悪いとき・疲れているとき」が6位でした。
相手の機嫌が悪いときにどう接していいかわからない人もいれば、「自分が忙しかったりイライラしてしたりすると、相手にきつく当たってしまう」と悩んでいる人も。
家族の機嫌が悪いときには、「自分が相手の機嫌を取ってあげなくては」という気持ちを手放すのもひとつの方法。
機嫌が悪い理由を聞いたり共感を示したりして、気にかけていることを伝えたら、あとは本人に任せてもよいでしょう。
家族に対してイライラをぶつけてしまうときには、ひとりの時間をもって冷静になってみる方法も。
常に家族へのイライラや収まらず日常生活に支障が出るなら、心療内科を受診してみるのも選択肢のひとつです。
7位 喧嘩になりやすい
- どうしても、たまに喧嘩してしまう(20代 男性)
- みんな忙しくて報連相がうまくいかないと、喧嘩に発展したりして、しばらく家族の雰囲気がどんよりしてしまう(30代 女性)
- 子どもとの喧嘩が多いので、コミュニケーションが難しい(40代 男性)
7位は「喧嘩になりやすい」でした。
同居家族とは物理的にも精神的も距離が近いため、遠慮のないコミュニケーションになりがちです。
思わず、相手を傷つける言葉や他人には言わないようなことを言ったり言われたりして、喧嘩になることも。
しかし距離が近いと仲直りのチャンスも多いはず。
自分が悪いと思ったら、しっかり謝りましょう。
まとめ
同居している家族とは、「ほぼ毎日、一緒に過ごす時間がある」という人が多数。
しかし空間を共にしているからといって、十分なコミュニケーションがとれているとは限りません。
価値観の違いから「家族と話したくない」と感じている人もいます。
ハラスメントを受けているなら家族と離れることも大切ですが、溝を埋めたいなら会話の機会を確保することが大切。
挨拶や感謝の一言から、会話が始まることもあります。
時間がとれないなら、メッセージアプリなどで連絡もできますよ。