事故物件とは?
一般的な意味で使われている事故物件とは、過去に居住者が死亡している建物や土地のことを指します。
しかし、法律上の定めがある言葉ではないので死亡要因によっては事故物件として扱われないケースがあるなど、判断基準が明確に決まっているわけではありません。
そのため、不動産会社によって買主希望者や借主希望者に告知をすることなく取引を行うケースが度々発生し、裁判に発展することも少なくありません。(参考:売買不動産について事件事故等の有無の買主質問に対し、約7年前の 殺人事件を告知しなかった売主に不法行為責任が認められた事例)
主に事故物件として扱われている物件には下記のようなものがあります。
- 殺人、火災などの刑事事件により、居住者が死亡した物件
- 自殺、孤独死など事件性のない要因で、居住者が死亡した物件
居住者が過去に死亡していても、何年前にどのような要因で死亡したのかによっては告知せずに、不動産会社ごとの判断で行っていました。
事故物件の問題を重要視した国土交通省が、「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)」を2021年に発表したことで、初めて事故物件に明確な基準が定められようとしています。
2021年中に正式なガイドラインを制定すると発表されているので、ガイドラインの内容によっては今までの判断基準と大きく変わるかもしれません。
なぜ事故物件には判断基準が無いのか
事故物件に判断基準が無かった理由として、購入者や借主が過去の事件や事故のことを知って判断に影響を与えるかどうかは人によって異なるからです。
例えば、過去に居住者が死亡したことのある物件でも、気にすることなく住める人もいれば、住めないと感じてしまう人もいます。
他にも10年前の事件なら気になるけど、20年以上前なら気にならないなど、買主や借主の判断基準がそれぞれ大きく異なるため、公の判断基準を作るのが困難でした。
今回制定されたガイドラインによって設けられた告知範囲についても、人によっては難色を示すかもしれません。
全ての人に通じる基準を定めるのは難しいですが、反響次第によっては今後ガイドラインに手が加えられる可能性も十分あるでしょう。
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事故物件に告知義務はある?
居住者が死亡した過去がある事故物件は、一般の人にとって心理的な抵抗が大きい物件であり、売買や賃貸の取引に影響する「心理的瑕疵」として告知義務がありますが、この心理的瑕疵の基準が曖昧でした。
しかし、今回のガイドライン案によって居住用不動産についてのみ、事故物件となる不動産の判断基準がある程度決まろうとしています。
オフィスなどに利用する事業用不動産については今回のガイドラインから除かれていますが、その理由は下記のように述べられています。
今回のガイドライン案は居住用不動産のみですが、今後の反響次第では事業用不動産などのガイドラインが制定される可能性は高いでしょう。
告知義務の条件は?
居住用不動においての告知事案についてですが、主に2つの事案について述べられました。
- 他殺、自死、事故死その他原因が明らかでない死亡が発生した場合
- 自然死又は日常生活の中での不慮の死が発生した場合
それぞれを詳しく解説していきましょう。
1.他殺、自死、事故死その他原因が明らかでない死亡が発生した場合
ガイドライン案によると、告知事案の発生から3年間は買主や借主希望者に告知することと記載されています。
過去の裁判事例においても、他殺や自殺による居住者の死亡を告知しなかったことによる損害賠償請求などが行われていることと、殺人や自殺は不動産取引における判断に大きな影響を与えると考えられることが要因です。
マンションなどの集合住宅の場合は、部屋以外にもベランダや廊下、エレベーターなどの日常生活において頻繁に利用される共有部分での事案も告知義務があります。
告知する内容は事案の内容、時期、死因の3つを挙げており、物件の特殊清掃などが行われた場合も同様に告知します。
2.自然死又は日常生活の中での不慮の死が発生した場合
自然死や不慮の事故による死亡などの場合は、基本的に告知の必要は無いとされています。
ガイドライン案によると、自宅での死亡の9割が老衰や病死などの自然死であり一般的な死亡要因と言えることと、過去の判例において自然死は心理的瑕疵に該当しないと出ており、買主や借主に影響を及ぼす可能性は低いと考えられたからです。
そのため、老衰や病死などの自然死や、転倒事故などの日常生活の中で生じた不慮の事故による居住者の死亡は告知事項に該当しません。
しかし、買主や借主が情報の開示を求めた際は事案の内容などを告知する必要があります。
特殊清掃などが行われた場合は1.と同じように、原則として買主や借主に告知する必要があると定められています。
不動産会社の調査について
不動産会社側が対象不動産について、過去に殺人などの告知が必要な事案があったと認知した場合においても詳しい調査は行う義務はありません。
媒介を行う不動産会社は、事案の内容や時期、死因について記載した告知書などを作成して買主などに渡す必要がありますが、最低限の告知事項を記載することで調査を行ったと見なされます。
不動産会社は販売活動において必要な情報収集を行う必要がありますが、事案の詳しい調査は不動産会社の業務上の義務ではないとガイドラインには記載されています。
事案の照会についても売主や買主、管理業者が事案について詳しく知らなかった場合では、買主などに「詳しい内容は不明だが心理的瑕疵あり」と告知することで、調査を終了させることができます。
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千葉県で事故物件の売却は難しい?
千葉県に限らず、告知事項の必要がある事故物件は一般の人は避ける傾向があり、売却に苦労するケースが多いです。
事故物件検索サイトの大島てるのように、一般の人でもインターネット上で事故物件を検索できるようになったため、事故物件に関わる情報が広く知られるようになりました。
心理的瑕疵は物件の構造的な問題と同じく、心理的瑕疵のある欠陥住宅と見なされてしまうので、建物の価値も減少します。建物の価値が減少してしまえば、必然と売却価格を安くする必要があるので、相場よりも安い金額での売却になってしまうケースが多いです。
事故物件の減価率は?
事故物件の原価率は明確に定められているわけではないため、10%~50%と事案の内容や物件によって大きく変動します。
人気のエリアの物件ならば、事案の内容によっては減価率が低くなる可能性はありますが、テレビなどのメディアに載るような事件などの場合は影響力の高さから、価値が大きく減ってしまう可能性が高いでしょう。
特に殺人事件が起こった物件は他の事故物件と比較しても敬遠されやすいため、減価幅が大きく、長期間にわたって影響を与えます。
購入者に対して7年前に発生した殺人事件を告知せずに中古住宅を売却した不動産会社が、損害賠償として購入者に対し1,500万円以上の支払いが命じられた事例もあります。>>売買不動産について事件事故等の有無の買主質問に対し、約7年前の 殺人事件を告知しなかった売主に不法行為責任が認められた事例
過去に事案があった場合の減価率の決定は、査定や売却を依頼した不動産会社によって大きく異なります。なるべく高く売却するためには不動産会社選びを慎重に行う必要があるでしょう。
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千葉県の事故物件はどこで売ればいい?
事故物件の売却を考えたときに、真っ先に不動産会社へ相談を考える人が多いです。
しかし、実は事故物件は、その特殊性から普通の不動産会社では仲介や買取を拒否されることもある物件のため、依頼可能な不動産会社を探すのは難しい可能性があります。
そこで、事故物件の売却を考えたときに参考したい不動産会社の探し方について紹介していきましょう。
専門の買取業者に依頼する
事故物件の売却は、事故物件を取り扱っている専門の不動産会社に依頼をするのが重要です。
普通の不動産会社では事故物件へのアプローチが分からないため、むやみに価格を下げ過ぎてしまうことや、買主探しに時間がかかる場合があります。
その点、事故物件を専門に取り扱っている不動産会社なら事故の内容を詳しく調査し、適切な価格、適切な販売活動を行うことによってスムーズに売買取引を行うことができるでしょう。
不動産会社の多くは無料で査定を行っているので、事故物件を所有しているけど売却できずに困っている方は、査定だけでも相談してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
明確な判断基準が無かった事故物件にガイドラインが生まれることによって、事故物件の有り方が変わりつつあります。
単純に居住者の死亡事案があるだけで事故物件として認識されることが多かったですが、これからは自然死などが除かれるようになるでしょう。
今まで事故物件として扱われた物件が、普通の物件として売却することができるようになることで売却が難しかった物件も売却しやすくなります。
ガイドライン案は2021年中に正式なガイドラインとして発表されるので、2022年以降は事故物件の動向に注目が集まるでしょう。
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